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財務省・日銀の円買い介入 回数と額の簡単なまとめ

今回は少し気分を変えて円買い介入の流れだけを書いてみようと思う。額については月末にまとめて確定値が報告される。だが、手法についての具体的な発表はないのですべてメディアの「根拠のある憶測」になる。記事を集めてみてそもそも時系列に並べてみないと何が起きているかわからないと感じた。おそらくある程度学習しつつ手法を変えている。また、当初のメディアの予想も後になって「実は違っていた」ということが起きているようだ。

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9月22日の円買い介入について

当初は「米国債は売っていない」と思われていた

当初の説明では「レポファシリティ」という仕組みがあり、それを使ったために「アメリカの機嫌を損ねることなく米国債を売ることができたのでは?」と言われていた。Bloombergによるとレポファシリティの残高は1100億ドル(約15兆6500億円)とされる。実際に介入後に60億ドルが減ったそうである。

当初は1兆円強などと言われていたが、のちに介入額は2.8兆円だったということがわかっているそうだ。財務省が9月30日に発表している。理由はよくわからないが確定値を月末に報告するということになっているようだ。つまり10月分も程なく確定値が財務省から出てくる。

実は日本が持つ外債の保有が減っていたことが判明

ロイターの日本チームは当初「米国債売りはなかったのではないか」と書いていたが、10月の初旬に日経新聞が「実は米国債を売ったのではないか」と書いている。外貨準備の減少は2カ月連続で減少額540億ドルも過去最大だったことが根拠だ。一方で、外貨預金は1361億ドルあるそうだがそれは変わらなかったという。こうなるとアメリカは米国債売却を認めたことになり「日本の立場を理解」の意味合いも違ったものになる。

橋本龍太郎総理は「国債を売りたいと仄めかしたことでアメリカの逆鱗に触れた」などと噂された。なぜ岸田政権ではそうならなかったのかは考察に値するだろう。米国債市場が混乱すれば利上げとなり円高に作用する。つまり、アメリカ政府の機嫌を損ねずなおかつ円高要因になりそうな市場への影響を避けつつオペレーションを遂行する必要がある。

米国イエレン財務長官は米国債市場に懸念を表明

イエレン財務長官は米国債市場に混乱が起こることを懸念し持って回った言い方でレポファシリティへの期待を表明している。この仕組みがあまり使われておらず利用を促したのかもしれない。日本の為替介入の影響のほかに「大きな買い手たち」が米国債市場から退出しているという事情があり米国債の価格が安定しなくなるのではないかという懸念もでている。

10月の円買い介入について

10月13日にも介入?

差分を見ており減少額が2兆9000億円になると思われていたが4兆900億円も減っていたために「10月13日に介入がありその資金として1兆円程度を使ったのではないか」と言われた。財務省が試行錯誤しつつ手法を研究しているのがわかる。

この後にまた覆面介入が起きるのだが次第にオペレーションと報道のパターンができてそれが踏襲されるようになる。

10月の大規模介入でも当座預金から資金が移動

21日と24日に目だった動きがあった。NHKは次のようにまとめる。

  • まず、10月21日に再介入が行われた。ニューヨークでの「覆面介入」だったとされる。7円以上の価格変動があった。
  • さらに週明けの24日の午前8時半ごろに4円ほどの値上がりがあった。ここでもまた介入が行われたものと思われる。

21日分の介入の規模推計

日銀が円資産を減らすと日銀から国庫に円が移動すると書かれている。詳しいことはわからないが「そういうものだ」と考えるしかない。決済は2営業日後に出るため「手の内」は数日のうちにわかるそうだ。ロイターも同じ内容の記事を書いている。

24日分の介入の規模推計

ということで24日分も同じ仕組みを使った介入だったようだ。無事に推計が出てきた。

パターンができれば投機筋がそれを読み解くのが簡単になる

神田財務官は「24時間体制で介入できるスキームを構築した」と胸を張る。神田さんとしては「いつでも介入できる」というメッセージを伝えたつもりなのだろうが、ある程度パターンが読めれば、それを利用して利益が出せるということになる。

おそらく今も試行錯誤しながらオペレーションは続けられているのだろう。現在のレートは147円台後半だった。今のところ防衛には成功しているようだ。

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