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アメリカのパウエルFRB議長の発言の信憑性が厳しく問われている

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インフレ予測を外し続けているにも関わらず「7.5%ポイントの利上げの可能性を排除した」という理由でアメリカFRBのパウエル議長が批判されている。パウエル議長の声明後に一時上がった株価は翌日にまた戻してしまったことから議長がアメリカの金融界から信頼されていないことがわかる。インフレ予測はヨーロッパでも難しくなっているのだがラガルド総裁は「全ての選択肢を排除しない」と宣言した。より慎重な対応で評価が分かれる展開になっている。

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パウエル議長を批判しているのはモハメド・エラリアン氏である。市場がパウエル議長を信用していないと指摘した上で「そもそもなぜパウエル議長のインフレ予測が長期にわたって外れ続けているのか」を説明するべきだと述べた。エラリアン氏は測定手法を改善するべきだと言っている。つまり、市場がパウエル議長を信頼しないのはインフレ予測の精度が低いからだという主張である。

エラリアン氏はこのインフレは一過性のものにはならないだろうと言っている。つまり今回もパウエル議長は市場予測を誤っているとエラリアン氏は考えているのだ。

実際にパウエル議長は市場からは信頼されていない。FOMC会合の後で株価は一旦回復した。ところがその後で懐疑論が広がり一旦回復した株価は帳消しになってしまった。議長への不信感が広がる中株価が乱高下し投資家は振り回されている。「きちんと総括すべきだ」というエコノミストの主張にも一理あると言わざるを得ない。

文章の中にECBは説明をしたと書かれている。では実際にヨーロッパはどのような対応をしてきたのだろうか。

まだロシアとウクライナの問題が起こる前の2022年2月10日の時点ではECBの中にも複数の見解があったようだ。「ECB政策委員会、インフレ予測に不信示す委員が増加-当局者」というものである。複数の国が連合しているEUでは各国の中央銀行総裁が集まり一つの委員会を結成している。つまり国によってインフレ予測が異なっていたということになる。

急激なインフレ予測はタカ派シフト(金融引き締め)を予測させる。このためハト派の委員たちが反発したのである。国情や経済状態の違いがこうした意見の相違を生み出しているのかもしれない。

チーフエコノミストのレーン理事は「この予測モデルは正しい」と擁護したと書かれている。この記事だけを見るとレーン理事はタカ派なのかという印象を持つ。だが調べてみると実は「ハト派寄りのメンバー」なのだという。

このレーン理事も7月の利上げに支持を表明したようだ。0.25ポイント程度の利上げを想定しておりマイナス金利が秋頃にゼロになると予測している。もちろんヨーロッパで想定されている利上げはアメリカと比べると小規模かつおとなしいものだ。0.25ポイント程度の利上げを2回か3回やるべきだという控えめな主張に過ぎない。それでも超ハト派的な金融政策を取っていたヨーロッパにすると大きな転換であると言えるのだろう。

そもそも新型コロナ禍の回復期に起きたインフレの理由はよくわかっていない。このため中央銀行のインフレ予測の精度そのものが下がっているか肌感覚に合わないと感じる当局者が増えているようだ。つまり、予測可能性が下がっているのはアメリカだけではない。違いは「アメリがが予断を持って選択肢の一つを排除してしまった」点にある。

ラガルド中央銀行総裁は「ウクライナの戦争があってもスタグフレーションが最も有力なシナリオとは言えない」と言っている。つまり市場に広がりつつある悲観論をなだめようとしている。ただ金利については「全ての選択肢」を排除しなかった。つまりパウエル議長よりもより慎重な姿勢を見せている。「わからない」ということが責められているのではない「わからないのに決めてしまった」ことが責められているのだ。これはもちろん日本にも当てはまる。インフレが先行きどうなるかはわからないが日銀の黒田総裁は「長期金利抑制を最優先課題にする」と決めてしまっている。日本の金融界から声高な批判は聞かれないものの諦めムードが漂う。政府の政策に縛られて身動きが取れなくなっているのは誰の目にも明らかだからだ。

ラガルド総裁が悲観論を払拭しようとする中でもヨーロッパの消費者の経済見通しは限りなく悲観的なものになりつつある。イアン・ブレマーが発信するGZEROメディアによるとコロナ禍の後で急速に回復したEUの消費者コンフィデンス指数は最近急激に下落している。その急落ぶりにはため息しか出ない。まさにフリーフォール(自由落下)である。

The Graphic Truth: What do Europeans think of their economy?

ヨーロッパでもアメリカでも消費者は先行きに不安を感じている。実際に疫病や戦争を背景にしたコストプッシュ型のインフレも起きており予測が難しくなるのも当然という気がする。

不確実性が広がる中、日米欧の中央銀行代表者の対応は異なっているのだが、このように不確実性が高まっている状態では、ヨーロッパの中央銀行総裁の「悲観的になりすぎるのは良くないがあらゆる選択肢を排除しない」という対応が正解なのかなという気がする。

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