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イスラエルとパレスチナの間で緊張が起きている

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国際政治を見ていると「ああ、またか」という事態があれよあれよという間にエスカレートすることがたまにある。今回はイスラエルとパレスチナの間で衝突が起きている。あっという間にエスカレートしていて今や戦争状態だ。ガザ地区では通信社が入ったビルが空爆され、ヨルダン川西岸にも戦火が広がっているようである。

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遠くから見るとビデオゲームのように見える。パレスチナ側からのミサイルが自動的に迎撃されるシステムが作られているからである。ところがビデオゲームの寄りの映像は悲惨だ。がれきと化した街の脇を棺を持った人々が通り過ぎるという写真もまた配信されている。どちらが戦争なのかと問われると「どちらもだ」と言わなければならない。

BBCによると今回のきっかけはささいなものだった。エルサレム旧市街地のシェイク・ジャラー地区からパレスチナ人を強制的に追い出そうとした。ラマダン期間にアル・アクサ・モスクで催涙ガスや閃光弾を使って聖地を汚す暴挙に出た。

なぜこんなことが起きたのかはよくわかっていない。だがネタニヤフ政権側には理由がある。大統領は野党指導者に組閣を命じているという話がある。あとがないネタニヤフ政権側が焦ったのかもしれない。

またパレスチナ側にも与野党の関係がある。自治政府とは別にハマスという人たちがいてパレスチナ政治の主導権を握りたいと考えているようである。だからちょっとしたきっかけでも容易に発火してしまうのである。一応バイデン大統領が仲介に乗り出したが状況はわかっているはずで単なるパフォーマンスに過ぎないのかもしれない。

中国は安全保障理事会を開催しないアメリカを非難したが実際に介入したがっているのかはわからない。ただ、バイデン政権もことイスラエルに関しては単独主義的な動きから脱却することができなかった。

アメリカ合衆国では共和党のトランプ派が動き出していて反トランプ派を排除する動きが起きている。新しく党会議議長(共和党のナンバースリーだ)に就任したエリス・ステファニク氏はバイデン政権の政策を極左社会主義的と非難して大喝采を浴びたそうである。ユダヤ人が全て親イスラエルで共和党支持ということは今なはないようだが、バイデン政権も容易にユダヤ系の離反を招きかねない反イスラエルの動きには加担したくないのだろう。

いつも中国の動きを非難しているアメリカ合衆国も内政の都合で「正しい」行動に出られないというのは確かなことである。

繰り返しになるが、この動きはネタニヤフ氏とリクードにとっては都合の良いものだ。リブリン大統領が現在中道系ラピド氏に組閣を指示していた。ラピド氏はアラブ系議員も巻き込んでリクードに対抗する勢力を作ろうとしていたのだが今回の対立でアラブ系との協力が困難になっているのだという。あまりにも都合の良い動きだ。

ラピド内閣の組閣が失敗すると自動的に総選挙になるという。比較的平和な状態では不利なリクードも戦争状態が継続していれば有利になる可能性がある。ここも内政の都合なんだということがわかる。その陰で多くの人命が奪われてゆき国際社会はなすすべがない。民主主義国はどこも内政に縛られてしまう。

いずれにせよこうした動きを見ると中山防衛副大臣のTweetがいかに軽率なものだったかがわかる。パレスチナを国と認めていない勢力はG7加盟国とその同盟国(オーストラリア・韓国など)と一部になっている。現在の政治状況を固定したいがためにパレスチナは国連のオブザーバーにとどまっている。ほぼ国として認知されているが一部の国が認めていないために加盟国になれないという意味では中華民国に似ているのである。日本人の持っている常識がいかに偏っているのかがわかる話である。日本は「仲良く話し合ってほしいが介入もしない」という方針を貫いていて、国ではないのだが駐日大使はいるという状態になっている。

それ以前の問題として、かなり複雑な背景のある問題に対して熟考した跡が見られる文章ではない。日本の防衛・外交はお金持ちの世襲議員たちのおもちゃになっているようである。

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