ざっくり解説 時々深掘り

カイゼンが得意な日本人を邪魔する菅政権は今すぐ政権を手放すべきだ

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

新型コロナ関連のニュースが減っている。おそらくは「ワクチン」という正解が出たことで国民の不安が払拭されたからだろう。このことからなぜ人々が新型コロナのニュースに夢中だったのかということがわかる。正解がないと不安を感じる人が多いという国民性があるのだろう。ワイドショーというのはこの不安を解消できない人たちが見るコンテンツなのかもしれない。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






愛知県豊田市で効率的なワクチン摂取の方法が開発されたというニュースをやっていた。トヨタ自動車の生産方式を採用したのだという。しかしこれに満足することなくこれからもカイゼンを加えてゆくそうだ。

豊田市は特殊な例なのではないかと思われるかもしれないのだが福岡県の別の自治体では高速大名行列方式という方式が取られているそうだ。高齢者を並べておいて、問診から注射までのチームが移動するという方式である。

トヨタのカイゼン方式はラインマネージメントという動線管理を最初にやって後から細かく調整してゆく方式だ。一方で高速大名行列方式は高齢者より専門家の方が移動しやすいという点に注目している。つまりそれぞれの方式で工夫をしている。これからも色々な案がいくらでも出てくるだろう。

ではなぜこうした自治体は成功することができたのか。目標を与えられた専門家たちがある阻害要因なしに工夫を凝らすことができたからだろう。こうした正解が日本各地に出てくることは好ましいことなのでどんどん広がってほしい。ではその阻害要因とは何なのだろうか。

日本人は大きな目標が決まっていて自分たちの担当が決まっている場合、自分たちの持分の改善をして競うのは得意だ。ところが、大きな目標を達成するために画期的なアイディアを出したり構造を変えることは苦手である。また、自分たちの持ち場が決まっていないことも不安だ。つまり職人として話し合いをしないで自分たちの目標に専念したいのである。

日本人はコミュニケーション下手の職人社会である。だが、現場の職人であることを好む人が多くリーダーが出てこない。また話し合って何かを決めるのも苦手である。できれば黙って自分のことだけをやっていたい。

典型的な例が第二次世界大戦だ。明治期の日本は自分たちが西洋世界でどのようにやってゆくかということに対して正解が得られなかった。強いリーダーも出てこなかった。形式上は天皇がリーダーだということになっていたが、それは形だけのことである。

世界金融の仕組みが整っていなかったこともあり不安が募り最終的には軍による一点突破という行動に出て自滅した。軍人たちは様々なアイディアを出して実行するが全体としてはまとまりに欠いていた。現場のヒーローは現れたがそれを統率する人は出てこなかった。

日本人がGHQを素直に受け入れたのは「GHQのいうことを聞いていれば悪いようにならない」ということがわかったからだろう。つまり民主主義という正解を与えられて初めて我々は安心を得たのである。そういう国民性なのだ。

日本人が大きな目標を立てられないのは、リスクを分析した上で話し合って協力することができないからである。おそらくその傾向は今でも変わっていない。だから国会は今でも揉め続けている。国会にはリーダーを装う人はいてもリーダーはいない。

国会は常に「決める」必要があるので2/3の賛成派と1/3の反対派が揉め事を起こし続けているが、面白いことに地方議会ではこういうことが起こらない。地方議会ではどちらかというと、首長対議会という対立になる。ところが議員たちが結託して利権を分け合った上で首長と協定を結ぶ傾向が強い。おそらく、地方議会はそもそも利益誘導するだけなのでリスクを扱う必要がないのである。つまりそれぞれの地盤や利益団体がはっきりしているので利権誘導で協力さえできれば成立するのだろう。

日本人は利益分配は計算できるが、それ以外の要素が加わると計算ができなくなる。

  • 地位を脅かされる
  • ルールが変わって今まで得ていた利権の量が減る

こうした不確定な要素が加わると途端に不安になり計算ができなくなってしまう。

内閣人事局ができて「地位を脅かされる」可能性が出てきた官僚は重要な情報を官邸にあげなくなった。また、成果など上がらなくてもいいからとにかく官邸に媚を売ろうと思い定める人たちも出てきた。

だから交付税課長に電話をかけさせて地方にプレッシャーを与えるという方針は間違っている。不安を感じた日本人は実は何もできなくなってしまうか情報を隠匿する方向に回ることが増えるのである。

その意味では官邸は目標設定だけをして地方自治体を競わせればよかった。もともと競走そのものは得意だからである。

ところが恫喝体質が染み付いた菅政権はそれが理解できなかった。日本人のメカニズムを理解できない菅政権は日本に混乱をもたらすだけだ。できれば早く政権を明け渡すべきだ。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで