ざっくり解説 時々深掘り

おそらくプーチン大統領は戦況がわからなくなっている

ロシアの報道官が「ウクライナはアメリカの支援によってコロナウイルスの実験をしていた」と主張したそうだ。これを聞いて「プーチン大統領はかなり危険な状態で戦争を遂行しているのだろうな」と思った。

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まず、ロシア国防省の報道官の発言を見てみよう。(米国の支援を受けた)ウクライナの研究所が、コウモリのコロナウイルスのサンプルを使った実験をしていたというものである。すぐにわかるのはこの発言が過去のアメリカのプロガンダの変種であるということだ。

この武漢流出説はトランプ大統領が中国を非難するために使われたものである。これを利用してフェイクニュースを作り出しているのだろうなということがあからさまにわかる。だがロシアには政府批判をする報道は既にない。つまり国防省がそう主張したとしても「いやいやご冗談でしょう」と突っ込む人は誰もいないのである。批判がない状態では嘘もずさんになるということがわかる。

Quoraで教えてもらった話では原発の中で核兵器の実験をしていたと言う主張もあったようだ。これについて「なんでわざわざ原発みたいな危ない場所で核兵器の実験をやるんだ?」とういうツッコミが入っているそうだ。ただそのツッコミがロシア政府の耳に入ることもない。

さらに病院が爆撃されたという件に関して国連次席大使は「それはフェイクニュースだ」として一切認めようとしなかった。あれは病院ではなく既に軍の施設になっているのだからウクライナ側が嘘をついているのだという。これもずさんな言い訳である。

ここまでの事例を見ていると「ロシアは嘘つきだ」で終わってしまう。戦争が長引けば長引くほどロシア政府の信頼度は落ちてゆく。

だが、おそらくこの話はそこでは終わらないだろう。外に向かって嘘をつく人はきっと上の人にも嘘をつくだろうなと感じた。作戦がうまく言っていないことをプーチン大統領に報告しているとは思えない。プーチン大統領は裸の王様説はかなり昔から唱えられているのだがプーチン政権が倒れることはなかった。

おそらくロシア国防省が苛立っていると言われるプーチン大統領に戦況をありのままに報告するとは思えない。次第に戦況がわからなくなってゆくのだろうと思われる。特定の軍人が情報を把握していればいいのだが独裁政権下ではそれも望み薄である。正確な状況を把握しているのはおそらくこの地域を空撮しているアメリカだけでありアメリカの情報をもとにして報道を続けるCNNなどの西側メディアだけになるだろう。

今後ウクライナ情勢を見るにあたって「ロシアは独裁者のもとで一糸乱れぬ作戦行動をとっている」と思うのはやめた方が良いのだと思う。「うまくいっているしうまくいくだろう」と考えている独裁者は外交交渉で妥協することはないだろうから外交交渉による終結も難しそうだ。

これは、大日本帝国政府が戦争末期に陥っていたような状態だ。誰もが責任を追及されることを恐れ次から次へと新しい作戦を提案しているうちに事態はどんどん悪い方向に転がってゆく。大本営はずさんな嘘を垂れ流し国民すらそれを信じなくなる。日本は空爆と原爆で「現状を悟った」のだが核報復を恐れるロシアにはこうした機会さえもない。

おそらく事態はかなり長い間膠着するだろう。さらに、突然事態が自分の思っている通りに動いていないと悟った大統領がどんな突飛な行動に出てもおかしくない。不測の事態に備えた方が良いのだろうなと思う。

情報統制は敵の目を欺くだけでなく自分たちの目も塞いでしまうのだ。

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