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アメリカのCPI統計を受けて円高が加速。一時141円台に回復。

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一時は150円まで来ていたドル円相場だが現在は142から141円で推移している。原因は二つあるようだ。一つは財務省・日銀の介入の影響である。「籠城」などと言われていたが効果を発揮しているようである。もう一つはアメリカのCPI(消費者物価指数)の動きだ。

今回は関連ニュースが多い。一つひとつを分析していると読むのもつかれそうだ。項目を短くまとめるだけにとどめた。

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まず、介入の影響からみてゆこう。Bloombergが記事を出している。依然日本が単独で介入をおこなっているという見立ては継続しているのだが、外貨預金ではなく外貨債権を使った覆面介入が効果を表しているようだと分析されている。

債権の内容については細かく触れられておらず米国債なのかということはわからない。だが半ば都市伝説的に「絶対売れない」と言われていた米国債を売ったのではないかとみる人もいるようだ。真相はわからないが思い切ったことをやっているというメッセージは市場に正確に伝わっている。

ただし、財務省・日銀のオペレーションが効果を示したのはあくまでも「結果オーライ」である。

今回はアメリカのCPIの発表が追い風になった。市場が予測するよりも早くインフレが収まるのではないかという希望的観測が出ている。これまでは0.75%という急速な利上げが続いたのだが12月は0.5%の利上げにとどまりその後利上げは行われないのではないかという予測になりつつあるようだ。これを受けて一時ドル円が141円まで回復したのだ。

動いたのは為替だけではなかった。ニューヨークでは中間選挙の直後に株価が反落していたが、CPIをうけて一時1000ドル以上も回復した。株式市場がいかに朗報に飢えているかがわかる。

このところ金融政策でタカ派的な動きが終わらないのではないかという悲観的な観測ばかりが続いていたのだが少しホッとしたということもあるのかもしれない。共和党が大勝ちしなかったために経済環境が急速に好転することはないだろうという予測だったにもかかわらず統計が出た途端に一気に楽観論に向かった。逆に言えばネガティブな材料が出ればまた一気に悲観論に傾くという極端な雰囲気になっていると言えるのかもしれない。

日銀の黒田総裁は依然「今まで通りの政策を続ける」と主張しており日銀の政策が為替市場に影響を与えることはなくなっている。今回は結果的に財務省・日銀の為替介入が効果を表したということになっているがCPIの動向によってはそうなっていなかった可能性もある。つまり、日本の経済状況がアメリカの金融政策・経済状況によって大きく左右されるという状態は続いている。この先もしばらくはアメリカの経済動向に一喜一憂するという状態が続きそうである。

日本政府が最も心配してたのは財務省・日銀の為替操作が「アメリカ合衆国の機嫌を損ねること」だっただろう。今回は最悪の事態は回避したようだ。今回の発表で為替介入国リストに入った国はなく、日本など複数の国が「警戒対象」に留め置かれたままだった。「事前に調整することが重要だ」などと書かれているそうで今回のオペレーションに際してもある程度のすり合わせをしたことが伺える。日本国民に対しては仕事をしていないように見える鈴木財務大臣だがアメリカとの対話は行っていたということがいえるのかもしれない。

一時は151円とか152円などと言われていたわけだが急速に141円とか142円というところまできている。落ち着かない展開のため企業の経営企画部が中長期的な戦略を立てるのは難しくなっているのだろうなと思う。

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