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オリンピック中止のご聖断を下すのは医師になるのか?

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報道特集で関西の医療崩壊の実態をやっていた。目の前に明らかなコロナの患者がいるのに検査で引っかからないことがある。認知症が出た患者がフラフラと病院にやってくる。説得するためだけにいちいち防護服は着ていられない。検査でコロナ陽性になると保健所の管轄になるそうだが保健所はオーバーフローしている。自前で受け入れの病院を探そうとするが引受先が探せない。大阪は滋賀県で受け入れてもらっているそうだとか兵庫は徳島か岡山かという話を個人のネットワークを介してやっている。現場はかなり壮絶なことになっているようだ。

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一方で、緊急事態宣言の直前の土曜日、東京・銀座のデパートでは「緊急事態宣言駆け込み」が起こったそうである。どうやら同じことは大阪のUSJでも起きていたらしい。テレビはきちんと伝えているわけだが、当然見ていない人も見ても気にしない人もいる。こうして3度目の緊急事態宣言が始まった。3度目にして我々は緊急事態宣言に慣れてしまった。

おそらく医療崩壊の現場を見た人は「オリンピックはとても無理だろう」と思うことだろう。実際に医師を派遣する立場の東京医師会はテレビの取材で「オリンピックに派遣する人とコロナ対策をする人は重なっている」と言っており、共産党がオリンピック組織委員会が看護婦を奪い取ろうとしていると報じる。「国民の命より金儲けのイベントに医療リソース」をという露骨な優先順位がついている。一度決めたら何がなんでも特攻する。もはや正気ではないのだろう。

一方で丸川珠代五輪担当大臣は報道特集の質問に「IOCと東京都が判断することである」と繰り返していた。自分たちは医療体制の充実などに向けて準備するだけだと言っている。だが、医師会は「協力できない」と言っているわけである。国にも国民の命を優先するという姿勢は感じられない。菅総理はもはやこうした席に登場することはない。

IOCも他人事を決め込んでいるようだ。緊急事態宣言(海外の人にはそもそもどれくらい緊迫感のあるエマージェンシーなのかわからないだろう)はゴールデンウィーク対応でありオリンピックとは関係ないと宣言した。一部では切り取りだと批判されたが、他人事の対応を非難する人もいる。そっちはそっちで勝手にやってくれというように感じられるからである。

日本人の中にも「人の命より金儲けか」と思う人が増えている。彼らに取ってオリンピックは核兵器・原発と同じように攻撃の対象になるだろう。反グローバル・反資本主義の標的になろうとしているのかもしれない。

「国際的な非難にも関わらずIOCがオリンピックを止めないのはどうしてだろう」と考えた。

小田嶋隆さんが「友達の思いつき」といってこんな狩のシナリオを書いている。小池百合子都知事が突然IOCの契約について暴露する。そこには東京都にとって著しく不利なことが書かれており当然国民は反発する。小池さんは勢いに乗って何らかの選挙で有利に立ち回るのではないかという。

実際にこうした契約があるかどうかはわからないわけだが、多くの人が「こんな無理な状況でオリンピックをやめられないのは多額の違約金を背負わされるからなのだろう」と感じていることがよくわかる話である。

国はこの事態を傍観しており当事者の東京都もIOCも自分から中止を言い出しにくい。このため負けると分かっている戦いを継続しなければならない。もはやこれは第二次世界大戦末期と同じである。新型コロナに襲来された都市はさしずめ空襲を受けたのと同じ状況だと言っていい。だが、最終調停者として「ご聖断」を下す人はいない。

NBCはオリンピックのブランド価値が毀損されることを恐れて盛んにシグナルを送り続けている。記憶に新しいのは森喜朗の女性蔑視とみられる発言に対する非難だった。これで流れが変わり森喜朗組織委員会会長は辞任に追い込まれた。現在は聖火リレーは中止されるべきであるという論説を流しているそうである。当然だ。半グローバルの動きがオリンピックに波及すれば彼らは金儲けのタネを失うことになる。

NBCの本記事を読んで見た。時事通信・AFPの伝聞では伝わらない過激さがある。ナチスと日本政府を重ね合わせているのだ。

まず、単に東京五輪の聖火リレーではなく、オリンピック全体の聖火リレーそのものを中止すべきだという。ナチスドイツが始めたものだからである。今回も福島から始まったが「福島が回復していないという事実を隠蔽して福島にさらなる犠牲を強いようとしている」のでであり政府のプロパガンダに過ぎない。また声援でなく拍手が求められているが、これは単なる公衆衛生劇場にしか過ぎないという。ワクチンの接種が進まず海外からのゲストにもワクチンを義務化しないにも関わらず「COVID-19が管理できている」と思い込ませたいのだ。

つまり、政府が「あたかも福島原発の問題やCOVID-19は解決した」と宣伝するためにナチスのようなプロパガンダをやっているだけだという論調になっている。日本語でこの記事を翻訳すれば大騒ぎになっていただろうからAFP/時事の伝え方は配慮が行き届いているとは思うが、英語も翻訳機を通せば簡単に読めてしまう時代である。

英語が読める人はダイレクトにこの記事を読んでおそらく日本に対して望ましくない印象を持つであろう。特攻体質で80%の民意を無視する強硬で非民主的政権が支える資本主義的オリンピックという像が容易に浮かび上がる。

ついにはIOCの委員からも「IOCが決められないのなら医師に決めさせては」という意見が出るようになった。誰も決断を下せないなら医師にその役割を果たさせてはどうかという。ヘイリー・ウィッケンハイザーさんは「IOCは利害関係者として深く入り込んでいてとても決定できる立場ではないだろう」と言っている。医師なら利害関係はないので「正しい判断が下せるだろう」というのだ。インサイダーもオリンピックの資本主義的性質は行き過ぎていると感じているのかもしれない。

これもCBSスポーツという別のテレビでの発言だそうだ。オリンピックはこうして外側からのご聖断で止めることができるかもしれない。

だが、新型コロナ対策にはこうしたご聖断を下せる人はいそうにない。もう自民党では明らかに無理だと思うのだが、変化を恐れる国民はそれを言い出せないのである。4月25日の補選・再選挙の投票率は軒並み低かった。「この機会に民意を示そう」という人はほとんどいなかったようだ。

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