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ナイジェリアの洪水でナイジェリアの米作が危機的状況に

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世界的に多雨による洪水が問題になっている。ナイジェリアでも洪水被害があり死者数が600名を超えた。雨季は6月から11月ごろまで続くが今年は8月の降雨量が極めて多かったそうだ。ナイジェリアではコメ農家が被害を受けている。このコメはアジアから移入されたものではない。実はアフリカは米発祥の地の一つなのである。政治的な無策もあり食糧危機の可能性が指摘されている。

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ナイジェリアの人口は2億人を超える多言語・多民族国家で英語が公用語になっている。資源国でもあるのだが政府腐敗が激しい29カ国の一つにも数えられている。

北部は砂漠が広がっているが南部には西からニジェール川、東からベヌエ川が流れてくる。これが途中で合わさり最南部にデルタ地帯が形成されるという構成だ。今回はどちらの川も洪水被害を受けた。また隣国カメルーンの放水なども洪水を大きくした。さらにこれが合わさって一つの川になるため下流にも被害が広がったようだ。

JETROによると穀倉地帯が被害を受けているほか南部の天然ガスプラントが被害を受けているそうだ。ロイターはLNGの生産は続いているという現地からの声を伝えている。最近原油やエネルギー価格が高騰しているがナイジェリアの洪水による被害がどれくらいになるのかはまだわからない。食糧やエネルギー価格の高騰の理由は実はウクライナの戦争に由来するものばかりではない。実は旱魃や洪水など気象要因によるものが多く含まれている。

ナイジェリアはコメの原産地である。アジアからのコメが移入されたものではなく昔からこの地域ではコメが栽培されてきた。また、生活水準が向上し雑穀でなくコメを食べる人も増えていたようだ。

まず政府の米の輸入制限があり、戦争や世界的な気象災害により食糧価格が高騰していた。それに覆いかぶさる形で洪水が起きた。2019年7月に50キロあたり15,000ナイラだった米は現在37,000ナイラあたりに高騰している。さらに外国産の米は40,000ナイラにまで高騰している。

ナイジェリアはコメの原産国だが生産性はあまり高くないようだ。機械化が進んでおらず日本のような灌漑稲作(つまり人工的に作られた水田)でもない。米の生産規模は世界有数だがそれだけでは足りておらず潜在的な米不足の状況にある。これを輸入と密輸によって補っていた、

中央銀行は外貨流出を止めるためにコメだけでなく広く輸入決済のための外貨調達を禁止した。2019年の時点で自給率は54%だったが輸入規制のために米の輸入量は激減している。だが、タイの米穀輸出協会によるとタイの隣国のベナンやトーゴに多くのコメが輸出されているという。両国の経済規模から見ると過剰な輸出になるため「ナイジェリアに流れているのではないか」と言われているそうだ。

ムハンマド・ブハリ大統領は石油に頼らない産業の多角化を目指しているとされるが、実際には成果が出ていないようだ。2018年時点の情報では世界経済フォーラムの腐敗指数によるとナイジェリアは「世界で最も腐敗されている29の国」の一つになっており政策実現能力には疑問符がつく。

ナイジェリアはまだまだ全体的に貧しい国家のためエンゲル係数が高い世帯が多い。さらに洪水前から飢餓のリスクが高いと言われていた。もちろんコメだけでなくモロコシ、トウモロコシなども水没してしまった。フランス24によると収量の60%から75%が失われたという。

気象災害に政治的な無策が重なりナイジェリアでは食糧危機が広がる恐れがあるとフランス24は指摘している。

参考資料

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