もうウクライナのニュースが多すぎてよくわからないという人も多いだろう。ここでは難しい情報は抜きにして「なぜ膠着しているのか」を説明する。おそらく3分ほどで読めると思う。
- プーチン大統領は軍の突出を恐れて総司令官を置かなかった。そのため各部隊の連携が取れず大勢の将官が亡くなり戦線は膠着状態に陥った。司令官がいないので「より大きな力」を加えることしかできない。それが核兵器と生物化学兵器だ。だがこの線を超えてしまうとおそらく国際社会は武力介入も含めた報復行動に出るだろう。
- 親欧派の中には過激なロシアからの分離主義者が多数入っておりおそらくゼレンスキー大統領はそれを止められなくなっている。和平案として主権地域の分離も検討したようだが国民投票が必要と言っている。非常事態宣言が即日公布できたのになぜ独断で主権放棄ができないのかと疑問に思う人も多いだろう。おそらくこれはゼレンスキー大統領の影響力が一方向にしか働かないことを意味している。だが、国民が離散している上にロシアが実質支配している地域もあり国民投票はできない。さらにロシアの攻撃が過激なためロシアに従うくらいなら死んだほうがマシだという感覚を持つ人が多い。女性と子供は逃して自分たちの意思で徹底抗戦すると言っている。こうなるとゼレンスキー大統領は西側の支援を求めて演説を繰り返し国内では徹底抗戦の指揮をとるしかない。
- 欧米はこれを民主主義の戦いと位置付けてしまいゼレンスキー大統領を救うことは民主主義を救うことだと位置付けてしまった。特にバイデン大統領はこの姿勢が顕著だ。だからアメリカはウクライナ問題から抜け出せなくなっている。実際には核の恐怖がありウクライナを切って域内の安全を守りたいのだろうがそれもいい出せない。だが打ち手は経済制裁しかない。経済制裁すれば外交的な努力はできなくなる。またロシアは自力で食料とエネルギーが調達できる。つまり戦争を止める力がないばかりかロシアの武力行使を過激化させる。
このような三すくみにあるためウクライナ情勢は膠着した。さらに当事者であるゼレンスキー大統領の情報発信があまりにも上手なため、この構造が表面的には調和してしまっている。
この膠着はおそらくは、プーチン、バイデン、ゼレンスキーという三人でなければ怒らなかったか違った形になっていただろう。偶然とはいえあまりにもできすぎており神の采配だとか誰かの陰謀論だなどと言い出す人もいる。