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総理大臣からお墨付きが出た生活保護

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国会審議で画期的な答弁があった。総理大臣が「どうぞ生活保護を受けてください」と言っている。もちろんこれは私の解釈なのだが「その線で行けばいいのではないか」と思う。

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実際の答弁の趣旨は「再び定額給付金はやらない」だ。その時に言い訳として「最終的に困ったら生活保護があるわけだから」と言っている。生活保護は地方自治体で処理されるため「政府としては仕事をしなくてもいい」というくらいのことなのかもしれない。

日本人には恥の意識があり「施しを受ける側に転落するのであれば死を選ぶ」という人が大勢いる。つまり「こう言っておけばワシらの金を払わなくてもいい」という計算があるのだろう。朝日新聞が「「餓死しても生活保護は嫌」コロナ禍で困窮、でも彼女は」という記事を出している。

蓮舫参議院議員は「生活保護に陥る」というような言い方をして反発している。これでは却って生活保護を受けにくくなるのではないかと思った。

ここは「困った人がいれば生活保護につなげる活動」を立憲民主党がすべきだと思う。総理大臣がそう言っているのだ。

生活保護には「車や家を売り払わなければならない」という誤解がある。実際には誤解というより運用方針なのだろう。「先祖伝来の田畠を売り渡して小作に転落させる」というのが心情的に響く土壌が地方にはあるのだ。地方自治体としては安易に生活保護を受けられると地方財政が圧迫されるという恐怖心があり「最後の手段である」ということを強調した運用をしているのであろう。セーフティーネットとして充実させるならまずここを改良すべきなのだが、与党がやるはずはない。ここは野党の出番である。実際に小池晃議員は総理にそう迫っていた。

生活手段を取り上げてしまうことで事業再生が難しくなる。子孫が小作化することがあっては末代までの恥とばかりに誰も生活保護を受けたがらない。特に事業者の再生という意味では「店を取り上げられる」というのは最も避けたいことのはずだ。ところが「田畠」と同じように家業を扱っているため、中小零細の自営業者にとって生活保護はセーフティーネットにならない。

実際には立憲民主党は各種給付金について政府与党と最後のツメをしているようである。だから生活保護に陥る人がそれほど多くないことはわかっているのかもしれない。刑事罰取り下げでは同意したので補正予算にも賛成するかと思われたのだが蓋を開けてみると維新を除く野党は補正予算へのコミットは避けた。「どうせ通るだろう」ということなのだろうがわかりにくい対応だった。

とにかく補正予算は通った。感染症の拡大防止策を推進する予算に加え、GoToなどコロナ後を見据えた経済対策に11兆6766億円、国土強靱化関連に3兆1414億円を計上したそうだ。自民党が支持者にばらまくための予算の確保に必死になっていることがわかる。おそらく地方支部から相当な突き上げを食らっているのだろう。コロナが収束すればいいのだが、そのために都市や医療従事者が犠牲になるということが起こるのかもしれない。

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