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ロシア国債のデフォルトが確定的に

ロシア政府が国債の利払いをルーブルで行なった。まだ猶予期間があるそうだが契約違反とみなされるためロシア国債の「デフォルト」が確定的となった。NHK日曜討論(4月3日)の時点では「5月25日が節目では」と言われていたのだからこの数日で急速に状況が変わったことになる。

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普通は国債がデフォルトすると裁判が起こされる。裁判が全て片付くまでロシアは国際金融市場には戻れない。だが、ロシアはすでに国際金融市場からは切り離されているためにこれ自体には大した意味はない。ブルームバーグはウクライナでの戦争が終わるまで訴訟に持ち込むことは難しいだろうという。つまり国債保有者はルーブルを甘受するか泣き寝入りするかという二者択一を迫られることになる。

ロシアが契約違反を30日以内に是正しない限りデフォルトになるというのが国際的な常識だ。だが、NRIの記事によると今回は格付け機関が「格付けそのものを停止」しているそうだ。つまりレフリーが審判しないという状態になっている。つまり正確にはカギカッコ付きで「デフォルト」と表現されなければならないという不思議な状態になっている。

さらにロシアは「自分たちは支払うつもりがあったのに支払いを妨害された」と主張することができる。この事実だけを抜き出せば間違ったことは言っていない。つまり仮に裁判が起こされたとしても「これはアメリカのせいだ」と言えてしまうのである。

時事通信によるとロシアのペスコフ大統領報道官は6日の声明で「理論的にはデフォルトの状況が作り出されるかもしれないが、純粋に人為的なものだ。真のデフォルトではない」と強調したとされる。「人為的デフォルト」という新しい概念を持ち出しのちに裁判になったとしても「アメリカや西側の制裁のせいだ」と抗弁する道を残しているのだろう。

実際問題としてプーチン政権や後継政権が続く限りロシア政府が国際社会から信頼されることはないのだろう。テクニカルにはデフォルトではないという不思議な状態が続くことになる。ロシアのウクライナ侵攻は宣戦布告なき「戦争」に対してウクライナが加盟していないNATOが支援するという極めて不思議な構図を生み出した。さらに、安全を保障するはずの国連常任理事国が自ら戦争犯罪・人道犯罪状態を作り出すという異常事態に発展した。さらに、国際金融市場にも極めて稀で先行きの見えない状況を作り出したことになる。

全てが規格外の出来事であり、誰も先行きを見通すことができないのだ。

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