おそらくこれから下り坂にさしかかる中国で習近平国家主席の続投を決める共産党大会が始まった

中国で共産党大会が始まった。習近平国家主席の3期目が承認される見通しとなっている。日本では台湾への武力行使を諦めていないという点が話題になっているが実は次世代の目標探しに苦労しているのかもしれないと感じた。

このために利用されているのがアメリカの干渉と台湾の分離独立運動だ。一方のアメリカ合衆国も中国こそがライバルだと言っている。イデオロギー型の国家が存続するためには外に敵が必要なのだということがわかる。

ただおそらく中国はこれから下り坂にさしかかる。これまでの成功体験が「裏目裏目にでる」という三期目になりそうだ。






中国で共産党大会が始まった。日本では「長老の一部が参加しなかった点」「反対運動もあるが抑圧されている点」「台湾への武力行使を諦めていない点」などが強調して伝えられている。覇権主義型の専制主義国家としての中国像が喧伝されている。背景には躍進する中国に対する警戒心があるのだろう。

事前には3時間に及ぶ総括が読み上げられる予定だったそうだ。過去の政策は全てうまくいっているが冷戦思考に囚われたアメリカの干渉や台湾の分離主義の動きを阻止しなければならないというようなことが延々と書かれていたようである。結局「1時間45分の短縮版」が読み上げられたようだとNHKが伝えている。なぜ自分が絶対的な指導者でなければならないのかを説明するには3時間でも足りないということなのだろう。

中国のメディアを見ると違ったことがわかる。中国は共産党の指導のもとで「小康状態」を達成したが、干渉主義と分離主義の脅威にさらされているためさらに一致団結して前進しなければならないというようなまとめになっている。そのために重要なのが共同富裕と腐敗の撲滅である。

政治的にはアメリカの介入主義・干渉主義に反抗しつつ実はアメリカ中心の経済に依存し成長してきた。今後習近平国家主席のこのやり方が通用しなくなる。つまり中国は今が絶頂期と言える。習近平国家主席は過去の成功を基礎にして三期目を続投するのだからこのやり方を変えることができないだろう。

絶頂期を夏に例えると今の中国は夏の盛りだ。日本にもこのような時代があった。高度経済成長期の終わりには「東西冷戦に勝利し」「アメリカからも学ぶものはなくなった」という達成感があった。結果的にこの達成感は「もうこれ以上頑張らなくてもいいのでは?」という緩みをうみその後の停滞につながってゆく。つまり夏の終わりには秋の気配が内臓されている。

日本は「小康状態」を達成した時点で前進する理由を失いその後の成長のモチベーションが削がれていったことになる。いったん低成長が定着すると「別にこのままでもいいのではないか」という妙な安心感が生まれる。だが、高度経済成長期のシステムを捨てることもできない。その弊害が次々と顕在化しているというのが現在の状況だ。

日本は民主主義国家なので政権政党が「正統的な統治者である」と主張する必要はない。選挙で信任され続ければいいからである。国民が政治に満足している必要もなく「他に代わりがないから」程度の理由でも政権は維持できる。だが、中国はイデオロギー国家だ。つまり共産党が政府を指導するための理由が必要なのである。習近平体制はあるいはこの「共産党が上に立つ理由探し」に苦労しているのかもしれない。そのために利用されているのがアメリカの干渉主義と台湾の分離主義なのだろう。

もちろんアメリカも中国の脅威を必要としている。内部に深刻な分断を抱え「民主主義が問題を解決できないのではないか」という疑問を持つ人も多い。また「リベラルが主張する進歩」についてゆけないと感じる人もいるだろう。このためバイデン政権は中国を唯一の競争国と位置付け「民主主義を守り抜く」としている。

だが実はアメリカは中国に依存してきた。日経新聞から二つの記事を探してきた。

実はアメリカのインフレの原因の一つは「脱中国依存」だ。人件費が高騰し供給不安も起きている。中国でも少子高齢化が進んでおり「物価の安定装置」としての中国が機能しなくなっていた。その上トランプ政権でグローバル化を反転させたため40年ぶりというインフレが起きている側面があるのだ。

共著「人口大逆転」で注目された英経済学者のチャールズ・グッドハート氏は、人口構成の変化をとりわけ重視する。少子高齢化による主要国の生産年齢人口(15~64歳)の減少は、労働力の不足と賃金の上昇につながる。安価な中国人労働者の供給が細る影響は特に大きく、そこに世界的な物価反転の主因を見いだす。

米欧のインフレ、行く末は日本化か 停滞リスク拭えず

3つ目の構造変化はグローバル化の反転だ。世界の平均関税率は1990年の15%から2017年には5.2%まで低下したが、米国のトランプ前政権がその流れを変えた。中国などとの貿易戦争で米国の平均関税率は18年の3.3%から19年には8.7%に急上昇。ウクライナ危機で世界的に食糧の保護主義も強まり、米シンクタンクの調査では18カ国が輸出禁止措置を発動している。半導体の囲い込みなど、貿易面での障壁が物価全体の上昇圧力を強める。

40年ぶりインフレ時代突入、重なった4つの構造変化

普通に考えて「切り離された側」の中国にも何らかの副作用が出ているはずだが、この動きは顕在化していない。コロナの抑制という理由で経済を止めてしまっているからである。アメリカやヨーロッパは金利を上げることで経済を冷却しようとしているが中国はコロナを冷却に利用していることになる。

だが、いつまでもゼロコロナ政策は続けられないだろう。国内では経済を動かさなければ食べてゆけないという人が出てきているようだ。だが、経済が再開されれば中国でもかなり大きな経済の変化が起こるはずだ。

外の脅威を理由に3期目を正当化しつつある習近平国家主席だが、おそらく大きな変化に直面するのはこれからになるのだろう。民主主義の限定的な中国には選挙による政権交代はない。

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