ざっくり解説 時々深掘り

そのうち日本は中国人などの移民労働力に埋め尽くされる

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今回は「日本は政府の無策により中国人に埋め尽くされるかもしれない」ということを書く。岸田政権が政策を変えたせいでそうなると考える人もいるだろうが実際にはこのトレンドは安倍政権時代にはすでに始まっていた。源流を辿るとバブル崩壊後にじわじわと進んだ派遣依存に行き着く。

岸田総理の辞任を迫るネット運動をやっていた安倍政権支持者たちは政治リテラシーが低いので気がついていないのだろうが、岸田政権はむしろ安倍政権の選択を追認しているだけである。

その「選択」とは一貫して何もしないというものだ。

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まず、令和2年6月末の日本の外国人の割合についてみたい。日本在留外国人の数は288万人ほどであった。

この中の27%を締めるのが中国人だ。台湾出身者と同じ枠組みで統計が取られていた時代もあるようだが現在は台湾出身者は除かれている。

第二位の韓国人・ベトナム人を合わせると30%程度なので、かなり多くの中国人が日本で暮らしていることになる。中国人人口は「在日」と呼ばれる特別永住枠の朝鮮系・韓国系よりもずっと多い数字である。

この中国人がどのようなカテゴリで入ってきているかということについて分析した資料は多くない。あるいは留学生が多いのかもしれない。同じページには在留資格別の人数も載っている。

実は永住者の数がかなり多い。技能枠では説明できそうにないのであるいは配偶者が多いのかもしれないがこのあたりについて詳しく分析した資料はない。

これに加えて最近目立ってきているのが技能実習制度による入国だ。すでに特別永住者(いわゆる在日と呼ばれる人たち)よりもずっと多い人数の人が「導入」されている。

実習制度ということになっているのだが、実は「管理移民制度」である。この「管理」がきちんとできているのかという懸念がある。

もちろん国が何もしていないわけではない。出入国在留管理庁が作られた。2018年の記事では5000人の組織になる予定だと書かれている。ただこの時の在留外国人の数は256万人と書かれている。つまり数年でさらに増えたことになる。

今回この記事を書こうと思ったのは東洋経済の「今後10年で1100万人減の現実」日本人は急速な人口減の深刻さをどうもわかっていないという記事を読んだからだ。生産人口の外国人への置き換えが政府主導で進んでいることがわかる。つまり政府は少子高齢化対策として移民を導入しているのである。

ただその実態は巧妙に隠されている。第一に政府は移民とは呼ばず実習生と言っている。実習生になれたところで制度名をどんどん置き換える。政府広報になっているNHKもこのあたりを「うまく」伝えている。日本人の人口は減っているのだがNHKニュースでは増加した外国人の数を足して「数字を水増しした」というのである。179万人減少という辛い現実から目を背けるために「導入」した外国人の数を入れて94万人減少と発表したと東洋経済のこの記事は書いている。

①日本人の人口は5年間で実は倍近い178万人も減少している ②外国人人口がこの5年間で84万人増えている ③その差し引きで日本の総人口が94万人減少と報道されている

「今後10年で1100万人減の現実」日本人は急速な人口減の深刻さをどうもわかっていない

2021年11月末ごろのニュースだそうだがこのカラクリに気がついた人はほとんどいないのではないかと思う。Twitterなどでも全く話題にならなかった。

日本人の労働人口は減っている。これは正社員が派遣労働者に置き換わったのと同じ仕組みだ。正社員は雇用されずに派遣が増えてゆき、気がつけば職場には派遣労働者がよく見られるようになった。同じことがこれから移民労働者にも起きるのだ。

さらに言えば労働人口は生殖人口ともいえる。それならば「技能実習生が子供を産まないように企業が管理すればいいではないか?」という極端な主張をする人も出てくるだろう。だが実際にはそんなことは不可能である。こんなニュースがあった。

技能実習生に「妊娠したら中絶するか帰国か選べというものだ。30代のスリランカ人が妊娠したところ管理団体が「中絶するか帰国しろ」と迫った。これが人権侵害であるとして問題になっている。技能実習生はこの職場を逃げ出してNPOに駆け込んだそうだ。

政府機関が組織的に妊娠した労働者の「管理」をやっていたとすれば中国・新脅威ウイグル自治区で行われているとされる人権侵害よりも悪質である。さらにこうした人権侵害事案がわかっているのにそれを放置しているというのも人権侵害である。

日本人は中国で起きているとされている人権侵害と自国の労働移民問題を分けて考えたがる傾向にある。

だが、例えば同じ問題が中国人労働者に起きた時にこれまで人権で攻撃される対象だった中国政府が黙っているだろうか?

とてもそうは思えない。鬼の首を取ったように日本での人権侵害についていいたてるだろう。

さらに技能実習生とは別の制度が作られ実習生という名前の経済移民の長期定住が促進されている。これは日本政府の方針であって「中国政府の陰謀」などではない。

技能実習生については「中国人が嫌」だからという理由で最近はベトナム人を増やしている。だが無理矢理に増やしたために弊害が出てきた。一旦入国したら逃げ出してしまったという人も増えているのだそうだ。2021年6月18日のNHKの報道によると「1年で失踪した技能実習生は5,885人いる」そうだ。読売新聞は6割超がベトナム人なのだとしている。

逃げ出したベトナム人が悪いわけではない。アメリカには中南米から多くの経済避難民が徒歩でやってくる。日本は政府がブローカーに援助までしてそれを手助けしてやっている。日本で彼らを牢獄に入れて働かせるわけにはゆかない。失踪したとしても出入国管理庁に豊富な管理人員がいるわけではない。

入管施設でウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった時に入管は「予算が足りなかったからこうなった」と言い訳した。さらに暴行されたとしてアメリカ人男性が国を提訴している。入館は予算不足で疲弊しており非人道的な対応が少なからず起きているようである。移民ポリスとして失踪者を探すことなどできそうにない。

だが、最も深刻な問題はおそらく「逃げ出した人たちが働ける現場がいくらでもある」という点だろう。いくら失踪したとしても仕事とネットワークがなければ生活してゆくことはできない。つまりこれはそれだけ日本に低賃金労働者の需要があるということを意味している。それを放置したのも国の責任である。

すでに少子化対策に失敗した日本はIT化・DX化も失敗しつつある。そのため低賃金・単純労働依存から抜けられない。成長戦略も少子化対策もIT化も「スローガンとしてはわかるのでやってもらっても構わない」のだが、ビジネスで重要なのは明日の働き手である。岸田政権が着手した外国人定住の方針は安倍政権の延長であって岸田政権を責めるのは筋違いだ。

2019年に導入された特定技能制度は技能実習生の定住化政策で家族の帯同も認められる制度になりそうだ。派遣労働の適用分野がどんどん広がったのと同じようにこちらも分野がなし崩し的に拡大している。また日経新聞によると在留期限も撤廃される可能性が高い。こうした労働者が移民と呼ばれることは絶対にないが実質的には移民が解禁されている。夫婦帯同で子供を作らないと考えている人がいたらどうかしている。

だがおそらくこうした人たちに投票権が認められることはないだろう。地方自治体は議会にメンバーを送り出すことができない人たちにも住民サービスを提供する必要がある。まちづくりや条例を通じて彼らの意見を聞きたいと考えるのは当然のことだ。地方自治体が移民受け入れ政策をとったわけではない。国の方針に従っているだけである。

武蔵野市では外国人に住民投票できる権利を認めようとしている。自民党の長島昭久議員が反対のNOTEを書いている。都市の政治家としての気持ちとしてわからないことはない。だが、製造業・農業依存で労働人口の少なくない数が外国人となった時「定住外国人の意思を全く自治体運営ができる」とはとても思えない。

彼らには選挙権がなく議会に代表が送り込めない。つまり民主主義によってカバーされない人たちが大勢不満を持ったまま地域に滞留する可能性がある。例えば権利意識は強いが民主主義の訓練を全く受けていない中国やベトナムの住民が地域で騒ぎ出した時、首長はどうするべきだろうか。自衛隊や警察の治安維持行動が起きた時おそらく中国政府は「自国民保護」の観点から干渉してくるはずである。与党の政治家ならこの辺りにきちんとした答えを出さなければならないだろう。

繰り返しになるが「管理を十分にします」といって入れたのは自民党・公明党政権だ。当然解決策も彼らが提示すべきだ。あとはよろしくとばかりに地方自治体にお任せでは済まされない。

表面的な中国いじめに熱中し足元の問題を無視し続けた支持者たちには岸田政権を責める資格はない。

何をどう言っても日本は外国人移民なしには成り立たない国になろうとしている。政府が何もしないからこうなったというより「何も手をつけない」ことで積極的にこういう方向に誘導されていることがわかる。それは企業の要請に従って正社員を派遣労働者に切り替えた時から起きていた。単にそれが延長されているだけの話である。

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