緊急事態宣言で「東京都の灯火管制だ」とTwitterが大荒れになっていた日にまた別のニュースが流れていた。きっかけは読売新聞の独自記事だった。いつもの【独自】とは違い政府広報という感じではなかった。菅原一秀衆議院議員に特捜部の捜査が入ったらしい。
捜査中なので滅多なことは書けないわけだがどうやら常習的に少額の買収を繰り返していたらしい。あまりにも当たり前に行われていたために誰も気が付かなかったのだろうし、誰も騒がないので検察も気が付かなかったということになる。「隠蔽」というより慣れてしまっていたのだろう。額も数十万円程度だったということで「この程度ならまあいいだろう」という感じだったのではない。たかだか数十万円だったとしてもこれで「お世話になっていたから」という理由で票を入れていた人はいたはずだ。
検察はなぜこのタイミングで動いたのか。「あるいは政権に忖度しているのではないか」と思った。だがそうでもないようだ。
衆院厚生労働委員会で75歳以上の窓口負担を増やすという法案の審議をしていた。当日になって「菅原筆頭理事が国会に来ていない」ということになりちょっとした騒ぎになっていたようである。菅原くんが学校を休むってよというような話である。だがこれも立憲民主党のTwitterで流れただけで、大したニュースにならなかった。結局、菅原さんが筆頭理事をやめてしまった時点でニュースになった。
菅総理も言及していた重要な法案の審議が土壇場で止まった。これが「読売新聞の【独自】きっかけだが与党の仕掛けではなかったのだろう」と考える理由である。あるいはゴールデンウィークで役所が止まる前に処理してしまおうという検察側の都合だったのかもしれない。
菅政権がもはや「このレベルの」スキャンダルをカバーできなくなっていることがわかる。だが菅政権にとってある意味幸いなことに日本人はもはやこのレベルの話には全く驚かない。菅原元経産大臣はおそらく何かやっていただろうと誰もが思っているからだ。
国会では河井案里さんの当選無効に伴って支払われた歳費を返せという問題もあるわけだが、これも含めて「この程度の事」になってしまっている。平時ならば大騒ぎなのだろうが、もはや国民には考えることが多すぎてここまで手が回らないということになるだろう。
奇しくも4月25日は政権の明日を占うと言われる補選ややり直し選挙が行われる。平常時であれば自民党には大逆風だったはずだが、もう誰もこの程度の違反を気にしていないので選挙には大した影響はなさそうだ。
この程度のモラルしか持ち合わせていない国会に大した権威があるとは思えない。政府はワクチンも調達できず緊急事態宣言もついに三回目に突入した。菅総理は公約を果たせず申し訳ないと釈明したようだが、そもそも誰も菅総理にそんなリーダーシップがあるなどとは思っていない。だから誰も菅総理を怒らない。
統治の失敗は明白なのだが、それでも暴動も騒乱も起きない。諦念という心情を持ち合わせた日本人は意外と災害などのパニックに強いのだなあと思う。起きてしまったことは仕方がないので目の前の現実に慣れるしかない。自然に起こったことには勝てない。
直前の土曜日には駆け込み行楽などはあったようだが、特にパニックが起きたというニュースはなかった。もっとも人流も大して抑制されないかもしれないだろう。ただ関西地方の医療機関では医療崩壊が起きているらしい。さらに関東にも飛び火してくるだろうという覚悟で準備をしているお医者さんも多いようだ。
今度の緊急事態宣言も結果オーライで「実はピークアウトしかけていた」ということになるのか、それとも拡大し続けるのかはわからない。短期決戦ということで極めて強い措置を講じることにしたわけだがそれでも「通勤を止めて人流抑制する」という話は聞かない。補償が何もないのだから政府が要請しても誰もテレワークなどには応じる企業は多くないだろう。
変異種がアジア系の我macair れにも容赦なく襲いかかるということになれば、恐らくズルズルと強い措置が続くことになりそんななかバッハ会長が来日するということになってしまう。無策でコロナ戦争に突っ込んで行く中国民がどこまで黙って耐えてくれるのかが試されているのかもしれない。
経産大臣だったときにはそれなりに騒ぎになった菅原一秀議員の公職選挙法違反騒動は、こうしてコロナ禍の中「大して騒ぐ価値がないニュース」として埋もれてしまうことになった。