お前が色々政治について色々書いているのは知っているがあまり細かいことには興味がない。だから結論だけ教えろ。そういう人がいるかもしれないと思いました。そこで、「だいたい3分でわかる」を目標に書いて見たいと思います。読むのに10分くらいかかるかもしれませんが……おそらく興味のあるところだけ読めば3分くらいで読めます。
まず最初にお断りしておくとここに書いていない政党には取り立てて興味がないということです。れいわ新選組、国民民主党、都民ファースト、社民党が挙げられます。
自民党
自民党には二つの対立軸があります。一つは現代化とそれに反対する勢力です。リベラルと保守と言われます。もう一つは都市と地方の対立です。この二つの軸を理解すると現在の自民党のニュースが読みやすくなります。
- 岸田政権:岸田総理の出身派閥は宏池会という伝統派閥です。しかし実際には安倍派、麻生派という他派閥に支えられています。総理大臣は指導力を強めようとしていますが党内には冷ややかな見方をする人が多くレームダック化を狙っている人たちも多いそうです。またこのほかに非主流派と呼ばれる人たちがいます。岸田政権は党内にある対立軸を抑えようとしてやじろべいのようにふらふらとしています。
- 麻生派:麻生元総理大臣が松本純氏(落選中です)の自民党復帰・派閥復帰を決めたため佐藤勉氏らのグループが離脱しました。佐藤さんは菅さんに近いと言われています。麻生派は第二派閥から第三派閥に転落しました。一応岸田政権を支えていることになっていますが求心力が低下しています。地方選出の方が安定して議席を得られるので党内で高い地位に登りやすいのですが地方は全体として地盤沈下を起こしていますから求心力が低下するわけです。
- 菅グループ:菅元総理大臣は派閥を持っていません。また岸田政権では非主流派として扱われています。代わりに「派閥に属していても参加していいよ」という集団を持っています。自民党の中ではグループと言います。こちらは都市と都市近郊の選挙区を代表しています。河野太郎元行革担当大臣が菅さんと近いとされていました。この方は厳密には麻生派ですが派内部では冷遇されていました。今回佐藤勉さんが麻生派を離脱し「グループ」の存在感が高まっています。菅さん河野さんは神奈川県選出で佐藤さんは栃木県の人です。つまり関東近郊の人たちが多く集まっていることになります。地方と都市近郊でパワーバランスが変わりつつあることがわかります。
- 安倍派と高市早苗政調会長:福田赳夫元総理が立ち上げた派閥を清和会と言います。今の会長は安倍元総理大臣です。タカ派と呼ばれており中国に厳しく対峙したい人たちの支持を集めています。その急先鋒が高市早苗政調会長ですが実は安倍派ではありません。この他にも家族制度を現代化することに反対している保守の集まりがありますがなぜか高市さんの名前を見ることが多いです。保守は左派政策を敵視している人たちの集まりで岸田総理も潜在的には左派として牽制の対象になっているものと思われます。右派の人たちは女性と子どもの権利拡充にことごとく抵抗しています。つまり日本の現代化に争っているのです。
公明党
公明党と自民党の間の関係が揺らいでいます。このため参議院選挙では積極的に自民党を推さない方針になりつつあるようです。よく知られている通り創価学会という仏教系の信者団体(お寺そのものではない)が母体になっているので信者団体の信仰者が減ると政党の勢いがなくなるという特徴があります。自民党との関係悪化の背景は次の通りです。
- 強力なカリスマだった池田大作さんの後継が見つからず信者の高齢化が進んでいる。
- 大阪などでは維新が勢力を増しており提携相手の自民党が焦っている。
一方で長年の選挙協力により自民党が創価学会に依存しているという現実もあります。このため創価学会は「自民党議員を選別する」立場です。発端になったのは自民党兵庫県連の訴えでした。茂木幹事長がこのトラブルを収めきれなかったことから公明党が離反したという経緯があります。選挙の責任者の遠藤利明さんが関係修復を図るのですがうまくいっていません。夏までに関係修復ができるのかが注目されます。選挙関係の連携が薄れる一方で連立政権には残る意向のようです。どういうわけか国土交通省が公明党の「利権」になっていますがかつては厚生労働大臣を出していた時代もあります。
またもともとは護憲政党だったので自民党が会見議論に前のめりになるのも面白くありません。自民党側にも公明党を切って維新や国民民主党の改憲派と組みたいとする人たちがいます。この微妙な関係は隙間風と表現されています。
公明党は自民党に選別される立場ですが公明党の各支部は自民党議員を選別するという入り組んだ関係になっています。
立憲民主党
もともと自民党の分派が作った政党でしたが社会党の右派を多く受け入れました。このため政党がまとまらず今に至っています。結局政党にはなれず「他人にとやかく言われたくないという気ままな人たち」の趣味のサークルのような状態になっています。
- 菅直人元総理大臣:一応元総理大臣ですが出身は市民団体です。喧嘩が大好きで維新に闘争を仕掛けて喜んでいます。執行部は元総理の暴走が止められません。市民団体には真面目に勉強会に参加する主婦なども多いのですが、被害者を装って運動を仕掛ける人がいます。市民に混じった活動家・活動屋は「プロ市民」と揶揄されていますがおそらく本人たちは市民代表だと思い込んでいると思います。
- 泉健太代表:出身は北海道ですが立命館大学(京都)に進学し福山哲郎さんの飛翔になりました。おそらくこの人は共産党とか左派が嫌いです。このため馬淵澄夫国対委員長(この方は奈良出身です)と組んで共産党からの離脱を画策しました。これが炎上すると馬渕さんを切り離しにかかります。おそらくTwitterなどにいる市民派の人たちからは要監視対象になっていると思います。彼が党内をまとめることはおそらくないでしょう。
- 連合:いくつかの考え方が異なる労働組合の集まりです。労働運動には共産党系と社会党系がありました。連合は社会党系なので共産党が大嫌いです。このため立憲民主党が共産党に接近するのを面白くないと感じていています。
- Twitterの自称市民派:Twitterの市民派は逆に共産党も含めたリベラル系の運動を広げたいと考えています。彼らは維新を「新自由主義者の集まりだ」と信じています。また共産党が主張する「維新は自民党の補完勢力である」という主張も信じているようです。このため彼らは共産党外しとか維新への接近という言葉に過敏に反応します。中にはプロ市民も混じっていると思いますが大抵は普通の市民のようです。裁判官として自民党政権を裁くことを喜びと感じているようです。
維新
維新には大きく分けると二つの側面がありこの二つをうまく使い分けています。単なるポピュリズム政党の一面もありますが「地方で実績を持っている現実主義的な政党」という側面もあります。これが維新の強みです。
- ネット上で大衆が好みそうな話題を振りまくポピュリズム政党としての一面
- ネットでの議論や裁判などを通じて注目を集める手法を好みます。今は単なる民間人であるはずの橋下徹元代表なども入れるとかなり「多彩な」運動を提供しており見ていて飽きないです。ネット民が何を好むのかを熟知していますが特に橋下さんはその点で類稀なる才能を発揮しています。
- 大阪府・大阪市などでの行政経験のある地方政党
- 自分たちは地方自治を一生懸命やっているが国がなかなかそれをわかってくれないという主張をします。維新が単なるポピュリズム政党であればこれほど躍進することはなかったと思います。つまり裏ではやることをやっているためある程度の説得力があるのです。
- 汗をかいて一生懸命頑張っている吉村府知事の真摯な姿を応援する人もいます。2021年の夏には不眠不休で頑張る知事の姿が大阪のテレビで大きな共感を呼んだようです。ルックスが良くお話も上手なのでちょっと疲れている姿も様になります。
- 大阪での維新の躍進を見ると維新を「改革政党」として表立っては支持しないが密かに支援している無党派層の人たちがいます。2021年衆議院選挙では大阪は維新支持者に席巻されました。これが自民党・立憲民主党のプレッシャーになっています。
実際には保健所を減らしたり病院への予算を減らしたりしているようですが維新府政は「大田府政がやったことだ」という主張をしています。結果的には新型コロナ対策では死者数や感染者数が東京に比べると悪化しやすい傾向があります。
維新の人気はポピュリズムと地方行政に支えられていますが必ずしも総合政策の立案は上手ではありません。例えて言えば押入れにものを全部突っ込んで「部屋が片付いた」といっているだけです。ただ、その矛盾は自民党が政権政党でい続ける限りは決定的に露呈することはありません。