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多極的チェスゲームに翻弄される岸田総理と日本の外交

新しいブログエンジンを設定したのでテスト的に投稿してみます。日本では年末・年始の休暇が始まった。アメリカはクリスマス明けでロシアは1月に入ってからがクリスマスになる。一見「止まって見える」年の瀬だが世界情勢は意外と大きく動いている。

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NPT会議は延期になった。時事通信によると延期は4回目だそうだ。表向きはコロナの感染拡大ということになっているのだが実際にはロシアとの間の交渉が全く進展していないという背景があるのではないかと思う。

そんな中、バイデン大統領とプーチン大統領の会談は早まった。もともと1月7日が予定されていたそうだが30日に電話会議をやるのだという。単にロシアのクリスマスを避けているのかもしれないしあるいはなにか喫緊の議題があるのかもしれない。

バイデン大統領は核兵器による先制攻撃放棄を宣言し世界に状況の進展をアピールする予定だった。だが先制攻撃などすれば世界中が戦争に巻き込まれることは火を見るよりも明らかだ。会議が進展しているように見せるというのはいかにもバイデン流である。

一方でロシアが目指しているのはもっと実利的な合意である。NATOがロシアを敵視せずNATOとロシアの間にNATO非加盟の中立な地域を作れと言っている。具体的にはジョージアやウクライナがNATOに加盟するという2008年の合意の破棄や東欧諸国の扱いが争点になっている。

いずれにせよ、大枠が決まらなければ核兵器の問題など解決するはずはない。NPTを開催してもおそらく成果のない会議になってしまうだろう。同盟国への依頼などはさらにその先になるのだから、日米同盟から外れる意思のない日本にアメリカの依頼が伝達されるのはもっと先になりそうだ。つまり、日本にとっては「何も動いていない」という状態に見えるものの、実はその先では色々な交渉が多角的に行われている。あたかも多極的なチェスが展開されていて駒を動かす順番が回って来るのは当分先という状態になっているわけである。

さて、この件について検索していてある記事を見つけた。アメリカがロシアを金融システムから締め出そうとしているというのだ。スウィフトというシステムなのだが国際送金をする時にスウィフトコードという銀行コードを書いた記憶ある人もいるだろう。

スウィフトシステムから締め出されると一切の国際送金ができなくなる。これを記事は「核攻撃級」と書いている。そんな大それたことをやるはずはないと思うのだが、実はイランに対して実施したことがあるそうである。当時の日経の記事は「色々な影響がありそうだ」と書いているがイランでは金融機関が麻痺し人々が決済のために現金を使っていたというようなことがあったそうだ。

近年アメリカ合衆国はウイグル情勢を口実にして中国を経済システムから切り離そうとしている。ウクライナを口実にロシアを金融システムから締め出すようなことが起これば、実は制裁こそが目的でウイグルの人権やウクライナの平和には取り立てて関心がないのかもしれないと思う。

こうなってくると人権状況の改善や世界平和というのは単なる道具に過ぎず、実際のアメリカ合衆国の目的はアメリカ中心の世界秩序回復なのかもしれないと考えざるを得なくなってしまうのだ。

安倍元総理の影響からの脱却を図りたい岸田総理は早急にバイデン大統領との関係を構築してそれを日本人にアピールしたい。だがアメリカに取ってもロシアにとっても優先順位は全く高くない。さらに安倍元総理のいう「北方領土政策の継承」という要求に至っては「すでに終わった話」扱いなのかもしれない。

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