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維新の登場でますます改革の機運が遠のく

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維新が文通費の話を出してきたとき「どうやって落とし前をつけるんだろうか?」と思った。おそらく用途を明確にする必要がない文通費は色々な使われ方をしているだろう。パンドラの箱になっているのだから国会議員が自発的に用途を明確にする改革ができるはずはない。

案の定泥沼化している。維新ができたことで三極構造が生まれ「結局解決できない」という状態になっている。

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まず抵抗感を示したのは自民党だったとされている。12月3日時点では「党幹部が」「6日召集の臨時国会での成立を見送る方針を固めた」と時事で報道された。茂木幹事長もその後「これは無理だろう」と発言したことからこれが自民党の総意であるということはわかる。

だが維新の音喜多さんのブログには違う話が出ている。維新が提案したものの自民党が難色を示したという報道を引き合いに出しつつ「話が絡み合っている」とした上で「全会派一致の原則がある」ことが理由になっていると解説した。つまり自民党ではなく「みんなの意見が一致しない」ことが理由だとしている。そしてその「みんな」の中には野党筆頭の立憲民主党も入っていると接続した。

だから立憲民主党も抵抗勢力だと言っている。

ロジックとしてはちょっと無理があるなあとは思うのだがもはやどうでもいいことだ。なぜならば立憲民主党が維新とバトルを始めてしまったからである。泉健太・逢坂誠二・小西洋之などのTwitterで確認できる主張をまとめると次のようになる。

  • 立憲民主党は国庫返納・使途報告・日割りで法案を出そうとしている。
  • だが維新は日割分を全額党本部が吸い上げており国庫返納に反対しているのでは?
  • だから本気でないのは維新の側である。

出元は泉さんのようだ。

まんまと乗せられてしまった。あるいは音喜多さんが主張するように「表向きは法案提出を提案しているが」「裏では結託して維新の法案提出を妨害している」のかもしれないが、もうそれもどうでもいい話である。維新とモデレーションが揉めているのだから彼らがお互いに協力して「本当は自民党がやりたくないから合意ができないと言っているだけなんですよね」と確認することはできなくなった。

あるいは、最初からやりたくなかったのかもしれない。

当初、維新・国民民主連合ができて三極構造ができれば少しは風通しが良くなるのかな?とは思ったのだが実際に出来上がったのは「三すくみ状態」のようだ。

  • 自民党がやりたくないことがあると与野党協議が整わないからと言い訳する。
  • すると維新が「自民党もひどいが立憲民主党もひどい」と言い出す。
  • すると立憲民主党が自民党ではなく維新を攻撃する。

この三すくみにはメリットがある。相手を非難していれば誰も嫌なことをやらなくてもすむのである。つまりカメラに目線をチラチラとむけながらプロレスをやっているように見えるのである。

では「これがいいことなのか」ということになる。接続できそうな問題はある。一つが地方の議席が溶けている問題だ。地方議席は地元の利権になっている。地元から見れば与党であろうと野党であろうとどうでもいい。とにかく利権を保持しようということになる。だが議席数は限られているので横から入ってきて議席を奪おうという人も出てくる。チャレンジャーは党の中から出てくる場合もあれば外から入ってくる人もいるだろう。

チャレンジャー防衛するために地元の有力者は議員に「実弾が必要だから候補者が現金をよこせ」と言い出しかねない。議員個人の裁量でいかようにもなるお金があればこうした資金が「実弾」に使われる可能性はある。おそらくすでにそういうことをやっている人もいるだろう。

さらに今後地方の議席は10減らされることがわかっている。ますます椅子取りゲームが激しくなるのでますます「実弾」の需要は高まるはずだ。

もう一つの問題はさらに深刻である。それが財政問題である。有権者はもはや「面倒な政治問題」には関心を持たない。政権が直接給付を増やしているおかげで「もらえるものさえもらえればあとは何をやってもらっても構わない」という気分になっているからである。

財務省はこれにかなり抵抗をしているようだ。財務大臣の諮問機関から「財政規律を維持しろ」というレポートをださせた。また時事通信が矢野レポートについて面白い記事を出している。

財務省はかねてから消費税増税を勝利と位置づけ政権が新しい費目で支出を増やすことを重大な敗北だとみなしてきたようだ。太田事務次官が安倍総理に唯々諾々と従い教育無償化に突っ走ったことは「韓信の股くぐり」と非難されたそうだ。

この巻き返しを期待されたのが矢野事務次官だった。矢野事務次官以下、給付レベルの引き下げ提案をするのだが結果的には50兆円を国債に頼る敗北だった。これが「次官以下、徹底的に断罪されなければいけないレベルの完敗だ」とされているそうである。

このレポートのポイントは財務省が自分たちの勝ち負けにこだわるあまり全体が見えなくなっているところだとは思う。

だがその最後に面白いことが書いてある。西田昌司政調会長代理がYouTubeで「財務省が緊縮財政を主張するから維新が躍進した」として「党政調で問題にする」と言っているというのだ。関西では自民党も立憲民主党も維新の躍進に危機感を感じている。その犯人として「財務省が断罪されかねない」というのである。

結局、選挙のためには「いかに多くの現金やポイントを見せるか」が重要だということになっている。野党は現金がばらまけないので「改革意欲」をアピールする。誰も問題を根本から解決しようとはしない。成長戦略や少子化対策に失敗し続けてきた自民党・公明党政権は「直接目に見える成果をばら撒かないと有力者や有権者に見放されて政権を追われる」という危機感を持っているのではないかと思う。

議会全体がプロレス化し解決策を提示できない中で、地方は徐々に衰退し財政状況も次第に悪化する。割と最悪に近いシナリオが進行している。

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