ロシアの戦線が膠着している理由の一つにやる気のないロシア兵の存在がある。彼らは徴兵で集められてきており「演習だ」という説明を受けていた。いざ実践ということになると戸惑いを見せSNSでその情報が拡散された。そこでプーチン大統領はその立て直しを始めた。それがシリア化である。
普通の大統領ならここで大義がないということに気がつくのだがプーチン大統領は違った。そもそもかねてより徴兵制度は意気地のない兵隊を要請するだけだとして職業軍人化を進めていたようだがうまくいかなかったと言う経緯がある。
この寄せ集めの兵隊を100%近く使い切ったのちプーチン大統領は何をするつもりなのだろうか。日本で伝えられているニュースと伝えられていない未確認のニュースがある。
日本で伝えられているニュースは追加徴兵は行わないと言うものだ。国内でもデモが起きていることから巻き込まれ不安を恐れる一般国民を鎮めようとしているのかもしれない。そもそも大して役に立つとは思っていなかったのだろう。
そこでシリアで経験を積んだ兵隊をシリアでリクルートしだしたようだ。だがこのニュースはアメリカの未確認情報を基にしているため日本語の情報はない。Twitterで事情通たちが囁くだけである。
アルアラビーヤの英語版はアメリカ当局がウォール・ストリートジャーナルに伝えた話(つまり伝聞)として伝えている。ロシアは2015年からシリア国内で活動をしている。アルアラビーヤの記事は「期間が6ヶ月で200ドルから300ドルの報酬によるボランティア」と言っている。
このウォール・ストリートジャーナルの記事はビジネスインサイダーやガーディアンなどにも引用されている。ウォール・ストリートジャーナルの元記事は日本語化されて配信されている。
もちろんこんなことをすればウクライナの状況はより凄惨を極めることになるだろう。シリアのような市街戦が始まればウクライナ国内はめちゃくちゃになってしまう。読売新聞の記事を引き合いに出すまでもなく、プーチン大統領はシリア情勢を一種の成功例とみなしている可能性がある。今回の人道回廊提案がアレッポ制圧に似ているのはおそらく偶然ではない。
ロシアはこの人道回廊を使って一部避難民が逃げてきたと宣伝を始めた。ウクライナが拒否しようとそのままロシア側のストーリーを押し通すつもりなのだろう。東京新聞などはこのロシア側の宣伝に乗って国営ロシア通信の言い分を伝えている。
独裁者を放置した国の末路とはいえ、ロシア国民は大義のない戦争に巻き込まれるばかりか戦争のために湯水のように金を使いかねない大統領に国富を収奪されかねない状況になっている。さらにロシアの南がシリア化すればこの周辺地域に騒ぎが拡大することは火を見るより明らかである。
だが、目先の利益を優先するプーチン大統領はシリアをロシアと国境を接した地域に持ち込もうとしていることに気がついていない。仮にウクライナ政府が亡命してもウクライナには各地から集まった抵抗勢力が残る。西側は何らかの手段でこれを支援しようとするだろう。やがてこれはウクライナを超えて周辺に拡散するはずだ。つまり、プーチン大統領はシリア内戦のような状態を国内に持ち込もうとしているということにまだ気がついていないのだ。
Comments
“ウクライナのシリア化を図り始めたプーチン大統領” への2件のフィードバック
いつも拝見しています。
正しい情報が分かりませんが
ウクライナを応援しようとするシリアのひとたちもいるようですねもちろん反体制側の人たちですが、ウクライナ在住のシリア人たちが反ロシアの民兵組織を作ったという話も。
https://news.yahoo.co.jp/byline/aoyamahiroyuki/20220228-00284274
ウクライナ在住のシリア人という人たちもいるんですね。