ウクライナ政府が義勇軍を募ったところ70名の参加希望者があったそうだ。だが日本政府はあくまでも問題からは距離を置く姿勢だ。岸田政権が一貫して持っている面倒なものには関わりたくないという姿勢が透けて見える対応だった。
やりがいを求めて戦地に向かう人々
このニュースを伝えたのは毎日新聞だ。ウクライナ大使館は義勇兵の募集に70名の応募があったと伝えている。そのうち50名は自衛隊経験者だったそうだ。まずは日本政府と協議をすると表明していたため日本政府の姿勢が注目されていた。
中でも特に目を引いたのが志願理由だ。日本にいても大して役に立たないが、何か役に立つことをしたい」などと「純粋な動機」(大使館関係者)を語る人が多かったと記事は書いている。
自衛隊のみならず世の中にはスキルと経験を持っているのに社会に役に立っている実感がないという人が大勢いるのだろう。そういう人たちが今回のニュースを見て「これにだったら自分の人生を賭けられるかもしれない」と考えても不思議ではない。気持ちがわかるというかひとごとでない感じがした。そう考える中高年は多いのではないだろうか。
リアルな戦争に対する戸惑いとお祭りとしてのウクライナ支援
これについて例によってQuoraで聞いてみた。透けて見えるのは「何も戦争という面倒なことに関わらなくてもいいのに」という冷めた見方だ。やはり戦争は悪というイメージが強く定着しているために戸惑いを感じていた人が多いようである。
実はこの姿勢は国会議員にも多く見受けられた。Twitterでも青と黄金色があふれていたが国会でも同じようなことがあったそうだ。なんとなく「お祭り」的にこの機運に乗りたいという人は多かったのだろう。山本太郎的な表現をすればやってる感だけを演出したいと考える人が多かったわけである。
同じく毎日新聞が山東参議院議長と林外務大臣が「青と黄色の衣装を身につけていた」と書いている。タンスから引っ張り出してきたなどと語っていてどこかウキウキした様子さえ伺える。
政府は責任回避の姿勢
一方で松野官房長官は退避勧告が出ているから義勇兵に参加するのを自粛をしてほしいと表明したそうだ。読売新聞が伝えている。おそらく国が関与してこうした善意を側面支援に当てるために予算的なサポートをするというようなクリエイティブなアイディアも出せたはずだが岸田政権はそうしなかった。
いつもの政府の対応なので特に驚きはないのだが考えて見れば新型コロナ対応でも見られる対応である。飲食店への自粛要請をして十分なサポートをしない。そして政府は責任を取りたくない。
おそらくこれを単に面倒な雑事と考え「積極的に止めても批判される」し「容認すれば邦人保護という責任を背負わされかねない」と考えたのだろう。つまり「行くなら行ってもいいが政府は知らないよ」と言ったことになる。自分探しはどうぞご自由にということである。
ウクライナ大使館には水面下で釘を刺したのかもしれないがおそらく「それでも生きがいを求めてウクライナを目指す」人は出てくるのだろうと思った。