グテーレス事務総長の思い切った「化石燃料棚ぼた課税」提案は分断の雰囲気の中でかき消された

グテーレス事務総長が「国際社会の分断を訴えた」というニュースをNHKが出している。確かに国際社会は分断されていて国連は機能不全に陥っているなあとは思うのだが記事はそこで終わっている。NHKはこの後の首脳演説のまとめでも安全保障上の分断を強調した記事を出した。この裏でグテーレス事務局長が思い切った提案をいくつかしているのだが、それらはすっかり忘れ去られてしまった格好になっている。






NHKがグテーレス事務総長の演説を短くまとめている。主にウクライナ問題について訴えたと書いており「ウクライナ問題で各国がどのような立場を示すのか注目が集まる」と短く結ばれている。その後岸田総理をはじめとする演説もまとめているがやはり主に安全保障と分断についての項目が多い。NHKを日本の味方の代表とすると、日本が世界を「民主主義チーム」と「そうでないチーム」の分断という図式で見ていることがわかる。

アメリカのABCニュースも同じようなラインで記事をまとめているがかなり様相が異なる。国際社会が分断されており国連が麻痺しているという見立てまでは同じだがそのあとが異なる。

国際協力の一環としてウクライナの穀物輸送の船団について語っている。これを今度はロシアの肥料にも応用したい。つまり本来のグテーレス提案は先進国同士の争いの中で新興国が犠牲になっているという構図を含んでいる。実は日本の報道だけを見ても「何が足りないのか」はあまりよくわからないのだ。

さらにグテーレス事務総長は環境問題に対して先進国が化石燃料企業に課税すべきだという思い切った課税をするように提案している。グローバル金融システムを批判し富裕国が自らの利益に奉仕するために作り上げたとも言及する。

CNNが主に取り上げているのはこの課税提案だった。これがアメリカのリベラルにとっての一大関心事であることがわかる。タイトルは「Tax fossil fuel companies ‘feasting’ on profits as ‘planet burns’ and power bills soar, UN chief urges」となっており「ビジネス」関連の記事として扱われている。

Googleの機械翻訳はwindfall profitを棚ぼた的な利益と訳している。つまりwindfall taxは棚ぼた課税ということになる。機械翻訳を提案すると「グテーレス事務総長は「化石燃料棚ぼた課税」を提案している」ことになる。

燃料価格の高騰から化石燃料企業は「棚ぼた的に」利益を得ている。この儲けに対して課税すべきだという声がヨーロッパにありグテーレス事務局長も課税を主張している。そしてこれを気象変動によって被害を受けている国々に回すべきだと言っている。

日本にとっては国連とは、ロシアと中国が入っているおかげで決まるものも決まらない役に立たない組織だ程度の関心しか持たれていない。ところがアメリカやヨーロッパでは気候変動問題と化石燃料価格が大きな問題として語られている。日本と欧米先進国では意識がかなり違ってきていることがわかる。グテーレス事務総長演説には実は「先進国と新興国」や「企業と市民」という構図も含まれるのだ。

だが、日本ではそもそも「新興国援助」という視点から先はバッサリと切り取られている。アメリカの主張も民主党支持者を意識した「リベラル」なものになっており必ずしも新興国援助という項目が強調されているわけではなさそうだ。CNNは確かに不平等について取り上げているがそれがアメリカという恵まれた国と恵まれない国の格差と理解されているかどうかはかなり心もとない感じだ。

世界が分断しているというよりは関心事がそれぞれ異なっており共通の問題意識が持てていないといういうことなのかもしれない。

ただ国連総会は(少なくとも日本では)単なる儀式として捉えらられることになるだろう。おそらくここで出た提案があまり詳細に分析されることはないものと思われる。実際にロシアでは国家動員が進んでおり国際社会の関心は暴走するロシアをどう抑えるかという点に向かってゆくのではないかと思われる。

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