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アメリカの景気後退を占う男性用下着の売れ行き

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アメリカの経済のリセッション入りが不安視されているそうだ。今のところ「予兆」という段階ではっきりした兆候にはなっていないようである。そんな中注目されている指標がある。それが男性用下着の売れ行きだ。

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時事通信が「米景気後退の予兆? 長短金利が一時逆転―債券市場」という記事を出した。短期金利と長期金利が逆転したのが「リセッションの兆候」なのではないかという。ただこの記事は市場関係者の「そのほかに景気後退を示すシグナルはほとんど見られない」というコメントで締められている。つまり予兆は予兆に過ぎず心配する必要はないというわけである。

このため時事通信が「予兆?」と書いている。東スポと同じ手法だ。

アメリカの経済に対する見通しはこのところ不安定さを増している。まず新型コロナウイルスの拡大に伴い景気浮揚策が検討されていた。バイデン大統領は大型予算の必要性を訴え「ビルド・バック・ベター」と呼ばれる総合経済対策を提案している。だがインフラの過剰投資や最低賃金の引き上げは景気を加熱しかねなという批判にも晒されていた。案の定景気は加熱しアメリカでは高いインフレが観測されるようになった。さらにウクライナ情勢が緊迫すると食料や原油の価格が値上がりを始める。この物価上昇はアメリカだけの事情ではなくヨーロッパで広く観察されている。つまり政策によりもたらされたわけではないのだが、

いずれにせよバイデン政権は政策を変更しなければならない局面に入っているはずである。景気を刺激するのではなく悪性インフレを抑制する政策への転換をしなければならない。

だが、バイデン大統領の対応は後手に回っている。自身の提案した政策の正当性が疑われることになりかねないため、バイデン大統領は当初インフレそのものを無視しようとしてきた。次第にインフレが無視できなくなると自身の提案している政策とは無関係だと主張するようになった。ウクライナ情勢で世間の目をプーチン大統領に転嫁することには成功したがアメリカの置かれている状況が変わるわけではない。

政策変更によりリセッションが起きたとしても政府や金融当局関係者はそれを認めたがらない傾向にある。となると政府や金融当局者の言葉も信頼されなくなる。

そんな中CNNが面白い記事を出している。リセッション入りは近いのではないかとほのめかす内容になっている。根拠にあげているのが男性用下着、口紅、マッチングアプリなどである。

不景気になると男性は目につかない男性用下着の出費を抑えるようになるという。2007年から2009年には落ち込み2010年には回復しているという過去事例があるそうだ。また女性の口紅と不景気の関連について調べている企業もあるそうだ。さらにマッチングアプリの需要も高まるのではないかと結んでいる。

このほかバブルがはじける前には「高層ビル建設ラッシュが起きる」という観測もある。高層ビル建設ブームは起きていないが、宇宙旅行に投資が集まるのは似たような現象なのではないかと指摘する。少しこじつけのような気もするが不動産価格崩壊によるバブルの記憶を持つ日本人には馴染みのある現象だ。

もちろんこの記事はアメリカの経済がリセッション入りしたと断定しているわけではない。政策決定者や金融政策決定者の信頼が低下するなかで様々な現象から未来の予兆を読み取ろうとしているということだけは確かである。

アメリカの経済の先行きはかなり不安定に推移しており先行きの不透明感が増している。そんな中で人々は様々な指標から未来を占おうとしているのである。そして経済の先行きが不安定なのは何もアメリカだけではない。日本もおそらく同じ船に乗っているのである。

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