ざっくり解説 時々深掘り

核武装議論ができる俺かっこいいぜ!

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

岸田総理が予算委員会で不思議な答弁をしたそうだ。「核共有について党内で議論をしてもらっても構わないが政策としては採用しない」という宣言である。党内から異論が噴出するのかと思ったのだがそうはならなかった。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






答弁の内容は核共有議論についてのものだ。前回おさらいした通り既に終わった話であり一部の政策通の議員はこれが無理筋であるということがわかっているという程度の議論である。安倍元総理の顔を潰さず国会でも騒ぎにしないということだけが大切な極めて不毛な議論である。

これを抑えてしまうと党内から反発が予想され選挙にも悪影響があるかもしれない。おそらく岸田総理はそう考えたのだろう。「面倒だから」党内議論は容認するということだ。

だがこの主張を素直に取ると「党内議論は所詮ガス抜きでありなんの役にも立ちませんよ」と言っていることになる。蓮舫参議院議員の言うところの「聞き流す力」である。

政府を動かすために党内議論をするのだから自民党の中は大騒ぎになるのではないかと考えた。だがそうはなっていない。

仮にこれがなんらかの地域利権に関しての議論だったらおそらく大騒ぎになっていたはずである。おそらく核共有の議論はおそらくそれほど大切な問題ではないということなのだろうということがわかる。

自民党議員たちも核共有などできないことはわかっている。だが夢を語ることで「俺かっこいいぜ」という気分に浸れる。そもそもそれだけの議論なのだ。

安全保障の議論が「俺かっこいいぜ!」でいいのかと言う気分にはなる。

だがそれよりも気になることもある。この議論を憲法関連でやるのか軍事関連でやるのかはわからないのだが「党内の議論を政策に反映させない」となると「実際の政策は誰が決めるのか?」という問題が出てくる。結論として考えられるのは次の二つだ。

  • そもそも何も決めない。
  • 重要なことは官僚と話し合って鑑定が決める。

政権が思考停止に陥っていることがわかる。

例えば自民党の外交部会で佐藤正久部会長が次のように発言している。「日本から落としどころを探るために譲歩するなどの前のめりは絶対にいけない」という。外交の目的はいくつもある。経済政策を前に進展させるための前向きなものもあれば、戦争を抑止するための外交努力もある。佐藤外交部長は「そのどちらもやらない」と言っている。さらに「外交を進展させないために妥協はいけないと騒ぎ立てるのが自分の役割である」と宣言しているのだ。

おそらく岸田政権は「実際の外交はアメリカの意向などを汲み取りつつ官邸と外務官僚で決めますよ」と宣言しているのだろう。外務官僚は現状維持を指向し無駄な仕事が増えることを嫌がる。つまり岸田総理の「自民党の議論は所詮ガス抜き」という意思表明はすなわち日本の政治が思考停止に陥っていますがそれでも構いませんよねという宣言なのである。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで