ざっくり解説 時々深掘り

最近コロナのニュースがあまり聞かれていないので「どうなっているのか」を調べてみた

最近、コロナのニュースをテレビでまとめて聞く機会がなくなった。気がつくと情報はYouTubeに流れてくるニュース経由で手に入れている。

とはいえ感染は拡大しているという実感がある。一度家族が感染すると一週間以上は対応を迫られるのだが病院で診察してもらうこともできない。散発的に「二類相当を五類にする」などというニュースが散発的に入って来るが、結局何がどうなっているのかがよくわからない。

そこでニュースを検索してみたのだが「どこの県で何人感染者が出た」というような話ばかり検索結果として上がってくる。そこで思いついた検索ワードをつけて記事を当たってみた。

大筋だけ説明すると「分科会有志」が提言をまとめたものの厚生労働大臣が代わったことで「ゆっくり話を聞かせてほしい」ということになっているようだ。

とここまでをあらかじめまとめておいたのだが、夕方になって「岸田総理がコロナに感染した」というニュースが入ってきた。あらかじめ4回目のワクチンを接種しており今の所は軽症なのだそうだ。ロイターは夏休みにゴルフをする岸田総理の写真を使っている。

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8月2日に突然の「分科会有志」の発表

分科会が開かれないことに業を煮やした有志が提言をまとめたと報道されたのは2022年8月2日だった。提言は「全数把握の廃止」という今すぐの対策と「出口戦略」をステップを分けて提示するように求めていた。この時の厚生労働大臣は後藤さんだった。

その頃、岸田政権は統一教会問題で「炎上」していた。岸田総理は内閣を改造し「全数把握見直し」を指示して夏休みに入る。二類相当も「第7波収束を待って議論するように」と求めていた。新しい内閣が発足したのは8月10日だった。

8月17日に新しい大臣が「ゆっくり話を聞かせてくれ」と意見交換

これを受けて加藤厚労大臣と尾身会長が「意見交換」を始めた。新しく厚生労働大臣になった加藤厚生労働大臣は「色々な話を聞かせてほしい」と要望し尾身会長はまた一から訴えることになった。

それでも尾身会長は「新しい仕組みづくりが必要」という考えを伝えた。つまり、全数把握をやめるなら持病のある高齢者の対策や状況のモニタリングをする仕組みが必要だというのである。また現在は医療体制が逼迫しているので「出口戦略については分けて考えたほうがいい」とアドバイスした。

結局提言と同じ内容が繰り返されたことから提言の検討が全く進んでいなかったと考えて良さそうだ。「一体前の大臣は何をやっていたのだろう」という気になる。

もともと「全数把握をやめてほしい」と言ったのは県知事会だった。全国知事会の平井鳥取県知事の「「あまりにも悠長でそんな暇はない」尾身会長を批判、知事が早期の見直し求める」という苛立ちはそのまま見出しになった。鳥取県は独自のモニタリング体制について医師と協議を開始したそうだ。小池都知事は「全数把握をやめて状況がわからなくなると困るので適切に代替案を出してください」と要望しているが、いつものようにどこか他人事である。

ワイドショーでも「今から検討を始めるんですか?」と呆れる声が出る。石原良純さんは「分科会は何をやっているんだ?」と指摘している。しかし分科会を招集しないのは厚生労働省の方で有志で提言まで出している。尾身会長を非難するのはかわいそうなのではないかと思う。

行動制限なきの当然の帰結

無料抗原検査キットの配布がようやく始まった。感染者が薬局に出てくるのではないかという懸念が高まっている。ここには書かれていないが「濃厚接触者」認定も事実上なくなっているか形骸化しているので「家庭内感染かつ症状が出る前」の家族が買い物に行っているのは確実。お盆に行動制限もしなかったため「ウィルスがばらまかれている」前提で行動したほうがよさそうだ。つまりリスクがあるのは薬局だけではないことになる。

最近、感染者数が少なく発表されているのが不思議に思える。

この「リスクがあるのは薬局だけではない」と書いた時にはまだ岸田総理の感染のニュースは伝わっていなかった。

それでも学校は予定通り再開か?

文部科学省は二学期の再開を前に「複数の過程で感染が広がっても学級閉鎖はしないように」と通達した。Twitter上では「持病を持った子供は学校に来るなということか」という反発も広がっている。

こうして通達レベルのニュースが伝わる一方で、閉会中審査に応じた加藤厚生労働大臣は無難な表現に終始している。日経新聞は次のようにまとめる。

  • 高齢者など重症化リスクが高い人の健康管理体制は維持すると表明したが具体策は提示せず。具体策は今専門家に聞いていると説明。
  • 理論上は全額公費負担のワクチン接種を有料化するかもしれないと表現。インフルエンザのような扱いにすればそうなるでしょうねという「可能性」の問題なので結局何も言っていない。
  • スピード感を持って「月内に具体的な方向性を決める」と約束。

結局「今やってます」というだけで何の情報も伝わってこない記事である。

まとまったニュースがないのは誰もまとまった情報発信をしていないから

尾身会長は政府に「具体策を考える必要がありますよね」と提言し、加藤さんは「専門家に意見を聞いている」という。読売新聞は「方針を固めた」と表現しているものの日経新聞は「具体策は提示されず」と書いている。産経新聞は当面二類相当を維持しつつ全数把握だけを見直すようだと書いている。

一部のワイドショーは盛んに「HER-SYS」は細かすぎて現場の医師が対応するのは大変だという話を流している。入力情報の簡略化や入力補助の動員などできることはいくらでもありそうなのだがそうした対応策は全く話し合われておらず、単に「やめる・やめない・次どうする?」という乱雑な議論が展開されている。

そうこうしているうちに岸田総理がコロナに感染した。リモートで執務を続けるというものの、さすがに病気になった方に「全面に出てきて事態を収拾すべきだ」とは言いにくい。とはいえ加藤厚生労働大臣の「スピード感」は明らかに世間の期待に沿ったものではない。

だがおそらく岸田総理は全面に出てこないだろう。国会は国葬儀後の10月までは開かれない予定だそうだ。政府関係者は「国葬の前に国会を開く意味はない」と言っているらしい。補正予算など決めたいことだけを決めて野党に責任追及のチャンスを与えないという方針なのだろう。

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