安倍政権・菅政権はお友達の病院を手厚く支援していた

朝日新聞が年間一兆円強という巨額の空床補償について書いている。病院というお友達がどれだけ優遇されていたのかがわかる数字である。

スモールビジネスを中心に「不備ループで休業補償がもらえない」一方で過大申告により多額の儲けを得ていた病院があるところがある。こちらは手を上げさえすれば言い値で補償してもらえたのである。

優遇がわかったのは岸田政権がこれを見直したからだ。まずは構造をきちんと理解した上で、スモールビジネスオーナーはもっと怒らなければならないと思う。黙っていては政権から見殺しにされる。

だが、怒ると言っても野党に票を入れるくらいしか抵抗手段がないというのも確かな話で「やはり小さいものは切り捨てられるんだなあ」という諦めに似た感情も湧く。






2020年度の空床補償は1兆1424億円にのぼった。病院にも経営があるわけだから、この数字だけを見て「過大だった」とは言えない。そこでもう少しこの金額の是非について考えてみたい。

まず、朝日新聞は「これで黒字になった」という病院に取材をしている。もし仮にこれが補填だったのなら病院が黒字になるはずはない。他の収入が減るはずだし人件費も余計にかかるからである。つまり、この病院に限って言えば補填で却って得をしたというのはあきらかだ。これを「焼け太り」という。

だが、もしかすると朝日新聞はある例外を見つけ出して問題を大きくしようとしているのかもしれないという気もする。

確かにどの程度の病院が儲けを出していたのかについての国の統計はない。証明できない限りどんなに灰色であっても黒ではないという安倍政権ルールを持ち出せば、統計を出さない限りこれは「セーフ」の案件である。

マスク

実際に多くの人が「このカラクリ」に薄々気が付いている。この夏から秋にかけて「病院の焼け太り」が問題になった。第五波で入院できない患者が増えたからである。

2021年の夏「受け入れ先の病院が決まらない」という理由で救急車の中で待機させられるという事例が多かった。新聞やテレビがこぞってこのニュースを伝え大阪府や東京都で「入院患者待機ステーション」が作られた。

この時に千葉市の消防局に聞いたところ救急隊が独自のネットワークを使って搬送先を探していたそうだ。搬送先を探すのは保健所の仕事だがその機能はすでに麻痺しており独自に搬送先を探すしかなかったのである。巨額の空床補償の裏でなぜか病床不足が起きていた。

このころから「幽霊病床」という言葉が使われるようになった。幽霊病床とは空床補償を受けているにもかかわらず実際にはコロナ対応をしていないという病院である。日本医師会は「いろいろな事情があるのに幽霊病床という言葉で決めつけるのはいかがなものか」と苦言を呈している。これが却って怪しさを増す。なぜ搬送先が決まらない患者が溢れているのかという点には明快な答えをまったく示していないからだ。

共産党などは「コロナの働き手」の生活を保障するように訴えていた。実績に支出していれば焼け太りは起こらなかっただろう。だが自民党は「病院経営者」に補填する方法にこだわった。これが焼け太りが横行した理由である。経営者は中抜きができてしまう。

マスコミが幽霊病床を盛んに取り上げていたのに不思議なことに菅政権は「全容解明」の努力をまったく示してこなかった。菅総理は記者会見にはまともに答えず「説明責任を果たしてゆきたい」と壊れたテープレコーダーのように繰り返すばかりであった。多くの人が「菅総理は説明しないのだな」と感じたのだが「実はできなかった」のかもしれない。

そんな菅総理は総裁選直前に大きなブーメランに襲われる。横浜市長選挙で自身が推す候補が落選した。敗因の一つとして「菅政権は新型コロナ対策で説明責任を果たしていない」という有権者の忌避感情があった。

ではなぜ菅総理は説明責任が果たせなかったのか。理由は複合的なものだったようだ。

上昌弘さんが次のように書いている。岸田首相の周囲には開成高校OBや財務省関係者などのブレーンが多く、厚労省とは異なるルートから情報を得ているというのである。「話を聞く」岸田総理の面目躍如だ。周囲を威圧する手法で安倍政権を切り盛りしてきた菅総理は岸田総理ほどの情報源を持つことはできなかった。つまり安倍政権に仕えている間に「人脈」を焼き尽くしていたのである。

だが、これは問題の一部に過ぎない。中川会長の前の横倉会長時代の日本医師会は安倍総理の間には太いパイプがあったとされている。つまり、安倍総理時代にある種の依存関係ができていた。これを総括しないまま広い情報源も持つことができなかったために菅政権は身動きが取れなくなってしまっていたのである。やはり菅総理はやらなかったのではなくできなかったのだと思う。

安倍・菅政権は国民や官僚の信頼を消尽することで身内を守ろうとした政権だと思うのだがそのコストの一つが1兆1424円だったことになる。

2021年の夏に起きていることを我々はもう忘れている。というよりあの重苦しかった夏を思い出したくないと思っている。岸田政権は一応「透明化」を通じて空床補償を減らすということを言っている。岸田政権は菅政権と違って情報源は豊富に持っているようだ。安倍政権時代に自分の信頼を消尽してしまった菅総理と違い外にいて無傷だった岸田総理は豊富な情報源を維持していると言えるだろう。それを生かしきれるか、それともまた自らの情報源をp狭めてしまうのかは岸田総理の今後の選択に委ねられている。

菅政権の「お友達優遇」は前政権の隠蔽体質をきちんと総括できなかったことと狭い人脈の組み合わせで起きていたようだ。その源流は良い情報しか見たくないという安倍政権の隠蔽体質だったのだと思う。

岸田政権が安倍政権時代の負の遺産をどれくらい総括してくれるのかはまだわからない。第六波はできればきてほしくないが、第六波対策がどれくらい上手くゆくかを見れば政権の本気度もまた見えてくるのかもしれない。

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