岸田政権で参議院選挙前に補正予算を策定へ

公明党の強い要望に従って岸田政権での補正予算策定が決まった。批判的に見る人もいればこれでは足りないという人もいるのだろうが、そもそも「何がどうなっているのかよくわからない」と感じた。予備費を活用した緊急経済対策とその後の補正予算の話が両方伝わっているからである。テレビでは公明党が焦っているとか自民党と公明党の間に軋轢が生まれたなどと報道する局もあった。






当初岸田総理は補正予算は組まずに緊急経済対策のみを行うつもりで準備をしていたようだ、詳細は22日に発表されるものとされていた。ところが直前で補正予算を組むことが決まり詳細の発表は26日に延期された。幹事長会談での公明党の要求がかなり強かったのだろうと思える。二段組の報道になっているので内訳が極めて分かりにくく「億」とか「兆」という言葉しか耳に残らない。この記事を書くために何度も確かめたのだが「本当にこれであっているのか?」ということがよくわからなくなるほど内容が漠然としている。

  • 緊急経済対策の規模は1兆5千億円から1兆7千億円程度(報道により差がある)
    • 5月のガソリン対策に3千億円
    • 困窮者対策(地方創生臨時交付金経由)
    • 低所得子育て世帯への給付
  • 補正予算は2兆5000億円から2兆7千億円程度(報道により差がある)
    • 6月〜9月のガソリン対策に1兆円程度を見込むがその他の詳細は未定
    • ロイターによると内訳は
      • 原油価格高騰対策
      • エネルギー・原材料・食料安定供給対策
      • 新たな価格体系への適応円滑化に向けた中小企業対策
      • 生活困窮者支援
      • 予備費確保を柱とする今後の備え
      • 公共事業の前倒し

日経新聞は原油価格高騰対策について「出口が見えない」と批判的なヘッドラインをつけている。トリガー条項の凍結解除で年1兆5700億円ほど税収が減るという試算だったそうだがすでに予備費から4.3千億円が支出されているそうだ。9月までにさらに1.3兆円を注ぎ込むことになるので1.73兆円を使うことになり税金を使う正当性がなくなってしまう可能性があるという筋になっている。一ヶ月に3000億円が飛んで行くという破格の経済対策だ。時事通信は「国会でモニターできない予備費」が乱発されていると懸念している。

良い評価をすれば公明党のあまりの勢いに驚いた岸田政権が聴く力を発揮したということもできるだろうが、TBSは盛んに「自民党と公明党の間に軋轢が生じた」という両党幹部の声を伝えている。公明党は「成果を勝ち取った」と言いたいためにわざわざ補正予算という形をとったのではないかというのだ。実際に内容を見てみると緊急対策と補正の積み増しには規模感の違いはあまりない。「だったら最初から本予算を積み増しておけばよかった」と思える内容になっている。

別のフッテージではさらに詳しく補正予算と選挙の関係について説明している。関係性を心配しつつ選挙への影響を懸念する内容だ。

報道が混乱気味なのは予備費と補正予算が二本立てになっているからである。読売新聞は冷ややかな財務省幹部の声を伝えている。

緊急経済対策と新たに編成する補正予算案を合わせた規模は、22年度予算の予備費を下回る4兆円程度になるとみられている。政府・自民内からは、補正予算の必要性を疑問視する声も出ている。財務省幹部は、「財源を予備費から補正に付け替えただけだ。実質的な意味は何もない」と冷ややかに語った。

つまり「これ程度の規模なら予備費を上積みしておけばよかったのに」とか「単に予備費で積んでおいた分を補正予算と言い換えるだけだろう」いう声は政府内部にもあるようだ。こうなると単に選挙の前に儀式的に補正予算を組んで見せるだけということになってしまう。

以前なら与党がダメなら野党に期待してみようという声が一定数あった。だが、現在はそのような野党はない。立憲民主党への支持は集まらず国民民主党は予算に賛成している。今回野党側は「予備費を多く使っていて白紙委任になる」とか「一桁少ないのではないか」という方向で反対の論戦を張るようだ。特に国民民主党は本予算に賛成しているので「補正予算の額が少なすぎる」という批判をしても「であれば本予算に賛成しなければよかったのではないか?」ということにしかならない。

このように与野党共やや混乱気味なのは新型コロナ禍の不安がいつまでも解消できないままで円安やウクライナ危機といった様々な難題が積み重なっているからだろう。選挙で訴える正解がわからなくなりつつあるが目の前の不安や不満を解消していかなければならない。

結果的に、場当たり的に政府支出を増やしてゆくという方向性が確定しつつある。新型コロナ対策で10万円が配られてからすっかり定着した方向性である。この10万円給付が始まってから一般国民は「どうせ増税で取り返されるのだろうが」「今度の予算では一体誰にどれくらい配られるのだろうか?」と政府を通じた直接的な再分配だけを気にするようになった。

前回のエントリーで見たように岸田政権は本音では「リフレ派の動きを修正したい」と考えているのではないかと思う。日銀の人事の動きを見るとその兆候がわかる。さらに、かつての池田総理の「所得倍増」に倣って「新しい資本主義」という旗印によって国民のマインドが大きく変わることを期待してもいたようだ。

ただし、今のところ「新しい資本主義はよくわからない」という声が聞かれはするものの「総理の力強いメッセージを信じて新しい投資を始めよう」という人はいない。むしろ安倍政権や管政権以上の「大きな政府による経済対策」に期待し「どこかで誰かが景気を良くしてくれること」を待ちつつ自分は動かないという状態になりつつある。

今後、どの程度ガソリン価格が高止まりするのか、小麦の価格が今年はどうなるのかなどの不安材料を抱えながら、とにかく半年後をなんとかしようという経済運営を強いられているということなのかもしれない。

ロイターはゴールデンウィークでは新型コロナの自粛で抑えられていた消費意欲が一時的に回復するだろうがその後で消費者マインドは急速に陰るかもしれないといっている。ロイターはこの記事に「アングル:大型連休「最後の宴」か、止まらぬ物価高 構える消費者」というかなり悲観的なタイトルをつけている。

参考文献

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“岸田政権で参議院選挙前に補正予算を策定へ” への1件の返信

  1. ガソリンは2重課税を辞めれば、100円/1リッター当たりになるはず!補助金を業者に使う必要はないのでは!

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