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イギリスでヒンズー教徒のリシ・スナク首相が誕生へ

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連日伝えているようにイギリスで新しい保守党の党首選挙が行われていた。ジョンソン氏が支持者を集められなかった時点でスナク氏の首相就任は既定路線だったが、その伝えられ方をみて驚いた。インド系でヒンズー教徒であるとはっきりと書かれている。伝統を重んじる国という印象を持っていたのだが今のイギリスではそれほど問題になることでもないようだ。

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スナク氏は元財務大臣の42才だ。これまでも金融出身であることは伝えられてきたがその血筋について報道されることはあまりなかった。

今回、BBCはその人となりを次のようにまとめている。記事の最初と終盤に情報がある。

  • スーナク氏は、過去200年以上で最も若いイギリス首相となる。
  • インド系イギリス人のヒンドゥー教徒で、イギリス初の南アジア系首相となる。
  • 1980年、英南部サウサンプトンで生まれた。
  • 有名私立ウィンチェスター・コレッジからオックスフォード大学に進学し、政界志望の学生が多く学ぶ「哲学、政治、経済」の学部コースを専攻。
  • 続いて米スタンフォード大学でMBAを取得した。
  • 金融業界に入り、ゴールドマン・サックスやヘッジファンドで財を築いた。

アメリカでは政治家の血筋について語り方を間違えると「人種差別だ」ということになりかねないためあまり表立った報道がなされないことが多い。またメーガン妃がアメリカのインタビュー番組で「黒人の血が入っているから息子に王子という称号が与えられなかった」と主張したこともあり、イギリスの人種差別はアメリカよりもひどいのではないかという印象さえある。やはり「伝統を重んじる国」という印象があるからだ。

スナク氏は学業も優秀で金融界でも成功したがインドとのつながりを維持している。つまり政治家として「イギリスへの忠誠心」を問われてもおかしくはない。

妻は富裕な家庭生まれのインド人で「非定住者」ということになっている。つまり妻はゆくゆくは「イギリスに骨を埋める」のではなくインドに帰る人だということになる。今年の4月にはこのステータスを利用してイギリスに税金を納めていないことが批判されていた。この時スナク氏は「妻はゆくゆく母国に帰り両親の面倒を見るつもりだ」と説明している。

結局4月のこの騒動の結果奥さんはイギリスに納税することを決めたようだと今回の報道は伝えている。つまり、スナク氏の妻のことはイギリスの有権者にはよく知られている。

イギリス国民とメディアの関心はスナク氏の血筋でなく新しい政権が金融市場と折り合いをつけ経済問題を解決するかにあるのだろう。このためにバックグラウンドは今回はそれほど問題にならなかったようだ。BBCによるとスナク氏は最終的に193人の国会議員の支持を集めたそうだ。

実はジョンソン首相も父親はフランス人とのハーフだ。自身もアメリカ生まれのため国籍を放棄する2016年まではアメリカ国籍を持っていた。さらにブレグジットに際して父親はブレグジット反対派だったことなどが背景にありフランス国籍を取得している。

イギリスと日本は同じ立憲君主制の国だが政治家に求められる資質や能力にはかなり大きな違いがあるということがよくわかる。血筋や国籍は一応話題にはなるためジョンソン氏もアメリカ国籍を放棄している。だが「国家への忠誠心」が血筋や国籍などで判断される度合いは実は日本より格段に少ないのだ。

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