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経済紙記事などのまとめ:アメリカの金融市場は悲観一色

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14,15日とFOMCの会合が開かれている。焦点は物価高対応のために0.75ポイントの利上げに踏み切るかどうかだ。アメリカの金融市場は悲観一色だが日本にも動揺が広がっている。ついにNHKの7時のニュースやワイドショーまで円安の影響を伝えるようになった。すでに「知っている」という人も多いと思うのだが、あまりこの問題に詳しくないという人にとっては突然降って湧いた話のように感じるだろう。短い時間で「今何が起きているか」がわかるようにできないかと工夫してみた。各論を全部把握しようとするとかなり時間がかかる。興味のある記事だけを拾うと良いのではないかと思う。

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先日来の流れとは打って変わってロイターもBloombergも0.75ポイントの利上げに踏み切る可能性が高いという観測を流すようになった。急激に状況が変化していることはこれでわかる。各社ともに記事を出しているが「もう読んだ」という人が大半かもしれない。

これに伴ってアメリカの地上波が盛んにリセッションの可能性について流すようになっている。過去の記憶があり急ブレーキが何を意味するのかがよく理解されているのだろう。YouTubeでニュースを見ると関連ニュースとして次のようなフッテージが盛んにレコメンドされてくる。

背景には物価上昇が止まらない中で株式市場がBEAR Marketに入った(弱気になっている)という事情があるようだ。

ロイターは投資家は株にも債権にも逃げられないと書いている。一応コラムの最後にはどこに逃げるべきかという提言があるがあまり派手な金融商品はないようだ。

いずれにせよ、急激な変化が起きているようだ。Bloombergは「センチメントが急激に悪化している」というバンク・オブ・アメリカの調査内容を伝えている。

Bloombergは「これはパニックなので落ち着いて行動すれば大丈夫である」と強調しているのだが、株式にも債権にも逃げられないという状況の中で多くの人が先行きの不安を感じているというのが実情のようだ。

もちろん日本でも株式は下落しているのだが主に円安が意識されているようである。ついに日本の地上波までが円安の背景について解説し始めた。NHKは「市民生活に影響が広がる」ことを強調し金利差についても言及しつつも政府批判は避けている。「日本の経済状況はアメリカとは違う」と説明し、政府が国債を発行するために金利が低く抑えられているという点については触れられていない。つまり政権と金融政策の切り離しが図られている。選挙を控えているため無用な混乱は抑えたいという配慮なのかもしれない。

TBSも事情は同じだ。アメリカの動揺が日本に広がっているという解説にとどまっている。ただし、コメンテータの中には「きちんと情報を伝えなければ」と考えている人もいるようだ。例えば「ひるおび」の中では大谷昭宏氏が加谷珪一氏に質問する形でこの利払い費の問題を引き出していた。加谷珪一さんは元々この問題について指摘してきた。地上波のテレビでは様々な縛りがあり「言えること」と「言えないこと」があるということがわかる。

選挙を控えているため日本の地上波は今回の問題を「アメリカ発の天災」として捉えたい。だが背景には政府財政の調達方法の問題があるのは明白だ。本来ならば政権が力強いメッセージを出してマーケットの混乱を収める必要があるのかもしれない。だが今のところ岸田政権からはそのような動きは見られない。黒田総裁もあまりわかりやすい発言はしていない。

そんななかついに「公然と日銀に挑戦する」という人たちまで現れた。これもBloombergが記事を出している。

記事を読んでもなぜブルーベイが挑戦しているのかはわからない。またヘッジファンドが中央銀行に挑戦したからといって日銀がやすやすと屈するとも思えない。だが欧米のエコノミストたちは「日銀も従来の金融政策を維持できなくなるだろう」と読んでいるようだ。黒田総裁の防衛線はすでに突破されているようだ。一部投資家の挑戦は今も続いている。

一方でこの現象を別の角度から解説している記事が見つかった。日経は日銀の不自然な介入により国債が経済の指標として使えなくなっているということを心配している。日銀もこれを心配しなんとか正常化に向けて努力をしているようなのだが日銀が抑え込みを図ろうとすればするほど服用が広がる。このため市場が「催促相場」を作り正常化を要求していると日経新聞は解説している。

今後のスケジュールだがFOMCの結果は日本時間では16日の早朝に発表されるはずだ。日銀はこれを受ける形で16日と17日に政策会合を開く。結果の基本見解は会合終了後直ちに公開されるのが通例になっているそうである。まずはFOMCの見解が注目されているのだがその後の日銀の発表にも注目が集まっているようだ。

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