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ピクトグラムショーの成功 – 国益は誰が作る?

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オリンピック開会式はアメリカと日本の両方に配慮した結果中途半端なものになったと書いた。結局、アメリカでの視聴率は33年間で最も低いものだったそうだ。その中でヒットしたのがパントマイムによるピクトグラムショーだった。YouTubeでは人気急上昇しているようだ。単なるCGでやっても良かったのだが「中の人」が頑張っている姿勢は単純に応援したくなる。バトミントンで失敗しかけたが巻き返し、最後表彰台で「やったー」となる短いプレゼンテーションは開会式の演目では金メダルだったといってよいだろう。Twitterで見ると土壇場で解任された小林賢太郎さんの人脈によるキャスティングだったようだ。

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聖火台点火式に向けた場面転換の場つなぎショーで誰も注目していなかったのが良かったのかもしれない。「壮大さ」などの気負いがなかったからだ。英語の論評も読んだが「ピクトグラムは前回の東京大会で始まった」と紹介されており日本の面目躍如といったところだった。ショーとしても面白いし、きちんと世界に日本の文化を紹介することもできている。

メインキャストの一人はが〜まるちょばである。が〜まるちょばは2人組として知られているのだがケッチさんが脱退して今はHIRO-PONさんが一人で活動しているそうだ。もう二人は吉本興業所属のGABEZ(がべじ)というグループである。ハフィントンポストでは「など二人」となっている「など」に当たるのが南大介さんと松本亮さんだ。松本さんは写真をアップしている。このタイムラインを読むと「小林賢太郎さん人脈ですね」と書かれているものがある。見る人が見ればわかるんだなと思った。

が〜まるちょばを脱退してこの場にいなかったケッチさんはヨーロッパに渡ったもののコロナ禍で帰国を余儀なくされたそうだ。奥さんの実家のある雲仙で実家の手伝いなどをしていたそうだが、今では人材育成に向けたワークショップを開催しているという長崎新聞が紹介している

表舞台にいた人だけでなくそうでなかった人にもコロナにまつわる体験があるのだと思った。

ディレクターの小林賢太郎さんを「直接関与したものはなかった」として直前に切ってしまったのは間違いだったのだろうなと思う。おそらく防衛副大臣の中山泰秀さんの後先考えない行動によって慌てた政府がとった拙速なリアクションだったのだろう。

もちろんユダヤ人虐殺をギャグに使うのは良くないことなのだが「面倒なものを切り捨ててしまえ」という態度は決して新しい学びには繋がらない。おそらくイスラエルに知り合いがいる政治家なり文化人が先方と連絡をとって対話の機会を作り学びの機会にすべきだった。ユダヤ人団体は新しい抑圧者になりたいわけではなく単に相互理解を促進したいだけだからである。こうした世間知が日本の政治からは失われている。実社会経験に乏しい世間知らずな世襲政治家が増えたからだろう。

今回の拙速なアレルギー反応は「一発退場になるかもしれないから面倒な政治ネタに関わるべきではない」という表現の萎縮だけを生み出すだろう。こうした態度は最近テレビで起こったアイヌ差別問題のような突発的な事故を生み続ける。知らないのだから当然のことである。

間違ったコンプラ意識は表現者を萎縮させるだけで豊かさにはつながらない。社会も政治も助けてくれないのだから表現者自身が気がつくべきなのだが、テレビでは「我々は所詮芸人なのだから文化人のような出すぎた真似をすべきではなかった」という人がいた。奴隷は奴隷だから檻の中でおとなしくしているべきだというような感想である。表現者は奴隷ではない。

一方で政治が執拗に守り続ける人たちがいる。組織委員会は結局森喜朗さんを開会式に招いたようだ。だが「肩書きがない一般人を入れると観客とみなされかねない」と考えたのだろう。名誉最高顧問などの役職を事前に検討したという。朝日新聞が伝えていたが読売新聞でも記事になったという。

小林さんがどの程度ピクトグラムショーに関わったのかはわからない。だがこのショーは明らかに日本の好感度を上げた。だが森元会長は日本の後進性を世界に発信しただけである。どちらを守るべきなのかは明確だ。

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