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狂ったプーチン大統領が突き進む国家拡大自殺

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ついにプーチン大統領がウクライナ東部に侵攻を始めた。満州国と同じような傀儡政権を作り「支援を呼び込む」というものになっている。人々はプーチン大統領の落とし所を探るために合理的な説明を繰り返してきたが、実際にはプーチンは狂っているのかもしれないと思う。

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日経新聞にプーチン大統領のスピーチの要旨が載っている。これを見ると「あ、この人はおかしくなっている」ということが感じられる。スピーチの大半は誇大な民族史観に彩られていたそうだ。

プーチン大統領は「ロシア」という偉大な国家・民族がレーニンとその同志たちによって分断されたと断じている。だが、結局ウクライナが国家運営に成功することはなかったと評価する。だからロシアが救ってやるべきなのだということになる。

この言説はやはりどうしても戦前の日本と重なる。西洋に怯えた日本はまず西洋の進んだ文明や国家システムの模倣から始める。だが西洋列強からはまともにはあつかわれない。ただ、軍事的にはある程度成功を収めているので西洋列強も日本を無視できないというアンビバレントな状態が続いた。

やがて日本はアメリカなどから経済制裁をされて追い詰められてゆく。中国大陸に進出し「もともとアジアは一体である」という誇大な世界観を展開してやがて破綻した。日本は集団に夜狂気だったがロシアは一人の独裁者がそれを代表している。違いはたったそれだけだ。

もちろん歴史的に日本人の祖先の一部が大陸から渡ってきたのは間違いない。つまり全くゼロからお話を作っているわけではない。ロシアとウクライナの場合も同じだ。もともとキエフに大きな国があった。やがて南側はリトアニアやポーランドに支配されるのだが北側に大きな国ができる。日本に例えるともともと京都と東京のような関係になっている。北側の政権は東ローマ帝国が滅びると東方教会の後ろ盾になり帝国になった。これまで王国を名乗ることができなかった大公国が東方教会の権威を受けて一気に出世したわけである。

だがそれでも「もともとは同じ歴史を共有しているのだから今から我々が支配します」という乱暴な話が成り立つはずもない。やはりこの話はどこか狂っている。

ではこの狂気はどこから来るのだろうかと考えた。プーチン大統領はウクライナが西側に支配されウクライナを通じて自分たちの国が支配されるかもしれないと怯えている。その尖兵がNATOやアメリカである。

ただ実はこの侵略は軍事的なものではなく経済的なものである可能性が高い。ロシアの経済は実はかなり危ない状況にある。今すぐ破綻するというわけではないのだが持続可能でないということがわかっているようだ。

2018年のNewsweekの記事である。キーワードは年金改革だ。ボリス・エリツィン大統領の時代には年金が滞ることが多かったそうだがプーチン大統領は年金をきちんと支払ってきた。ロシアの年金制度はスターリンの時代に作られた。男性は60歳・女性は55歳から需給が開始されるのだそうだ、改革案ではそれぞれ65歳と63歳に段階的に引き上げることになっていた。

だがそのロシアでも高齢化が進んでいる。当然現役世代の負担は増える傾向にある。2044年には高齢者の人口が生産人口を上回ると予想されているそうだ。このため2018年に年金改革が提唱されるとロシア全土で年金改革デモがあったとする記事が多数見つかる。

2019年の記事も探してみた。ロシアの経済は低成長が続いているが、IMF管理下に入るとアメリカなどの資本の支配を受けてしまうために「ストイックな財政政策」を取り続けていると書かれている。このため年金制度が改悪され消費税に当たる付加価値税は上がっているのだそうだ。当然こうした改革は国内市場を冷え込ませる。これは実は日本と同じ状態だ。重い将来不安がのしかかっているのである。

おそらく独裁傾向を強めるプーチン大統領は「自分がこれらの諸問題を全て解決しなければならない」と思い込んでいるのではないかと思う。

ロシアはヨーロッパに対して安定的にエネルギーを供給してきた。これがロシアの信頼の源泉になってきた。今回これを政治利用することを決めたのだからドイツはロシアへのエネルギー依存を見直すはずだ。さらにアメリカから強烈な経済制裁を受けることを考えると、今回の侵攻はロシアの経済にとって必ずしもプラスに働かない。つまりロシアはウクライナ南部(クリミア)・東部のほんの少しの領土を獲得するために将来の経済安定性を捨て去っている。

「プーチン大統領がそもそもこうした破綻をあらかじめ織り込んでいる」と考えると色々なことに説明がつく。ロシアはどっちみち破綻する。だったら周りを巻き込んで派手に爆発したい。そう考えるとこれは拡大自殺である。

プーチン大統領の苛立ちを示すエピソードを見つけた。プーチン大統領の周りにはイエスマンの側近が集まっている。彼らはプーチン大統領のいうことには従うが必ずしも彼のことを理解しているわけではなさそうだ。

「いいえ、私は、私は…」。21日の安保会議で意見を求められて回答に困ったのは、最側近のナルイシキン対外情報局(SVR)長官。大統領府長官や下院議長を歴任した超大物だ。「はっきり答えて」とまくし立てるプーチン氏にたじろぎ、独立承認を「ロシア編入(併合)」と取り違えると、プーチン氏から「そんな話はしていない」と苦言を呈された。

詰問プーチン氏にたじたじ 「ロシア編入」と混同

おそらくプーチン大統領は将来のウクライナの併合も視野に入れて状況を固めようとしているのだろうが、あくまでも段階的に進める必要がある。だがおそらくこの側近はそれがわかっていないのだろう。独裁を強めてはいるものの必ずしも周りの理解が得られていないことがわかる。

プーチン大統領はこれまであくまでも理性的に合理的に物事を進めてきた。だがそれは手段が合理的だったというだけの話であり同期にはおそらくある種の狂気があるのだろう。西側は制裁を始めたが、当然これはプーチン大統領を追い詰める。追い詰められたプーチン大統領の行動はますます読めなくなるはずだ。

いずれにせよ「もう始まってしまった」のだから行き着くところまで行き着くほかはない。実は我々の側にも相当の覚悟が求められることになる。まともな人を扱っているわけではないからだ。

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