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草の根の熱意 – 新型コロナウイルス中国起源説が再び注目されるようになったわけ

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先ごろバイデン大統領が新型コロナウイルスの中国起源説の再調査を要請したことが話題になった。政治的に利用しようとしているのでは?と思ったのだが、実はこの再調査の裏には多くの人たちの草の根的な調査があったそうだ。NewsweekがDRASTIC(Decentralized Radical Autonomous Search Team Investing COVID-19というチームの活躍を伝えている。

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この一連の記事を読むと色々なことがわかる。第一に政府が何かを隠そうとしてもそれを突き止める人たちがいる。そしてその人たちは特定の団体ではないかもしれない。さらに陰謀論を煽り立てることで返って彼らの動きが阻害されてしまう可能性がある。

まずNewsweekの記事を見てゆこう。ネットのアマチュア20名が興味本位から新型コロナウイルス研究所流出説を調べ始めた。Twitterでお互いがつながり専門家も集まるとこれがまとまった動きになった。この調査団の一人は、カルマポイントという「いいね」にあたる評価のために活動をしていたようだ。現在でも実名の公表はしていないそうである。witterだけで議論が完結しているわけではなく色々なSNSの橋渡しとしてTwitterが存在しているというような話らしい。次第にまとまってDRASTICチームと呼ばれるようになった。

三人の銅鉱山労働者がなくなった病気の原因を調べていた武漢の研究所がコウモリのいる洞窟でコロナウイルスを採取して研究したことがわかっている。その管理はずさんだった。

ところが中国サイドの「科学的な論文」の方が注目されて研究所流出説は陰謀論扱いされるようになる。皮肉なことにその共犯になったのがトランプ大統領である。支持者を惹きつけるためにチャイナウイルスなどと連呼したことでマスコミは研究所流出説を「陰謀論」だと見なすようになった。

最終的に2012年に雲南省のハニ族自治区で見つかったRaTG13というウイルスが起源なのではないかと推定するようになった。ところがこのときには「トランプ効果」が働いていてこの説をまともに取り上げるメディアはなくなっていた。

中国の研究所がなぜこのウイルスに注目していたのかはよくわからない。研究していたことはほぼ間違いないと推定されている。中国当局はこの事実を認めるつもりはなさそうである。武漢ウイルス研究所が主語なのか共産党政権が主語なのかはわからないがとにかく国際調査を極端に嫌う国なのだ。ウイグルの人権問題など後ろ暗さを抱えている政権は国際社会に説明ができない。だから却って「説明しないということは生物兵器でも作ろうとしていたのでは?」など言いがかりをつけられてしまう。

データベースが消されていて隠蔽しようとした様子もうかがえるが、研究所は「テロ対策だった」と言っているようである。まともなマスメディアのない国では「本当のことを知りたい」とか「自分らしく生きたい」いうのはテロと同じことなのである。

結果的にこのDRASTICの研究が欧米の研究者たちを動かしてバイデン政権の調査継続という判断を後押しした。

インターネットは玉石混交なので「何が陰謀論」なのかということはよくわからない。Facebookはトランプ政権下では研究所流出説を投稿禁止としていたが解除する方針を決めたそうだ。これに付随して人工説も再び容認されるようになった。つまり一時はフェイクニュースとされたものが有志の活動で覆ったわけである。そしておそらくその動機はお金ではなく「本当のことを知りたい」という熱意だったことになる。

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