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ニューヨーク州バッファローで黒人を狙い撃ちにした銃撃事件が起こり10名が亡くなった

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ニューヨーク州バッファローで黒人を狙い撃ちにした銃撃事件が起きた。犯人は18歳で白人至上主義を訴える「マニフェスト」が見つかっているという。これまで10名の死亡が確認された。

アメリカでは銃犯罪が急激に増えているが銃規制は進んでいない。おそらく狙い撃ちにされた黒人コミュニティの感情に配慮し当局は「ヘイトクライムであり当局がきちんと捜査している」と強調している。

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トランプ政権末期からアメリカ合衆国では「アフリカ系コミュニティが差別されている」という感情がくすぶっている。このためなのか当初から「これはヘイトクライムであり当局がきちんと対応している」ということが強調されていた。表立っては決して語られないのだが対応を間違えればかなり危険な状態に陥るという危機意識があったのではないかと思う。

以下CNN英語版での情報をまとめる。日本語版にも記事は持っているがあまり詳細な情報は書かれていない。日本語ではBBCが比較的情報をまとめている。

事件はニューヨーク州北部のバッファローという街の郊外のスーパーマーケットで起きた。殺されたのはたまたま日用品を買いに来た普通の人々である。容疑者のペイトン・ゲンドロンは18歳で合法的に手に入れたライフルで犯行に及んだ。

180ページに及ぶ白人至上主義のマニフェストを作成していたことと過去に高校を脅迫し精神鑑定にかけられていたことがわかっている。アメリカの情報を見るとマニフェストの内容が一部伝わっているようで「白人至上主義のシンボルが使われていた」などという情報もあるがCNNの記事ではそのあたりの詳細には触れていない。こうした主張が新しい刺激となって別の犯罪を誘発する可能性があるからだろう。

ネットで「白人の人口が減っている」という情報や白人至上主義者の主張が多く出回っておりゲンドロン容疑者はそれに触れて危機感を持ったのかもしれない。

ゲンドロン容疑者は200マイルの距離を移動した。ゲンドロン容疑者の住んでいるコンクリンも同じニューヨーク州にある。バッファローからは200マイル程度離れており車で3時間以上かかる。ニューヨーク州といっても非常に広大なのだということがわかる。

攻撃の様子はネットで生中継されその後すぐに削除されたという。ゲンドロン容疑者は人口集計を見てバッファローのこの街をターゲットにしたと供述している。郵便番号単位での集計があり誰でも容易にどの地域に黒人が多いかを調べることができる。郵便番号14208の地域は78%が黒人居住者で占められるそうだ。

死刑のないニューヨーク州で「第1級殺人」の最も重い刑罰は釈放なしの終身刑である。

ゲンドロン容疑者は高校時代に「脅迫的な発言をした」という理由でメンタルヘルス評価を受けるために拘留された。この時にどのような評価が下されたのかはまだわかっていないようだが「人種的な動機の発言でなかった」とされている。その後、市場で4ヶ月働いたが3ヶ月前に辞めている。近所の評判は「物静かな青年」だったそうだが裏では黒人憎悪を募らせターゲットを探しつつ長大なマニフェストを書いていたのだった。

銃犯罪についてまとめているガンバイオレンスアーカイブによると2022年に入って198回の銃乱射事件が起きている。これは4人以上に対する銃乱射事件のみを数えた集計なのだそうだ。2021年5月末に書かれたBusiness Insiderの記事によると2020年には611件の銃乱射事件が発生していた。同じガンバイオレントアーカイブの統計なのでやはり4人以上の銃乱射事件に限ったものである。自殺を除く銃による死亡者数は1万9379人なのだがアメリカ合衆国は依然十分な銃規制ができていない。

自由を求める戦争で独立を勝ち取ったアメリカでは銃を持つことは国民の権利だとみなされている。このため十分な銃規制は行えない。反対しているのは主に保守派だ。一方で保守派は中絶は殺人だとして「生命の尊厳を守るため」に中絶に反対している。

バイデン大統領はニューヨーク州に対して哀悼と支援を申し出たと報道されている。ただしアジア歴訪を控えておりバッファローに行けるかどうかはよくわからないと伝えられていた。のちになってバイデン大統領は「火曜日にバファローに出かける」との声明を発表した。アメリカ合衆国のアフリカ系は「国やコミュニティから十分に保護してもらっていない」と考えている。どれくらいの訪問になるのかはわからないが「事態を深刻に受け止めている」ことを示すためには訪問もやむなしと判断したのではないかと思う。

バイデン大統領は国内向けには憎しみと戦うためには協力が必要だと訴えている。だが一方で「専制国家との戦い」を掲げ武器供与も厭わない姿勢だ。このような内外のメッセージの使い分けを大人は区別できるのだろうが17歳や18歳くらいの年齢の青年が理性的に判断できるのかはよくわからない。現実に起きていることを見る限りではおそらくかなりの数、区別ができない人がいるのではないかと思う。こうした人々がネットにある玉石混交の情報を元に行動を起こすというのがアメリカの現状だ。フェイクニュース対策がアメリカで喫緊の課題であることがよくわかる。

だが流通する内容はフェイクばかりではない。

アメリカの政治言論はかなり激しい闘争状態にある。外では侵略戦争も行われおり「自由を守るための戦い」が日々宣伝されている。そんな中「白人文化存続」を願う少し危ないメンタルを抱えた「普通の」高校生が「自由」を手にするために行動を起こしたとしてもそれほど不思議ではないというくらいには事態が悪化している。

確かに闘争は政治的利用価値が高い。マネジャブル(管理可能)な範囲で政治的火薬や劇薬を扱いたいと考える人がいても不思議ではない。政治家たちは自分たちの野心のために利用できる敵を利用して世論を味方につけようとする必要があるからだ。彼らは青年時代に培った常識の基盤を持っているので「ちょっとくらい世間を刺激しても収まるところに収まるだろう」と考えるのかもしれない。だが聞き手の側にはそうでない人も含まれる。今回の事件を見る限りはおそらく「新しい常識を持った」人々が育ち始めているのかもしれないと感じる。

そう感じていたところ、カリフォルニア州でも銃撃事件が起こりこのニュースはトップニュースではなくなった。日本では「ロス近郊」と書かれているがサンディエゴに近い有名なリゾート地であるラグナビーチから内陸に入ったところにあるラグナウッズという地域の教会である。退職者コミュニティがあり高齢化率が高く貧困率が低いという比較的恵まれた地域である。狙撃されたのは教会で多くの台湾系の人が襲われたようだ。襲った方も「アジア系」と報道されている。

人種、貧富の差、年齢など関係なく銃はあらゆるところで問題を起こしているようだ。もはや一部の無分別な若者の話でもなくなりつつあるのだ。

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