トランプ氏についに「スパイ容疑」がかけられる

少なくともABCやCNNの報道を見る限りかなり加熱しているトランプ前大統領のドキュメント持ち去り疑惑だが日本ではあまり注目されていないようだ。昨日の投稿ではむしろ「岸田総理の支持率があまり伸びなかった」記事の方が多く読まれた。

最終的にトランプ氏にかけられた容疑はスパイ容疑なのだがもともとトランプ氏は大統領としてこれらの文章を読む権限を持っていた。つまりスパイとしてドキュメントを盗みだす必要はない。さらに大統領選挙に出馬しようとしているため情報を持ち出して外国に流す動機にも乏しい。にも関わらずこれが容疑とされたのは「大統領が憲法規範を破って文書を盗み出す」という事態がアメリカ憲法に想定されていなからだろう。






司法長官が公開を要請しトランプ氏サイドも反対しなかったために令状が公開された。ここから様々な情報が浮かび上がり捜査の全容が明らかになってきた。捜査令状が公開されて以降、CNNABCニュースは特集ページを作り記事を次々と公開していた。

さぞかしトランプ陣営は困るだろうと考えるのが普通だが事態はその後おきまりの展開をたどる。アライと呼ばれるトランプ支持者たちが「様々なナンセンス」を振りまき議論を無効化させてしまったのだ。大統領経験者の文書持ち去りという前代未聞のインパクトを消火させるには十分な量だったようだ。中には「オバマ大統領こそ大量の文書を盗み出している」という根拠のない反論も展開された。英語ではwhataboutism(お前こそなんなんだ主義)などと言われる。日本でいう「ご飯論法」の類である。国立公文書記録管理局 (NARA) は大量の文書を移動したのは自分たち自身だと釈明しなければならなかったという。

このやり方を図書館に例えると次のようになる。図書館にあり館外持ち出し禁止の資料が持ち去られた。これを回収しようと図書館は何ヶ月も説得するのだが応じてもらえない。ついに捜査当局に相談し家宅捜索に踏み切った。すると今度は「自分が持ち出したんじゃない、図書館が勝手に本を置いたのだ」などと言い出した。

とはいえ、持ち出された文書は公的な図書館から持ち出されたものとは比べ物にならないほど重要なものが含まれる。

今回押収されたドキュメントには11の機密情報が含まれるそうだが1つはSCIという最高機密が含まれている。SCIに指定されると限られた人が限られた場所でしか閲覧できなくなる。だがこのSCIの中身はいまだに明らかになっていない。

もっとも機密性が低い文章にはロジャー・ストーン氏の恩赦に関する文章が含まれているという。ストーン氏は2016年大統領選挙にロシアが関与していたとされる問題について下院情報委員会の調査を妨害し、ウィキリークスに情報を流し、裁判では虚偽の証言も行なっていた。ストーン氏は裁判の期間中裁判官を脅すようなSNS投稿をしていたため、判決でジャクソン裁判官は嫌悪感を表明するという異例の事件だった。トランプ大統領はこのストーン氏を恩赦し当時問題視されていた。

また文書の表書きから「フランスの大統領についてのドキュメント」も含まれているもようだ。一方で、当初ワシントンポストから出ててきた「核」に関する文章についての言及はない

これを民主党の攻撃とみなすトランプ陣営側の主張はエスカレートしている。この問題を担当しているキャシュ・パテル氏はFOXニュースに対して「GSA(日本語では共通役務庁と翻訳するそうだが資産管理を担当する部署である)が機密文書をマールアラーゴに持ち込んだ」とか「すでにこれらの文書は機密解除されているのだから捜査は失敗だった」などの主張を展開しているという。つまり自分たちが盗み出したのではなく図書館がなぜか本を置いて行ったのだという展開である。

こうした事態はおそらくアメリカ合衆国の法律では想定されていなかったのだろう。AFPによると容疑の最も大きなものはスパイ容疑だった。機密文書を不法に保持していたという疑いである。大統領経験者が憲法規範を破壊しありとあらゆる合理的でない言い訳を繰り広げるという事態は想定されていなかったものと思われる。トランプ氏がこうした情報を海外に売り渡そうとしたかはわかっていない。むしろ何かを隠したかった可能性もある。だが結局それは「スパイ容疑」でしか捜査できなかった。

このため日本のニュースでは短く「スパイ防止法違反の疑い 「最高機密」含む文書押収―トランプ氏宅捜索」として伝えられたのみだった。

Google Recommendation Advertisement



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。