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大谷翔平選手も訴えられた暗号資産交換大手FTXの破綻とバンクマンフリード氏の凋落

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暗号資産の大手FTXが破綻し大騒ぎになっている。このニュースや暗号資産については全く詳しくなく「FTXはFXの会社だ」などと思っていたレベルなのだが、情報を整理してみることにした。もともと一部の人が関心を持つだけのニュースだったがアメリカではセレブが広告塔になっていたため話題になり始めていた。今回FTXが訴えられたのだが対象者として大谷翔平氏や大坂なおみ氏が含まれていたため日本でも話題になり始めている。

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まず基本中の基本だが暗号資産と仮想通貨は同じものとして扱うことにする。日本銀行は暗号資産(仮想通貨)とした上でインターネット上でやりとりできる財産的価値と定義している。

経営破綻したのは暗号資産の交換大手とされるFTXトレーディング。日本銀行がいうところの「暗号資産を入手・換金することができる」プラットフォームだ。

債権者は100万人を超える可能性があると共同通信が伝えている。連邦破産法11条の適用を申請しており再生を目指す意思があるということになる。実体的な価値のある資産がなにもないため換金手段を失った顧客(100万人程度と言われている)は全てを失うということになりかねない。だがそもそも暗号資産規制についての議論が深まっていないためトレーディングそのものんが違法だったとは言い切れないという状態だ。

Bloombergによると一部の業者の将来が脅かされているそうだがデジタル資産市場は混乱が一服したようだ。暗号資産にコミュニティやエコシステムがあり今でも活発に活動していることがわかる。だがニュースに出てくるのは聞いたことのない名前ばかりである。知っている人は知っているが知らない人は全く知らないという別世界が広がっている。

被害はむしろ裁判を通じて広がるかも知れない。創業者のバンクマンフリード氏を始め広告塔となっていたセレブたちも訴えられている。その中に大坂なおみ氏や大谷翔平氏も含まれている。広告塔が破綻を予想していたとは思えないが裁判を起こされたのは事実である。

日本では次のように報道されている。

質問プラットフォームのQuoraで質問したところ法的に不明確な点があり「宣伝に関わることでリスクが生じる」くらいの予想はできたのではないかという回答をもらった。この見解がどの程度一般的なものかはわからないものの全く予測不能だったとも言い切れないようである。

暗号資産業界界隈ではかなり大きな衝撃が走っているようだ。

ビットフライヤーの加納さんという人が「リーマンショック級の影響がある」とその深刻さを表現している。コインベースCFOも「2008年ごろの様な」と言っている。つまり縁のない人たちには全く縁のない話であるが一部の人たちにとっては非常に深刻なニュースになっているということがわかる。

ロイターは「バンクマンフリード氏の転落劇」と書いている。バンクマンフリード氏は現在バハマにいてアメリカに帰国させられないかを検討しているという。公聴会は12月に開かれることが決まっている。公聴会はバンクフリードマン氏の他にバイナンスなど関係者からも話を聞く予定だ。

そもそも規制もないのになぜ公聴会をやるのだろうかと疑問に思う。

NHKが気になることを書いている。破綻の後で会社が不正に暗号資産を引き出した疑惑が出ているそうだ。発信元はウォール・ストリートジャーナルだ。例えば計画的に倒産させる詐欺のような手口も考えられる。

実体経済からマネーの引き上げが起きており暗号資産も値を下げていた。このため危機に陥った創業者のバンクマンフリード氏が帳尻を合わせようとして違法な操作をおこなった可能性がある。

ビジネスインサイダーがこの引き出しについて解説している。FTXはトレーディングシステムだがこのほかにFTXが開発したFTTという仮想通貨を持っていたようだ。さらにバンクマンフリード氏はアラメダ・リサーチという別の会社を持っていた。

証券取引所が証券会社を経営していて自分達の取引所の資産を勝手に移していたとなれば、それは犯罪行為だといえる。だが、FTXが破綻した理由は別のところにある。「この会社は大丈夫なのか?」という風評が広がったのだ。風評はSNSで拡散しあっという間に創業者が資産のほとんどを失うという事態に発展していった。

アラメダリサーチの資産のほとんどはFTXが開発したFTTだったことから安全性を疑問視するレポートが報道されたのが11月初旬だったそうだ。いったんはFTXのライバル企業のバイナンスがFTXを買収・救済するというニュースが流れた。

ところがバイナンスは買収先の企業を精査(デューデリジェンス)している時に連邦政府により捜査される可能性を発見する。危機を回避するためにバイナンスは「取引から手を引く」と発表し多事をきっかけにFTTが急落しバンクマンフリード氏は純資産の94%を失ったという。バンクマンフリード氏は「経営危機は予測できなかった」と主張している。

だが実際には2022年初旬にアラメダが損出を出した時にFTXからアラメダに顧客の資産を勝手に移したのではないかという疑惑がもたれている。

バンクマンフリード氏はこの間にも雨垂れ式に一文字づつの情報をTweetしたりしている。社会的責任を感じておらず、資産を失ったという気持ちもあまりないのかもしれない。SNSでは熱心な議論と相当な怒りが生まれたそうである。

暗号資産には実体的な資産価値はない。価値を支えているのは「おそらくこれは値上がりするかもしれない」という人々の期待である。ビジネスインサイダーはこれをセンチメントと信念と言っている。ベンチャーキャピタルの投資が消えてしまえば後には何も残らない。

ただ今回のケースで資産を失った人たちの人数は100万人である。業界全体に懸念が広がらない様にバイナンスのジャオ・チャンポン氏は流動性危機に見舞われた仮想通貨プロジェクトの回復を支援するファンドを立ち上げる計画を発表した。

暗号資産業界の全容はよくわかっておらず被害者も各国に広がっている。なぜアメリカ合衆国は何もしなかったのだろうか。

アメリカのイエレン財務長官は「暗号システムの全体が脅威に晒されることはないだろうが」と前置きした上で何らかの規制が必要だと言っている。つまり現在は規制が十分でないとミイ止めている。

実際にはアメリカ政府は何の規制も検討していないわけではなかった。業界主導の規制案が議論されていたという。

NRIが「FTX破綻で米業界主導の規制導入の流れは頓挫か:暗号資産は商品か証券か」という記事を書いている。暗号資産は商品か証券かという議論が行われておりバンクマンフリード氏は暗号資産は比較的規制がゆるい商品だと見做されるべきだと主張していた。つまり献金を通じて業界に有利なロビーイングを行なっていた可能性が高い。

バンクマンフリード氏は民主党の大口支援者だったことで知られる。ジョージ・ソロス氏についで多額の寄付が明らかになっている。バンクマンフリード氏はセレブに働きかけ暗号資産の認知度を上げ、政府に働きかけ規制をコントロールしようとしていた。

アメリカでは「得体の知れない暗号資産は禁止すべきだ」とか「企業が自分に都合が良い結論を導き出すために多額の資金を出すとはいかがなものか」というような議論にはなっていない。しかしながら、バンクマンフリード氏に関する報道が明らかになるにつれてやはり議論は失速傾向にあるようだ。

だが今後実効性のある規制の仕組みができたとしても資産を失った100万人に救済策があるのかはよくわからない。そもそも世界各国に被害が広がっておりどの程度の影響が出るのかはよくわかっていない。

暗号資産コミュニティの影響だけですめばいいのだが、仮にいくつかの金融機関や証券会社が暗号資産を失ったということが分かれば影響は実体経済に広がることになるだろう。今後の動きが注目される。

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