日本維新の会の新しい代表が決まった。大方の予想通り馬場伸幸氏が代表となり吉村大阪府知事を共同代表に指名した。松井代表は来年春に政界を引退すると表明しており党籍もなくすそうだ。
今回の選挙の特徴はいくつかある。
一つは盛り上がりに欠けたという点である。選挙直前にAbemaで行われた討論会でも異論が相次いだ。「血みどろの権力闘争をしろ」をしろという話だったのだが松井代表がいち早く馬場支持を表明してしまったため「出来レースになってしまった」というのだ。そもそもあまり注目されていない上に「どうせ馬場さんなんでしょ」という空気が広がりしらけたムードの中で選挙が行われたようだ。
確かに自民党の派閥同士の争いはワイドショーで注目が集まりやすい。日本人が政策ではなく人間関係に多く注目するためだろう。さらに「正々堂々とした」争いよりも「なりふり構わぬバトル」の方に真剣味を感じる人も多いはずだ。表向きの言葉ではなく権力への執着こそが熱心さを裏打ちしていると考える人も多いのかもしれない。
一方で読売新聞は「維新代表選でルール違反次々…SNSに投票画像・陣営に党員名簿」という記事でルール無視が横行したことを問題視している。特に問題になっているのが党員票が議員票と同じに扱われるという制度のようだ。全ての党員に関して有権者資格を確認しているわけではないようだ。またお金を出して党費を肩代わりしてやればその「党員票」をそのまま手中に収めることもできる。
ただし公職選挙法で厳しく規定されているわけではなく、ルール違反が横行しても法令上特に問題になることはない。ルール無視の姿勢はSNSで問題になることはなかった。そもそもあまり期待されていない上に「維新ならありそうだなあ」という程度の問題でしかないからだ。もしかすると「少々ルールを破るくらいのひとでないと現状の改革はできない」と感じる人もいるかもしれない。これが大衆依存型(ポピュリズム)政党の特徴だ。
いずれにせよ、結局大方の予想通りに馬場伸幸氏が新しい代表になった。松井一郎代表・大阪市長は大阪市長の任期満了で政界から引退し党籍も維持しないと表明している。
今回の代表選挙について一般の関心はそれほど高まらなかった。良くも悪くも橋下徹氏や松井一郎氏の「顔」でまとまってきた政党だけに現在の人気が今後どう推移してゆくのかに注目が集まる。