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ルラ氏の勝利で南米の左傾化がほぼ完成するもボルソナロ氏は敗北を認めず

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ブラジルで大統領選挙が行われ、左派のルラ氏が再選される見通しとなった。僅差による当選だったため、多くの人が今後の情勢を心配している。ボルソナロ氏が敗北を認めれば丸く収まるのだが今のところ敗北宣言が出されておらず今後の成り行きが不安視されている。

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多くの中南米の国では親米派と反米派の間で激しく揺れる傾向にある。特に新型コロナ禍やウクライナの戦争などで市民生活が苦しくなっているため企業寄り・自由主義の親米派が退潮し反米左派が政権を奪取するところが多い。今回ブラジルでルラ氏が勝利したことで南米の主要な国は軒並み左傾化することになった。

ルラ氏には汚職疑惑があったが有罪判決が破棄され政治復活を果たしたという経緯がある。一方でボルソナロ氏には乱暴な物言いで知られる。Bloombergの統計によると経済が強い南部・沿岸(リオデジャネイロやサンパウロ)ではボルソナロ氏が優勢だが北部地域・内陸部ではルラ氏が優勢になっている。つまり国も分断されている。

北東部では高速道路を管轄する警察(Brazil’s Federal Highway Police (PRF)  )が交通妨害をおこなっていた。北東部はルラ氏の地元なのだがPRFにはボルソナロ氏の支援者が多いようだ。つまり警察が選挙妨害をやっていたことになる。日本では考えられない事態だがこれは当局も織り込み済みだ。the Superior Electoral Court (TSE)と呼ばれるところが「有権者を乗せたバスを停止させてはいけない」という命令を出したそうだ。ただし、高速警察側も「裁判所の命令に反しない限りはオペレーションを進めても良い」と強気な姿勢だったようである。

事前に劣勢が伝えられていたボルソナロ氏だがなりふり構わぬ人気挽回政策の効果もあり支持率は持ち直す傾向にあった。

ブラジルもこのところ高いインフレに悩まされていたのだが、最近の物価は下落傾向だったそうだ。商品流通サービス税(ICMS)の税率が引き下げられていた効果だという。さらに原油価格も下がっていた。ブラジルは産油国だ。国営石油公社(ペトロブラス)の人事に介入しCEOなどが更迭されたという。つまり直接国営企業の経営に介入し無理やり物価を下げさせたことになる。

現在の9月の政策金利は13.75%で12会合連続の利上げが行われていた。つまり庶民はお金が借りにくくなっていた。なりふり構わぬ手法で無理やりに物価を下げたことでインフレ率が下落しようやく利上げが止まった。だが政治介入による一時的な物価の安定策にどこまでの持続可能性があるのかはわからない。またルラ氏が社会主義的な分配政策はおそらく通貨安の要因になるものと思われる。つまりルラ政権の政策はおそらくインフレを生み出す要因になる。

なりふり構わない政策で有権者の離反を防ごうとしたのだがボルソナロ大統領はルラ氏に一歩及ばなかったようだ。だが、強気な発言で知られるボルソナロ氏が選挙結果を認めるかどうかは微妙な情勢である。一部には「選挙が終わってから本番」という見方もある。トランプ氏はボルソナロ氏を支援しており「舌戦」はこれからなのかもしれない。また直前にはボルソナロ氏の「盟友」が警察と銃撃戦を繰り広げていた。中には武装した人がいることがわかっており舌戦だけではない可能性もある。

時事通信によると選挙は数人の死者を出しただけで終わったようだがしばらくは不安定な状況が続きそうだ。しばらくの間は現職のボルソナロ氏がどのようなステートメントを出すのかに注目が集まる。

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