ブルキナファソで再びクーデター騒ぎ:背景にあるのはマクロン大統領のサブサハラ撤退

ブルキナファソで「イスラム過激派への対応が不十分」ということでクーデター騒ぎがあった。背景にはフランスの撤退があるのだが当事者たちにはあまり事情が掴めていないようだ。日本には全く関係がない国の話にも思えるのだがこのニュースを読むとなぜ欧米がウクライナの戦争を止められないかの原因の一つがわかる。

意外と話がつながってしまうのである。






AFPの記事は短くこう伝えている。大統領を排除した中佐が今度は格下の大尉に排除されたという話である。

  • ブルキナファソで反乱兵が軍政指導者を解任した。
  • ポールアンリ・サンダオゴ・ダミバ中佐は2022年1月にクーデターで政権を掌握していた。
  • 新たな政権トップはイブラヒム・トラオレ大尉だ。

BBCは1月のクーデータについて次のように書いている。軍の将校レベル(幹部)が自分達が従うべき大統領らを排除したという事件だった。

  • ブルキナファソでは、イスラム教主義の反政府勢力の動きを止められないことに対して、カボレ大統領への不満が高まっていた。
  • 23日には軍部隊の反抗勢力が、軍上層部の解任を要求。さらに、イスラム国(IS)やアルカイダとつながりのある武装勢力と戦うため、より多くの資源が必要だと訴えていた。
  • 声明は、未知の団体「防衛と再建のための愛国運動」(MPSR)の名前で出された。読み上げた将校とは別の将校、ポール=アンリ・サンダオゴ・ダミバ中佐が署名している。

ところが今回の事件を主導したのは「現場レベルの反乱兵」でありトップは現場指揮者の大尉ということになっている。つまり幹部たちが全権を掌握したにもかかわらず改善が見られなかったために現場が苛立ちを募らせたということになる。この企てが成功するかどうかは今の所わからないが混乱が生じる可能性は大いにある。

この一連の流れだけをみていてもなぜブルキナファソでイスラム過激派対策がうまく進んでいないのかはわからない。遠因はおそらくフランスのマリ撤退である。2022年2月のAFPの記事によると軍との関係が悪化したので撤退したと書かれている。決断したのはマクロン大統領だ。

1960年代にフランスはアフリカの植民地から撤退したが、この時に現地の政権との間に癒着を起こした。開発援助資金をアフリカに流してから一部を「フィードバック」してもらい大統領選挙などに利用するのだ。このスキームはフランサフリックと呼ばれる。マクロン大統領はこのアフリカとの関係を整理しようとしたようだ。

この時に「撤退して浮いた人員をイスラム過激派対応に回す」と約束していた。自分達が治安を守るのではなく現地の軍事支援を行うという内容だったそうだ。

フランス軍はこの地域に派遣していた5100人のテロ対策部隊を約半分に減らし、今後はマリ、ニジェール、ブルキナファソ一帯で勢力を強める過激派と戦う現地軍の訓練支援に回る予定だ。その節目となったのが今回の撤収だった。

ロシア傭兵、アフリカで勢力拡大

今回の混乱を見ていると少なくともブルキナファソではあまりこの支援はうまく機能していないことがわかる。マリではロシアが入り込み現地の政権と癒着して金鉱山などの利権を獲得しようとしているそうである。

ウクライナとの戦争でも話題になっている民間軍事企業ワグナーが入っている。

プーチン大統領がロシアで支持された理由に「軍の再編」があった。国民の動員を減らしプロフェッショナル化した職業軍人で構成された軍隊への改変を行った。この時に軍事物資の補給などの補助業務を民間にやらせることにしたようである。スリム化と民営化だった。

  • プーチンは2006年の教書演説で、国防は新世代の兵器と職業軍人を主体とする近代的な軍隊がこれを担うと明言した。プーチンはエリツェン前政権が始めたチェチェンへの軍事介入を一段とエスカレートさせたが、教書演説の文言とおり、戦闘に駆り出されたのはほぼ例外なく職業軍人だけだった。
  • 以後2年足らずで、プーチンは軍事面でも数々の改革を実施した。ロシア軍の兵力を100万人に削減、兵站や補佐的な業務は民間に移管し、予備軍の編成を大々的に改編。兵役期間を2年から1年に短縮するなど徴兵制度も大幅に改め、志願兵を増やすために軍法も改定した。

ところが蓋を開けてみると「民間軍事企業ワグナー(ワグネルとも)」のようなものができていた。ワグネルは今回のウクライナでも「兵士の調達」をやっていた。ただし調達しようとしたのは受刑者だった。マリでは金鉱山などの利権を軍事的に抑えていたようだ。確かに民間警備と軍の境界線は曖昧である。こうしてもたらされた富はロシアに供給され隣国の主権を脅かし「銃で脅して併合する」という事態にまで発展している。ロシア政府はワグナー(ワグネル)の存在を正式には認めておらず「影のような存在」になっている。

いずれにせよ、ブルキナファソの軍がこのような大きな構造に気がつくことはないだろう。現場は「なぜ作戦はうまくいかないのだろう」とか「なぜ我々は無駄なことばかりさせられるのだろう」という苛立ちを募らせていることになる。そしてその矛先はかつてクーデータを起こした幹部レベルに向かった。

おそらくこうした苛立ちを募らせているのはブルキナファソの軍人だけではない。NHKは次のようにまとめている。

一方で、ブルキナファソが位置するサハラ砂漠の南側のサヘル地域では、クーデターが相次いでいて、隣国のマリはおととし、その隣国のギニアでは去年に、それぞれ軍が権力を掌握していて、こうした政情不安や混乱に乗じて過激派組織の活動がさらに活発化することも懸念されています。

ブルキナファソ ことし2回目のクーデターで大統領追放

NHKの記事ではダミバ中佐はダミバ大統領と表記されている。また、軍が混乱することによって却ってイスラム過激派が台頭するのではないかとの懸念も書かれている。地図で見るブルキナファソは小さな国のように見えるのだが人口は2,000万人もいるそうだ。

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