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パキスタン南部のカラチ市で中国人3名が巻き込まれるテロが起こる

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パキスタン南部のカラチ市で自爆攻撃があり4名がなくなった。そのうちの3名が中国人だった。たまたま巻き添えになったのではなく中国人を狙ったものと思われる。バロチ人の分離独立を求めるバルチスタン解放軍(BLA)が犯行声明を出した。カラチ市の隣のバローチスターン州では度々中国人をターゲットにした攻撃がおきている。一帯一路で進出する中国人に対する敵意が広がっているそうである。

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現在、パキスタンは政情不安な状態にある。外貨不足に陥り軍に離反されたイムラン・カーン前首相に不信任が突きつけられた。新しく首相になったパキスタン・ムスリム連盟ナワズ・シャリフ派(PML-N)」のシャバズ・シャリフ党首が立て直しの元で立て直しを図ろうとしているが、シャリフ氏にも汚職疑惑があり先行きは見えていない。パキスタンはすでにIMFの支援を受けており「厳格な規制」がかかっている。新政権はこの厳しい規制を緩和して欲しいとIMFの要請する見通しになっている。IMFは大きな貸し手だが資金回収のために融資国政府に厳しい規制をかけることが多いのである。

カラチ市はシンド州に属するがすぐ西側はバロチスタン州になっており多くのバロチ人も住んでいる。

中国はパキスタンに積極的に投資をしておりインフラ整備などを担当している。「一帯一路」に立ちふさがるバロチスタン解放軍とは―中国のジレンマという2019年の記事が見つかった。中国は一帯一路計画の一環としてバローチ州のグワダル港を抑えようとしているが異文化の流入を嫌うバロチスタン解放軍との間に軋轢があるという内容だ。ただこの時点ではバロチスタン解放軍側は「中国人の犠牲が出た」と主張するものの中国はそれを否定していたという話になっていた。中国人の死者が出たということになれば中国内で反発が予想されるからだろう。

2021年4月にはバルチスタン州・クエッタでホテルが襲撃され駐パキスタン中国大使が標的だったという情報が出たそうだ。ただこの時間余を主張したのは「パキスタンのタリバン運動」(TTP)だった。この地域はパシュトゥーン人地域なので中国の一帯一路計画は周囲の過激派から狙い撃ちにされていることがわかる。

日本ではあまり注目されないパキスタンだがイラン系とインド系の混成国家でありイラン系もイランに近い言葉を話す人たちと別系統の言葉を話す人に分かれている。このため分離独立運動があり政権基盤の脆弱化が即地域の不安定化につながりかねないという状況だ。とはいえ分離独立できたとしてもアフガニスタンのような無秩序な状態に陥りかねない。ウクライナ情勢で手いっぱいのアメリカや西側がこの地域に関わることはないのだろう。

中国が一帯一路でパキスタンとの連携を強めるとインドはその対抗措置として日本やアメリカに近づく。とはいえインドはエネルギーや武器をロシアに依存しているためにロシアとの関係も維持しようとする。そしてパキスタンには分離独立勢力がおり中国の進出に強硬に反対している。インドとパキスタンは核保有国なので情勢の不安定化は大国を巻き込んだ争いに発展しかねないという状態だ。

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