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中国のイメージはファーストコンタクト次第

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最近Quoraで中国の人たちと対話することが多かったのだが正直疲弊してきた。習近平・共産党の考える中国像に従って中国が東シナ海や南シナ海で緊張を高めている。もともと日本には中国蔑視があるうえに人権侵害問題を起こしており「中国は世界の異物」という印象が強い。ここまでは確かなのだが、これに関しての議論に巻き込まれると「終わりが見えないなあ」と思ってしまう。また、日本側の参加者がどういうわけかみなさん高齢なのであまり言うことを聞いてくれない。

ところがその印象が全く変わる機会があった。

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YouTubeで中国人女性が「中国各地の女性」をゲストに招き地方の事情について聞いている。吉林省(朝鮮族が住んでいる)から始まり、福建省・広東省・浙江省のビデオを立て続けに見た。

吉林省の朝鮮族の方の第一言語は朝鮮語であり外国語として北京語・英語・日本語を学んだそうである。だがアイデンティティは中国人なのだそうだ。また福建省・広東省・浙江省は沿岸地域なので経済が好調だが地域によって全く言語が違っている上に上海を含めてお互いにライバル心を持っているという。

普通の中国人の普通の会話である。

どの人たちも在日歴が長く日本語が堪能である。自分の考えをそのまま脳内通訳なしに話せるくらいに日本語に堪能だ。ややうるさい印象さえある。特に朝鮮族の中国人の日本語は堪能だった。漢字の学習に不安がなく文法も近いので日本語はあまり苦にならないそうだ。

正直、排他的な日本人は国際標準で見ると「田舎者」に見えてしまう。だから「同胞として恥ずかしい」という気持ちになる。おそらく日本が国際化する以前に「アジアの優等生だ」というイメージが定着し、いまさら変えられないのだろう。

だから少し中国に肩入れした意見をいうことが多い。だが、Quoraにいる中国人もどこか攻撃的で共産党に沿った政治的な主張を繰り広げるので応援しにくいところがある。彼らもまた習近平共産党の枠を越えられない。また、多数派として「少数民族や少数地域が多数派に飲み込まれることは致し方ない」と考えている節がある。アメリカ合衆国で多様化が始まる前のヨーロッパ系と同じような感想を持っている。これはこれでやや時代遅れだ。

結局、認識を変えられなくなった多数派と今の多数派が言い争いをしているだけなので、落とし所がない。またアメリカやヨーロッパを入れた「世界標準」からは大きくずれてしまっている。もちろんそれをいうと「アメリカだけが世界ではない」と怒られてしまう。

少々おしゃべりな中国人の女性たちを見ているとそういう印象はもたない。単に新しいことがわかって楽しい。中国というのはやはり近くにあるあまりよく知らない国だし、地方色が豊かで楽しい面もあるのだ。

ルッキズム(外見主義)と言われればそれまでだが、やはり文化紹介は美人にやらせた方がいいとすら思ってしまう。彼女たちには楽しいことがたくさんあるのだろう。楽しいことが多い人たちはあえて面白くない政治の話に介入してくることはない。アメリカへの文化進出で自信を深めた韓国人もあまりこの手の話題に乗ってこなくなった。

YouTubeの韓国チャンネルといえば、K-POPアイドルの話題と化粧品の話題が多い。好き好んで韓国の政治的立場について論争する人は多くない。韓国のテレビ局は現在放送されているコンテンツも積極的にYouTubeで流す。だから一度見だすと芸能番組が韓国コンテンツだらけになってしまう。最近の日本のトップチャートは知らないが韓国のトップチャートにはなんとなく聞いたことがあると思えるようになった。

むしろ日本人が好き好んで韓国の政治問題について蒸し返している印象がある。こうしたコンテンツが出てくると「表示しない」を押していちいち消している。あまり愉快な気分にならない。

しばらく中国のビデオを見ていて、中国人は意識としては「中国人」ではなく「広東省の人」というようなアイデンティティを持っているのだろうなと思った。特に南部は省の中でも言語が違ったりするようで、もっと細かな地域分類があるのだそうだ。山がちの地域が多く盆地ごとにほぼ独立した言語を保っているようだ。

だが、我々日本人には例えば浙江省などと言われてもどこにあるかわからない。だから単に「中国人」としか見えない。記号化が進み「日本人と」違ったところだけが際立ってしまう。結局のところお互いの顔が見えるのか集団なのかでイメージが全く違ってしまう。こうしたファーストインプレッションが議論によって覆ることはない。

最近バイデン政権が国内政治対立を盛んに中国に振り向けようとしている。日本ももうじきその列に加わるのだろう。このさき我々はさらに政治的に「中国人」と対立することになるのだろう。だがおそらくその背後には全く個性が異なった多様性のある地域が隠れているのである。こういうのを知らないのはもったいないことだなと思った。

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