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「みなし陽性者」の若者がコロナ医療から切り離される

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国は飲食店を切り離し自己救済に邁進している。飲食店は政治的団結力がないため選挙には影響がないからだ。だが基本的な戦略があるわけではないのでさらなる撤退戦を戦っている。次に切り離すのは誰だろうと考えると、やはりそこは選挙に行かない人たちということになる。

新型コロナウイルスはただの風邪だという意見が広がっていた。経済を優先したい人たちが他人事と考えて主張していたのだがお望み通りの展開になりつつある。若者がみなし陽性者として医療制度から切り離されそうだ。だが「切り離す」という説明はしない。これまでどおりきめ細かい制度が必要だという建前で実質的に切り離す。

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日経新聞が詳細を細かく書いている。日経新聞も「課題がありそうだ」とだけまとめていてあまり興味はなさそうだ。やはりどこか他人事といった風情である。

  • 新型オミクロン株の感染が拡大したので医療や保健所の対応が間に合わなくなりつつある。政府は負担を軽減するために診断や検査の簡略化を決めた。重症化した人や高齢者を救うためだ。
  • 現在の政策の行き詰まりは改善されそうだが、今度はみなし陽性者の問題が出てきた。若者は医師が診断しなくても陽性者とみなし自宅療養できるようにしたためだ。家族に感染者がいて症状がある濃厚接触者はみなし陽性者として扱うことを1月24日に決定した。実際の判断は自治体が行う。
  • 地元の医師の間には混乱が広がるのではないかと言っている。濃厚接触者で発熱などの症状がある人がみなし陽性者になれば行動に大きな制限がかかる。また別の医師は行動制約を隠すために感染を隠す無症状者や軽症者が増えるだろうと懸念する。
  • 沖縄県では抗原検査キットで自ら陽性になった人を自己申告でシステムに登録するようにした。神奈川県ではオンラインに必要な項目を入力して職場に提出する「自主療養届け」制度を始める。
  • 厚生労働省はセンターには医師がいて症状が悪化した時にはフォローアップできる仕組みを作ると言っている。ただし実際にフォローアップセンターを作るのは自治体だ。
  • コロナの飲み薬の開発も課題になる。発症後5日以内に投与を始める必要がある。(急変したみなし陽性者が医療を受けられるかどうかは不確かだが日経新聞はそこは書いていない)
  • 尾身茂会長は「オミクロン株は今までとは仕組みが違っているので特徴にあった戦術を取る必要がある」と言っている。(だが具体的な仕組みの提案を尾身会長は決してしないとは書いていない)
  • コロナ対策には課題が多い。(だが日経新聞は具体的な提案はしない)

日経新聞はやや憂鬱そうな書きぶりでまとめている。だが、日経新聞の前提は早くも崩れつつある。

  1. 若者は大したことにはならないし大したことになっても自分でスマホくらい操作できるであろうという前提はさほど間違っていないだろう。これまでの自主申告制度の問題は「高齢者がスマホを操作できない」というものだった。この点は解決しそうだ。ただ、持病がある若者や急変者のことは「考えないこと」にして視野の外に置かれている。体調が悪ければきっと自分で病院を見つけられるということになっている。そうかもしれないしそうでないかもしれない。
  2. 抗原検査キットがきちんと配られているという前提がある。すでに検査難民が出ている。つまり実際には自分は陽性かもしれないと怯える人が増えることになる。神奈川県の場合にはなんとかしてキットを入手しないと認定書がもらえない。自主判断で無給で休むか危険を承知で出勤することになるだろう。非正規の人は特に大変だろうなと思う。
  3. 医療体制には余裕があり自体が急変すればきちんと医療が受けられる体制が確保されているという前提があるがこれも本当かどうかはわからない。幽霊病棟問題の解決は選挙の妨げになるからという理由で参議院選挙後に先送りされた。だから「コロナを受け入れると大変なことになるから」という理由で受け入れない病院はなくならないだろうが、もうすでにこの幽霊病床問題は過去の話になっている。

おそらく国の政策は「医療を救う」という点から出発しているので検査キットのことは後回しになっていたのだろう。政府は輸入するのは大変なのでこれから国産を増やすと言っているそうだ。だから無料の検査を求めて人だかりができているという報道もある。毎日新聞は愛知県の事例を伝えこれからみなし陽性者制度が始まれば状況はさらに悪化するだろうと書いている。

一方で明白にわかったこともある。おそらく政府と尾身会長の間には話ができていたのだろう。尾身茂会長は自身も国が運営する大病院グループのトップだ。元々は民営化が決まっていたが厚生労働族の押し返しで国が維持することが決まったという機構である。そもそもおみさんは政治的な存在なのだ。

若者の医療を制限して病院を救うということになればあとは感染者が増えようがどうしようが自分たちには関係がない。これが「ステイホームなんて必要ない」発言につながったのだろう。オミクロン株はどうせ拡大するし政府にはそれを止める力はないだろう。自分たちの医療リソースさえ守れれば「あとはどうなっても別に構わない」というのが正直なところではないだろうか。

ただ、これで社会がパニックに陥ることはないだろう。現代は自己責任社会なので「コロナにかかったらかかった人が悪い」ということで落ち着くだろう。大きな企業の正社員は守ってもらえるかもしれないがそういう人たちばかりではないだろう。

結果的に我々がみているのは第二次世界大戦末期と同じ「若者にツケを回して国体を守る」という昔ながらのマインドセットである。国の中枢が守りたいのは医療機構でありそのためには誰かが「耐え難きを耐え」なければならない。各企業もそこは同じだ。立場の弱い「戦力にならない人」がどんな扱いを受けるのかはよくわからない。

会社では「給料を払うから危ないなら出てくるな」というところが多いようだ。だから、実はあまり混乱することはないのかもしれない。ただしそのためには有料の検査キットを自分で買って自分のスマホで写真を撮って自分で療養生活に入らなければならないだろう。潜在的なウイルス感染者がキットを探して街を彷徨うということにならなければいいがと思う。

これからテレビでは「一人ひとりが責任を持って感染拡大を防ぐべきであろう」という説が流布されることになるだろう。つまり自己責任の徹底が求められ精神論で乗り切れという話になる。これも戦争末期に似ている。

ただこの流行が早期に収まるかどうかは今はまだわからない。実は岸田総理の進めるワクチンの3回目接種が進んでいないそうだ。モデルナを嫌っている人が多いというのが表向きの理由なのだが岸田総理がしつこく推奨するので「まだ在庫は十分にあるのだな」と様子見をしようとしている人が多いのではないかと思う。

大方の予想どうり早く収束すれば飲食店や若者(特に非正規)の問題は大したことにはならないだろう。だが長引いたとしても国は飲食店や若者(特に非正規)を切り離して自分たちを守ろうとするのではないかと思う。そうしていつまでも戦争末期が続くというのが最も悲観的であっては欲しくないシナリオだ。

実際にどうなるのか。推移を見守りたい。

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