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おそらく辻元清美の息の根をとめた菅直人と犬も食わぬ維新との喧嘩

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Twitterで菅直人元総理大臣と維新のバトルが話題になっている。最終的に「維新を応援しているのは低所得者だ」と言い切ったので、大阪で変革に期待する人たちが立憲民主党を応援することはもうないだろう。無知で低所得と蔑視されてまで立憲民主党を応援する人はいない。辻元清美元副代表が小選挙区に戻るのはかなり難しくなったと言っていい。あとは比例で頑張るしかない。

一時は野党第一党とも言われた民主党の行き着いた先がここなのか…… 一時期待していたものとしては寂しさを感じるが市民団体というのはもともとこの程度の存在だったのかもしれない。過剰な期待を抱いていた側が間違っていたということなのだろう。

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経緯を知らない人に伝えようと考えて元ツイートを探したのだが見つからなかった。だが菅直人元総理をTwitterを見ていると辻元清美議員の敗北などをきっかけに焦りを募らせている様子がわかる。おそらく彼らからみれば有権者たちは合理的でない行動をしているようにしか見えないのだろう。これは枝野幸男前代表が繰り返し「誤解されていた、伝わらなかった」と言い続けていたのと同じ対応だ

ただ枝野前代表にしろ泉現代表にしろ「有権者に問題がある」などということはなかった。今回、菅直人元総理は「低所得の無知な人間が維新を応援している」と言い切ってしまったので、これまで密かに維新に投票していた人が立憲民主党の応援をすることはもうないだろう。

維新はまた一つリベラルを叩くピコピコハンマーを手に入れた。

いいですか。立憲民主党は大阪で維新が躍進したのは貧乏人が応援しているからだといってますよ。どうせ東京の人間から見ると関西というのは貧乏人の集まりだと思っているんでしょう。皆さんのことを本当に理解しているのは誰ですか? 東京の立憲民主党ですか?

所詮は政党同士の言い争いであり「犬も食わぬ」という感じだったが、有権者を巻き込んだことで地域間対立に火をつけられるようになった。まずは喧嘩を仕掛けて相手を自分と同じレベルに引き込んだ上に主語を巧みに拡大させてゆくという手法である。政策論争よりこちらの方が数倍わかりやすい。維新は本能的にそれを知っている。

Twitterでは「政治家をヒトラーに例えていけない」という国際ルールがあると訴えるテレビコメンテータが攻撃されていて「そんな国際ルールはない」という主張になっている。

おそらくコメンテータたちは「ドイツなどの国で誰かをヒトラーに例えるのはとても深刻なことだ」と言っているのだと思う。特にドイツではホロコーストで殺された人たちが600万人くらいいると言われている。「くらい」ということでよくわかっていない。それほど混乱した状態でたくさんの人が亡くなったということだ。

ドイツ人はヒトラーにトラウマを持っている。ヒトラーは選挙で選ばれ国民はユダヤ人排除政策に賛成した。後になってとんでもない虐殺に直接的・間接的に参加していたということを知り大いに罪悪感に苛まれることになる。

つまりドイツなどのヨーロッパで誰かをヒトラーに例えるということはドイツ人のトラウマに土足で踏み込むような行為になる。ヒトラーの資質や政策の問題ではなくもっと感情的な問題だ。

もちろんアメリカ合衆国では事情が違う。アメリカでは選挙のショー化が進んだ。テレビ局は目先の視聴率のために率先して党派対立を煽ったのだ。そのため政治家をヒトラーに例えることくらいはなんでもないという状態になっているようだ。党派に分かれて激しく罵り合うのがグローバルスタンダードドなのだと考えるとそれはその通りである。

このまま「ヒトラーに例えてはいけないなどという国際的ルールなどない」というのはいわば「新しい正常」だ。政策論争ではなく感情的な党派対立である。維新は立憲民主党を自分たちのリングに引き摺り込むことに成功した。

維新はもともと「そういう政党」だが立憲民主党はかつて自民党を相手に「立憲主義を取り戻せ」と主張していた政党だ。これはおそらく議会制民主主義の回復を訴えていたのであろうと思われる。だがその訴えは全く有権者には響かなかった。さらに今回わかったことは彼らの地金もまた「感情的な論争が好きな無分別な元若者」だったということである。政策論争というよりはテレビのワイドショーや某巨大掲示板が好みそうな議論だ。

おそらく立憲民主党が支持を得られなかったのは共産党と組んだことが理由ではない。有権者は一部の市民運動家や労働組合関係者たちが政策よりも感情的な論争を好むということを理屈ではなく臭いで知っている。今回「参戦」している人たちを見るといかにも喧嘩が好きそうな人たちが多い。つまり一般人が考える「左派リベラル」の印象に合致してしまうのである。

維新には失うものは少ない。もともとそういう政党だからだ。だが民主党は労働組合や市民団体が国政政党だった旧自民党に合流して「脱臭」された政党なので地金が見えてしまうと失うものが大きい。

自民党相手に政策論争をしていた民主党を起点にすると「維新のレベル」まで落ちてしまったような感覚になる。もともと維新のレベルというのは社会の注目を集めるために派手な立ち回りを好んだ長谷川豊候補のような「ネット論客」のレベルである。堕ちようがない。

おそらく、今回の件で「市民派」が立憲民主党に負わせた傷は相当に深いだろう。立憲民主党は「共産党との共闘」が問題だったと総括したいようだがおそらくそれは間違っている。有権者は意外と敏感に「臭い」を感じ取っているからである。喧嘩好きで自分たちのことを特別だと考えているが実務者能力が全くないというイメージだ。立憲民主党は長い間このイメージから脱却しようともがいてきた。

だが彼らは今でも有権者が正しく理解してくれなかったと考え自分たちの何が間違っていたのかということは直視しようとしない。共産党のせいで一定層が離反したと考えているようだが、おそらく実際には無党派に近いが変化を期待していた人たちの期待に応えられなかったのであろう。

TBSの報道では「接戦区では共産党との連携を理由に投票先を立憲民主党から他の党に変更した割合が投票全体の3%以上比例では5%にのぼったとしている。わずか数パーセントである。おそらくほかの理由で離反した人が多かったのだろう。アメリカで最初にバイデン政権を見限ったのは改革に期待した無党派層だった。同じことが立憲民主党に起きていると見て間違いがない。

今回、そうした人たちに「どうせ何もわからずに乗せられていたんでしょう」と喧嘩を売ったのはまずかった。謝罪するにしても対象者がわからない。あるいは怒っていることすら気がつかないかもしれないが「貧乏人」と名指しされた人は投票用紙に黙って静かな返事を書くことだろう。

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