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「いわゆる保守」と呼ばれる人たちのメンタリティがわかる高市早苗氏の言動

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Buzzfeedが自民党の保守は子供のことなんか一ミリも考えていないと指摘している。イデオロギー対立に活動を利用されてはいけないと言っているのだが果たしてこれがイデオロギーと言えるのだろうか?と思った。自民党に改革を望む人たちもリベラル左派も「自称保守」の「いわゆるイデオロギー」に振り回されるべきではない。単なる老人の意地悪に過ぎないからである。

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我々がここでイデオロギーと言っているものの中身はあけすけで単純だ。老人の意地悪精神である。いわゆるポピュリズムの一種だが老人性のポピュリズムである。ある程度生活に満足した人たちが他人の進歩を邪魔している。そして、東西冷戦の時代はとうの昔に過ぎてしまったにも関わらず今だに過去の政治的構図を引きずっている。

戦争の記憶が遠くに霞むにつれて保守も劣化し、最終的に橋田壽賀子ドラマの老人の意地悪精神を「保守の精神」と呼ぶところまで堕落した。そしてその保守に付き合って政治家生命を焼尽しているのが高市早苗政調会長だ。松下政経塾出身でアメリカの民主党議員のもとで修行した経験もある。

日本にはリベラルを応援する土壌がないため高市さんは活躍の機会が得られなかった。そうして見つけた居場所が意地悪老人の相手なのかもしれない。このままでは彼らのマスコットで終わってしまう。

Buzzfeedの記事に戻る。Buzzfeedの中には子どもコミッショナー制度に反対する自民党保守の声をまとめている。子どもコミッショナー制度を推進したい人たちは目の前に緊急課題を抱えている。彼らは自分たちに変わって誰かに子どもを助けて欲しいといっているわけではない。単に活動しやすい場所が欲しい。もちろん社会がなかなか協力してくれないことに苛立ってはいるだろうがそれを憤っても仕方がない。自分たちで問題解決をしようという意欲があるのだ。

だが老人たちはそれを邪魔する。かつて子どもの権利も女性の権利もありませんでしたよというのが老人の常套句だ。

彼らの主張は極めて簡単だ。「子どもの権利を認めることは左翼市民の運動を認めることだから決して認めるな」という。彼らにいわせれば子どもの権利擁護運動は左翼のプロ市民の牙城なのだという。つまり左翼に意地悪したいから子どもは諦めろといっていることになる。女性にも同じことを言ってきた。

この会議体には高市早苗政調会長も参加しているのだが態度表明はしていない。流石に彼らを味方してもいいことはないということを知っているのだろう。だが、高市さんがこうした会議体に所属しないといけないのは日本にリベラルを応援する土壌がないからである。他人の権利のためにシンパシーを発揮しようという人が日本にはおらず、人権という言葉さえきちんと理解されていない。

おそらく高市さんはこのためリベラルから保守に転換した。もともと保守ではないので支持者に受けることを積極的に声高に発言する傾向がある。だから悪目立ちしてしまうのである。

例えば最近では、櫻井よしこ氏の番組で「ロシアとの対話を継続することはロシアの術中にはまることだ」と批判したそうだ。さらに講演会で靖国に行き続けるのはやめると「相手の言い分を認めたことになるから総理大臣になっても靖国に参拝し続ける」と宣言した。この時に使った表現は「相手がつけあがる」だったという。

つまり、ロシアが喜ぶことは一切するなとか、中国と韓国に意地悪し続けたいから私は靖国に参拝し続けますと言っている。何のために首相になりたいのだろうか?という気になる。

もともとリベラルな背景を持つ高市さんが本気でどう思っているのかというのは本人だけが知っていることだしリベラルが喜ぶような発言はあえてしないだろう。

高市さんは目の前にいる支持者たちに受ける言動を繰り返しつつ広い支持を捨てている。つまり保守のために自分の政治生命を焼尽してしまっている。このままでは保守老人のマスコットで終わってしまうのかもしれない。ネットでの期待が高いだけに残念なことである。

さらにこれは若い世代にも危険だ。政治運動とは他人に意地悪をすることであると思い込む若者が増える。政治とは問題解決のツールであり他人に意地悪をするための機会を提供しているわけではない。老人は若者にきちんとした規範を示すべきだろう。

この論法でいうと「子どもたちのことを考えて自分たちの時間を犠牲にしてまで走り回っている人たち」も単なる左翼でありとるに足らない人たちなのだということになるだろう。おそらくこうしたゼロイチ思考に支配された残念な高齢者がこの国には多いのではないかと思う。他人のために助力をする人は全て彼らから言わせると左翼だということになる。

子ども対策に奔走する人たちは単に高いところから支援を訴えているわけではない。自分たちが活動しますと言っている。だがそのために必要な環境が全くない。日本には子ども政策というものがそもそも存在しないのだ。それを応援することのどこが日本を破壊するのだろうか。さっぱりわからない。

子ども自身、親、そして子どもを取り巻く先生や大人、学校や児童相談所など、その全員に共通するルールが日本にはないと彼らは記事の中で訴えている。

この理屈でいうと消費者運動も市民運動の牙城である。実際に生協などが社会党系・共産党系の活動拠点になっていたということはあった。だから保守に言わせれば「共産主義者の陰謀」ということになってしまう。だが実際には消費者庁がなければ産地偽装もオレオレ詐欺も対応ができなかっただろう。消費者運動の時はかろうじてこうした意地悪な反対を抑え込むことができた。だがその後ますます精神的な高齢化が進んだ日本では子ども政策がなかなか前に進まない。

ただ、ネット保守が他人に意地悪をしてもそれ以外の勢力がちゃんとしていればいいことである。だが、残念なことに内向きな割にやたらと闘争的な左派リベラルも都市にいる忙しすぎる自由主義リベラルの人たちもこうしたゼロイチ思考の人たちに対抗しきれていないように思える。つまりは高齢者に支配されている自民党に抗いきれていないのである。彼らは自分たちのことを語る言葉を身につけなければならない。

このままでは日本への投資は遠のき日本円の価値は下落し続けるだろう。国力が回復しないという意味ではこれは本当に残念なことだ。高市さんが日本をすくうために取るべき道はどっちだろうか。意地悪高齢者のマスコットを選ぶならそれはそれで彼女の政治的決断として尊重してあげたい気もするがどこかもったいないなあという気がする。

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