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菅総理が新たな無駄を作りそうな運転免許証改革

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「運転免許証のデジタル化」という奇妙な言葉を教えてもらった。菅総理大臣になってまた無駄が作られるんだろうなとため息が出た。この無駄の原因がよくわからない。うすらぼんやりと日本人にはシステム的思考は無理なんだろうと思った。とにかくできないのだ。

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まず日経新聞の記事を読んでゆく。運転免許証デジタル化 警察庁、年内に工程表作成という表題である。「デジタル化とはなんぞや」と疑問に感じたのだが、おそらくそんな読み方をする人はほとんどいないはずである。記者もよくわかっていないかもしれないが政府がそう言っているからそう書いている。

もともと菅官房長官は今年の6月ごろにマイナンバーカードの普及を目指したワーキンググループを開催していたそうだ。この時にすでに普及している運転免許証と紐づければ普及が進むのではないかという議論が出たようである。運転免許証とマイナンバーカードを一体化できればマイナンバーカードの普及に弾みがつくだろう。記事はこれをデジタル化といっている。

運転免許証はすでに電算管理されておりICチップも入っている。Wikipediaによると450円余計に払っているそうである。運転免許保持者はICチップを買わされていることになる。つまりすでにデジタル化されているのである。この記事はこれをマイナンバーカードと統合一体化することをデジタル化と言っているが実際には運転免許証という他省庁の利権を総務省が奪うことを意味する。

そもそも運転免許証がなぜデジタル化されたのかについて調べたのだがよくわからなかった。

一般的には偽造防止と書かれている。期間を限って調べたところ小泉内閣のメールマガジンが見つかった。政策提言という体裁になっている。

日増しに治安の悪化が、進んで来ています。偽造パスポートでの入国や不法残留等々、国際テロが喧伝される中で警察・入国管理の管理体制や人員の増強が必要ではないでしょうか。また、パスポートにICチップ導入等の処置や写真付き住民票や運転免許証にICチップ導入等々の邦人外国人を問わず身分証明書に係る管理体制の一元化や整備を行い、行政管理上の縦割り体制を是正する事で犯罪増加の抑止力になると思います。治安に必要な人・物・金をかける必要が有るのではないでしょうか。

「安心の確保・安全への備え」「公的部門改革」に関する『自分ならこうしたい』という政策提言

身分証明証として利用しようとしていたことがうかがえる。つまり政府の都合によって着想されている。だが費用負担が発生するので政策提言の体裁にして「ユーザーの利便性が向上しますよ」などと喧伝された。これはあくまでも説明のための説明であり、運転免許証のICチップを使ったシステムが作られることはなかった。もともと利便性などどうでもよかったのである。

元々の発想の経緯が隠された上で虚偽の説明が与えらえ後継内閣が引き継がないままで放置されたのだろう。単にICチップ代の450円が既得権益化し現在でも制度として受け継がれている。これが日本のシステムがわかりにくくなる直接の原因のようだ。

おそらくマイナンバーカードを普及させたい理由も統治上の理由だろう。金融資産を把握したり身分証明として使いたいのかもしれない。どれも政府の都合である。だがそれでは受け入れてもらえないので「利便性が向上しますよ」とか「ポイントがつきますよ」などと言っている。また、小泉政権と同じことを繰り返そうとしている。

だが国民もそれはわかっているので「面倒くさい」とか「よくわからない」と言ってマイナンバーカードを作らない。日本の政治風景というのは崩壊した家族に似ている。どうせ何を言っても伝わらないと考えて形だけを保っているような状態である。

もちろん、同じようなサービスが複数できることでユーザーの利便性は損なわれる。住民番号(住基ネットとマイナンバーシステム)が二種類あり微妙に制度設計が異なっていることでコロナの10万円給付はずいぶん混乱した。基礎システムをきちんと作り直していれば防げたのだろうが話し合っている国会議員がシステムを知らないのだから制度設計など無理である。

さらにシステムセキュリティ上も問題を抱える。免許証には二つのパスワードが使われている。運転免許証の住所変更をする時に使うのだが覚えていないという人が大半ではないだろうか。これを3回間違えると警察に申請にゆかなければならないので、警察署で転居手続きをするときに「覚えていないならやらないでください」と指示される。マイナンバーカードも番号を間違えるとロックがかかるがこれは市区町村役場で解除である。極めて面倒なパスワードをいくつも管理させられているのだ。果たしてこれが解決するのだろうかと思うのだがおそらくは無理だろう。警察は運転免許の管理という利権を失いたくないだろうし総務省はマイナンバー利権は失いたくない。だから管理は別建てになるはずである。もしかしたらここにデジタル庁利権が加わるかもしれない。

管理が複雑になれば連携時に情報が漏れる可能性がある。日経新聞は早くも心配している。デジタル庁で全て責任を持ってもらえればいいが、警察も総務省もデジタル庁も誰も責任を取らないという状態になりかねない。構造は銀行もNTT DoCoMoも責任を取りたがらない「ドコモ口座」と同じである。利権は欲しいが管理はしたくないという集団思考も日本人によく見られる思考である。

実現には、交通取り締まりの際に有効期限などを読み取るための端末を全国に配備したり、免許証発行に使用するシステムを更新したりする必要がある。免許証とマイナンバーのシステムをどう連結するかや、個人情報の漏洩を防ぐセキュリティー面の強化も課題になる。

運転免許証デジタル化 警察庁、年内に工程表作成

「どうしてこんなことになってしまうのか」について合理的な説明は浮かんでこない。ただ場当たり的にシステムが構想され野党が反発し妥協が積み重ねられ使いにくいシステムができる。これが中途半端に他のシステムと接続され誰も管理できなくなる。「日本人は話し合いができないからシステム開発ができない」という以外の説明は思いつかない。

運転免許証デジタルシステムはアプリ連携も視野に入れているようだ。これも開発が進むかどうかはよくわからない。新型コロナのアプリCOCOAでは不具合が続出しているそうだ。TBSが伝えている。そもそもどんな不具合なのかわかっていないそうだ。

こうした不具合とみられる相談は数千件寄せられていて、厚労省では8月の初旬から調査を行ってきましたが、実際にどういう不具合なのか判明していないということです。そのため、来月以降、アプリを改修し、アプリの情報処理の記録を蓄積し、本人の同意があれば送信できる機能を加えて原因分析を行う方針です。厚労省は、電話番号や氏名などの個人情報は収集しないと説明しています。

「COCOA」の不具合相談数千件でアプリ改修へ

デジタル庁は民間から責任者を迎え入れてスタッフも民間から登用するそうだ。流石に民間ではこんな失態は犯さないのだろうと思うが、民間人が相手をするのは官公庁の「誰も責任を取らず他人のいうことも理解しようとしない」という人たちである。さらに菅総理が1年程度で終われば後には混乱だけが残されることにもなりかねない。

システム開発の分野では日本人は同じところで足踏みを続けている。こうしてシステム開発どころか事務作業もできなくなっている。消えた年金問題は結局解決しなかったし統計偽装から端を発した失業給付金の支払い問題も解決してない。問題が起きた時だけ「海外に比べて遅れている」と焦るのだが結局はじっくり考えようとはしない。こうして問題ばかりが積み上がってゆくのである。これは恐ろしくダメな人の思考方式である。

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