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菅総理大臣に近い菅原一秀衆議院議員が辞任する。さて、菅総理はどうか……

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菅原一秀衆議院議員が辞任する意向を固めたと読売新聞が伝えている。東京地検が公職選挙法違反で略式起訴する方針となっているため失職は避けられないと判断したのだろう。後になって共同と時事が揃って辞職を報道した。菅総理に近い議員とされており総理の責任が問われるのは必定だがオリンピックや新型コロナ対策で失点材料が累積しており「政治家とカネの問題は大した問題ではない」とさえ思える。政治と金の問題も軽くなったものだ。

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思い返してみればよく隠し通したものだと思う。今回のきっかけになったのは2019年10月のいわゆる文春砲だった。2019年9月に安倍内閣で内閣改造があったとき、文春はすでに菅原新大臣に対するスキャンダルを列挙していた。女性を伴って国会会期中に旅行に出かけていたというような話である。

度重なるスキャンダルにも関わらず大臣に就任できたのは2015年には自民党ネットメディア局長に就任しサポーターズクラブを率いて反民主党キャンペーンの先頭に立っていたからではないかと思われる。人事が総理大臣の報復感情によって私物化されていたという意味では河井克行元法務大臣に近いものがある。

その後も文春にはターゲットにされ続けていた。秘書に対する扱いがずさんだったことからかなり恨みを買っていたようだ。文春や立憲民主党に贈答品リストや音声データが渡り「何かやっていること」は確実だった。結局40日あまりで辞職するのだがこの時にはすでに「議員辞職は確実だろう」と日経新聞に書かれている。だがやめなかった。総理大臣のお気に入りである上に額も少額だったからではないかと思われる。とても巨悪という感じではない。

菅原元経産大臣の辞任については関係者は説明責任がある。そもそも身体検査をするまでもなく問題の多い議員だったのに経産大臣に取り立てられているからである。論功行賞とすればネットサポーターの工作くらいしかないわけだ。経産大臣といえば日本の経済を動かす重鎮だからとても「適材適所」とは言い難い。

さらに議員同士の横の連携が強くない関東地方の議員たちは事実上の菅派を形成して菅官房長官・菅総理を支えてきた。つまり菅総理に近い議員と言える。何も知りませんでした、何も聞きませんでしたでは済まされない、だが、菅総理もコメントしていない。

最後にこれほどあからさまに問題行動が報告されていたにも関わらず検察当局は一度は起訴しない判断をした。ところがいじめられていた秘書経由であまりにもたくさんの物的証拠が出てきて隠しきれなくなったのだろう。メンツを守って検察審査会ということにしたがそれでも略式起訴どまりだった。

問題行動が多い人が議員になり事務所経営もまともにできずさらに大臣に取り立てられてやめても説明しない。おそらく昭和時代に派閥がしっかりできていれば、そもそもこんな人は議員になれていなかったはずである。自民党の人材育成と選抜が安倍政権時代に徹底的に壊れてしまったのだろうということを感じさせる。現代的な党に生まれ変わることもできずかといって昔の人材育成システムも残っていないということになる。

我々はこれまで政治への信頼などなくても世の中はそれなりに回ってゆくと思ってきた。いわば政治への信頼を軽視して侮ってきたわけである。だが、菅総理にとっては国民の安心安全よりもオリンピックと自分のメンツを守ることの方が重要なのだろうということがわかってきている。当然国民の側も「だったら単なる自粛要請である緊急事態宣言に従わない」という判断をすることになるだろう。

足元の数字を見ると、緊急事態宣言が出て人流が抑制されると感染者の数字が減るということがわかってきている。つまり政治への信頼は我々の命に直結している。

菅総理は国民の前に出てきてきちんと説明すべきだ。総理大臣には説明する意欲も資質もなさそうである。ついに「総理がオリンピックより国民の命の方が大切と答弁した」という当たり前のことがニュースになる時代がきてしまった。誰でも構わないので最低限の説明と組織管理ができる後継の総理総裁が早くでてくるべきである。

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