トルコのような通貨下落とインフレは日本でも起こり得るのか?

トルコで通貨安が起きており、経済が混乱してる。日本でも同じことが起こり得るのか?という視点で情報を整理してみたい。結論だけ先に書いておくと日本ではここまでの混乱は起こりそうにない。だが将来も起こらないという保証はない。教訓になるのは誰もマーケットには勝てないいうことである。トルコのエルドアン大統領はこれを「根性」で乗り切ろうとしている。




今回の混乱の直接の原因は2021年10月15日に中央銀行総裁らが解任されたことだ。大統領が提案した利下げを反対したとみられるが解任されたカブジェオール総裁は憶測を否定した。一方でそれが自身の判断なのか別の要因によるものなのかは明らかにしかなかった。


結果的にリラは暴落した。

11月23日には1日で15%も暴落し、年初来4割も下落した。そのうち3割は11月に入ってからの下落である。このためトルコでは輸入品を中心に20%程度(前年同月比)の激しいインフレが続いている。またガソリン価格も高騰している。

リラ安のためにオンラインショッピングの一部が停止した。将来の値上がりを期待した業者が売り惜しみをしたものとみられる。

物価が高騰し利下げを容認するエルドアン大統領が批判されている。反体制派が抑圧されているトルコでは珍しい小規模なデモが各地で起きている。

だが、エルドアン大統領がどういう意図で利下げを主張しているのかは今回の記事を読んでいてもよくわからない。

世界の中央銀行が利上げに踏み切る中「利下げをすればインフレ率が落ち着く」という独自の経済学理論を主張しているそうだ。世界の常識的な経済理論を背景に利上げを要求するエコノミストを批判し「経済的な独立戦争に勝利する」と意気軒昂である。つまりエルドアン大統領は根性でこの危機を乗り越えようとしていることになる。

実はトルコが危機に見舞われたのは今回が初めてではない。「トルコショック」で検索すると3月の記事が出てきた。中央銀行総裁のアバール氏が解任されたと書いてある。総裁の名前が違っていて「2年弱で3度目の中銀総裁更迭だ」と指摘されている。つまり、トルコでは気に入らないことがあると中央銀行総裁が解任されるということがわかる。

エルドアン大統領は金融緩和策で景気が浮揚させられていると信じているらしい。3月の記事には「エルドアン理論」がわかりやすく解説されている。

金利を巡るエルドアン氏の考え方はシンプルだ。金利を下げれば、マネーが市中を回りやすくなる。金利の引き上げは景気を冷やす「悪」だ。アーバル氏を中銀総裁に就けた当初は「(インフレ退治のため)苦い薬でも飲む」姿勢だったが、物価安定の効果はすぐに出ず、市民生活の負担になる高金利を容認できなくなったもようだ。

「トルコショック」再来か 中銀総裁更迭でリラ急落

この時点で既にリラ買い支えのためにリラが売られていて外貨準備高に懸念が出ている。2020年だけで11兆円のリラを放出したそうだ。

さてここまでの情報で日本との違いを見てみたい。

  • 日本はトルコのような新興国ではなく債権国なのでトルコと同じようなことは起きないだろう。
  • また日本の総理大臣にはここまで強い権限はない。日銀総裁を入れ替えることくらいはできるだろうが、財務省などの意見も聴きながら合議型で進めてゆくしかないからだ。日銀定款によると総裁・副総裁は集団としての内閣で決定され、理事は財務大臣が指名するようだ。
  • しかし共通点もある。
    • 原油の高騰や生活必要物資の値上げに直面している。
    • 世界各国が利上げに踏み切っても日銀の出口戦略なき財政ファイナンスに依存しているために金利があげられない。

ではなぜ日本ではトルコのような大幅な通貨下落が起こらないのだろうか。

最も大きな違いは経済対策だろう。2021年末の補正予算で日本政府は国債を22.1兆円発行して臨時の経済対策を行なっている。つまり政府に借金できる余地がある。おそらくトルコにはその余地がなく、従って金利を低下させることによって庶民にお金を回そうとしているのであろう。日本政府に借金の余地があるのは日本が債権国だからである。つまり過去に蓄積した信頼と資本が今の日本経済を支えている。

ところが皮肉な事にこれが財政再建への意欲を低下させる。成長しなくても過去の蓄積で生きて行けるため成長意欲が阻害され借金依存体質が温存されている。この信用はやがて焼尽されるのだから将来的にはトルコのようなことが起こるかもしれない。

日本は好調な経済Aと不況に陥った国内経済Bが同居するという状態にある。河野太郎らの提案する新自由主義は好調な経済Aを困窮する地方経済Bから切り離そうとしている。一方、維新・国民民主連合は地方経済Bを代表する。地方にも都市にも支えられる岸田政権はどっちつかずの対応である。

消費税で福祉を賄うというのは典型的な切り離し作戦だ。これが極限まで悪化しないのは、時折、政府が借金をして資金を流しているからだがこの請求書はやがて国内経済Bに回ってくるだろう。

日本円はトルコのような構造的な理由で円安が進行する可能性がある。だが逆に世界経済が混乱すると資金の逃避先になる。今回は原油高や金利差予測などを背景に円安が進行していたのだが「南アフリカ発のコロナウイルスで世界経済が混乱するのでは?」という予測が出ると一転円高に転じたしたそうである。行きすぎた日本売りで安くなった日本の資産を買い戻すための口実として南アフリカショックが利用されているのでは?という観測もあった。

サイト内Google検索


Google Recommendation Advertisement



参考文献

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です