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スリランカがデフォルトへ

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経済が行き詰まりを見せ暴動に発展していたスリランカではIMFが介入し債務整理を行おうとしていた。しかし中銀総裁や財務大臣が辞任したこともありIMFのカウンターパートがいなくなってしまった。このため「デフォルトがほぼ不可避」という状態になっている。今後数カ月のちにデフォルトするだろうとブルームバーグは伝える。デフォルトというと絶対避けるべきだと考えられがちだがスリランカの場合「早く清算した方がいい」という声も聞かれる。

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スリランカは農業国から工業・貿易立国への転換を試みておりインフラ投資に多額の資金が必要だった。その資金を中国に頼ったものの2017年には財務大臣が中国への借金を返すのに400年かかると発言したように多額の債務で首が回らなくなってしまう。この時点ですでに破綻は確定的だったと言えるだろう。

中国に傾倒し政策に行き詰まった前大統領は政権を逃げ出した。結果的に政権を握ったのはマヒンダ・ラージャパクサ(兄)とゴーターバヤ・ラージャパクサ(弟)である。もともと兄が2005年から2015年まで大統領を務めていた。弟は2019年に大統領に就任し首相として兄を指名している。つまり現在は兄弟で大統領と首相を独占していることになる。

経済が混乱するとこれまで兄弟を支えていた与党議員が次々と離反した。首相以外の閣僚も全て辞任してしまい兄弟だけが残された。兄弟は慌ててて新しい閣僚を任命するのだがアリ・サブリ新財務大臣はわずか1日で辞表を提出したそうだ。

逃げ出した側の政治家も無責任と言えるのだが、国民の怒りは当然長い間政治権力を独占した大統領・首相の兄弟に向かっている。非常事態宣言を解除し懐柔を図っているが混乱は収まりそうにない。野党は「ラージャパクサ兄弟」の辞任を求めている。国民は電気も満足に利用できず医薬品も足りない状態になっている。

財務大臣も決まらず、アジット・ニバード・カブラール総裁も辞意を示している。誰と話しをしていいかわからないという今のような状態ではIMFも介入ができない。

スリランカは早くカウンターパートを見つけてIMFとの交渉を急ぐ必要があるのだがこの混乱状態で選挙が行えるかどうかは見通せない。仮に野党の要求通りに選挙が行われたとしても経済的な見通しは立たないままだろう。

返済に400年かかるという過重な対中債務やその他の「細かくつまんだ借金」をIMFが整理するのは現実的ではない。そもそもデッドラインに向けた時間的余裕がないことから「デフォルトは間違いがないだろう」と考えられている。

直接のきっかけは新型コロナとウクライナの紛争なのだが「なるべくしてなった」「起こるべくして起きた」デフォルトだ。そもそも予想されていたことなので国際金融市場への影響は限定的とみられているそうだ。また「どっちみち破綻することは目に見えているのだから」という理由で計画的な破綻をした方が理にかなっているとする識者もいる。

このままなし崩し的に混乱を続けるよりも「払えないものは払えない」として債務を切ってしまった方が楽だというのである。ロシアも「実質デフォルト状態」と言えるのだが、スリランカのデフォルトはむしろ「普通のデフォルト」と呼んでいいものなのだろう。

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