ニュースバリューのあるヘッダーの一つに意外な掛け合わせがある。朝マック・密輸でこのニュースは注目されるだろうなあと思ったのだがやはりヤフーニュースの国際セクションではいっとき1位になっていた。AFPによると罰金の額は2664豪ドル(約25万円)だったそうだ。シドニーではソーセージエッグマフィンが567個も買えるという厳しめの金額だ。
ではなぜこんな騒ぎになったのか。おそらく見せしめなのだろうということはわかる。記事に書かれている通りインドネシアでは口蹄疫が流行っている。このためマレーシアとオーストラリアでは家畜の輸入を制限しているそうである。
では口蹄疫とはどのような病気なのか。日本では2010年に10年ぶりに口蹄疫が出て問題になった。この時の記事を見つけてきた。
- 口蹄疫が見つかったのは宮崎県都農町。
- 口蹄疫はそもそも感染しても症状は軽いが肥育に影響が出るため嫌われている。
- 牛や豚から広がるほか、ネズミなどの野生動物や人間、敷きわらのようなものや乗り物でも運ばれる。
ソーセージエックマフィンは加熱加工されているのだからここから病気が広がるとは考えにくい。だが感染経路がよくわからないため厳しい対策が取られるのだろう。
口蹄疫はアジアでは中国、韓国、台湾などでみられるそうだが日本は「清浄国」ということになっている。また清浄国は非清浄国からの家畜ならびに食肉などの輸入を制限しているため一度病気が確認されると殺処分などが行われ、その後「清浄国への復帰」を目指すことになる。
1996年にOIEが公式認定を開始した当時から「ワクチン非接種清浄国」に認定されています。2000年3月に口蹄疫が発生しましたが、2000年9月26日に「ワクチン非接種清浄国」に復帰しました。また、2010年4月に発生した口蹄疫のために一時期「ワクチン非接種清浄国」のステータスが停止されておりましたが、2011年2月に日本は「ワクチン非接種清浄国」に復帰しました。
OIEが行う特定疾病のステータスの公式認定(農林水産省)
事情はおそらく「清浄国」扱いのオーストラリアやニュージーランドでも同じなのであろう。現在オーストラリアに持ち込める食肉は「缶詰や瓶詰めなどの保存を目的にしたもの」と「清浄国からの干し肉(ジャーキー)」だけなのだそうだ。オーストラリア大使館は「厳しい検疫措置を実施」と書いているが、その「厳しさ」は朝マックの持ち込みに25万円の罰金というものだった。
こうした厳しい権益は普段から行われているもののインドネシアで口蹄疫が流行っていることもあり「特に報道した」のではないかと思う。このニュースを見て、敢えてオーストラリアにソーセージマフィンを持ち込もうとする人はいなくなるはずだ。マクドナルドはオーストラリアにもあるのだから敢えて持ち込む必要はない。乗客は検疫で見つかる前にパンケーキを残してソーセージマフィンだけでも食べてしまうべきだった。