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河野太郎デジタル大臣が「原則廃止」を発表した後、加藤厚生労働大臣がさっそく「火消し」に走る

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河野太郎デジタル大臣から「紙の健康保険証原則廃止」が発表された。TBSは背景を取材し岸田総理の肝入り案件だったと伝えている。だが実際には加藤厚生労働大臣が「保険料を払っている人全員が受診できるような手段を確保しておく必要がある」として火消しに走った。

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事前の予測通り河野太郎大臣が鳴り物入りで意欲的なプランを出してきた。TBSは「河野大臣は就任当初に岸田総理から重要ミッションとして与えられていたようだ」と伝えている。新型コロナの給付事務がトラウマ(苦い思い出)になっているというのだ。勝手に突っ走っているわけではないということはわかりひとまず安心といったところだ。

これまでポイントをつけて誘導しても国民は言うことを聞いてくれなかった。であれば今度は強制しようということになったらしい。このいかにも強引なやり方は河野太郎大臣の狙い通り世間に最大級のインパクトを与えた。共産党は強烈に反対しており「マイナンバー制度そのものをなくせ」と息巻いているようだ。もはや何に反対をしているのかはよくわからないがとにかく押しつけられることに苛立っているのだろう。これも野党に事前に説明していれば防げた反発だったのかもしれない。共産党など一部の野党が反対しているだけという図式を作るのはさほど難しくなかっただろう。だが河野さんはやらなかった。

一方で加藤厚生労働大臣は「保険料を納めている人が保険診療を受ける権利を持つのは当然であり、前提だ」と述べた。つまり「代替手段を残す」と言っていることになる。総理大臣の「思い」から来ているから反対はできないのだが足元で騒ぎになるのは困るということなのかもしれない。

健康保険は誰でも受けられるようにしておく必要がある。一方マイナンバーカードの保持は任意である。論理的に「だったら保険証化は義務化できない」ということになる。

結局、よくわからない人は「なぜか市役所から健康保険証が送られてこなくなった」と戸惑い政府に反抗したい人は「政府に対する抵抗の印」として「断固拒否」という状況になりそうだ。なぜ河野大臣が発表する前に事前に閣内で調整しておかなかったのだろうか?という気もするが、とにかく発表されてしまった。

医療機関はマイナンバーカードがないお年寄りに「保険証がないと診察は受けられませんよ」と説明する。お年寄りは「あら、つくらんといかんのかね?」と困惑顔だ。すると病院は「いやマイナンバーカードを作るかどうかは任意ですよ」と説明せざるを得ない。結局、氏名を聞いておいて病院が自治体に問い合わせるとか、地方自治体がマイナンバーカードを登録しない人をより分けて「臨時カード」を作るとかそんな話になるのかもしれない。病院としては患者のマインバーをあらかじめ聞いておくのが最も安心だが「個人情報と紐づいているからマイナンバーはできるだけ人に見せるな」という最初の説明とは整合しなくなる。

いずれにせよその時に河野さんと加藤さんが大臣をやっているという保証はない。2024年の誰かが「説明責任」を負うことになる。

考えみれば「たかだかプラスチックのカード1枚」を普及させるのになぜここまでの大騒ぎになるのかはよくわからない。だが、とにかく騒ぎになっている。世襲の政治家が多く一般庶民が何を考えているのかどう説明すればわかってくれるのかということがよくわからなくなっているのかもしれない。

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Comments

“河野太郎デジタル大臣が「原則廃止」を発表した後、加藤厚生労働大臣がさっそく「火消し」に走る” への2件のフィードバック

  1. これは当然です。特に高齢者はマイナカードを作らない人が多数出て医療現場は大混乱になるはずでマイナカードの無い人には
    紙の保険証を交付するのは確実です。
    さらに河野大臣はマイナカードと運転免許証も統合するようで、これを更にスマホにも乗せるようですが、現場の大混乱や詐欺の大量発生は目に見えています。
    また最近は中華スマホを使う人も多いですが、中国に情報をごっそり抜かれる事に
    なります。

  2. かっこおのアバター
    かっこお

    マイナンバーカードに健康保険証の情報が電子的に記録されるだけなので、マイナンバーがわかれば健康保険証の情報を得られる(検索できる)ということではないです。よって、医療機関でマイナンバーを聞く必要もなく、マイナンバーを保持する必要もありません。