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目黒で高校生がビラを撒いただけで20日も不当勾留された話

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江川紹子さんがビラを配った都立高校生が私人逮捕されたという件を紹介していた。リンク先を読むと20日間勾留されたのだという。この話だけを読んで色々な感想を持つ人がいると思うのだが調べてみると意外と奥が深いことがわかった。

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ある男性が「新型コロナの状況下で水泳実習を強行するとはけしからん!」とビラを撒いた。それ以前にも寒さの中で水泳実習を強行していたそうである。ちなみに抗議活動に利用された小山台高校は偏差値が70近い「進学指導特別推進校」にも指定された名門校だそうだ。コメント欄でもらった情報によると逮捕されたのは小山台高校の学生ではないそうだ。そう言われてみると高校生の所属する学校の話は出てこないのでよくわからない。あるいはそうだったのかもしれないしそうでないのかもしれない。

よくある高校生の訴えがなぜ拘留20日となったのかというのが普通の人の関心事だと思う。J-CASTが後追いで警察に聞きに行ったようだが「検事の判断だから」という理由で答えてもらえなかったそうだ。

男性はなぜか小山台高校の先生ではなく目黒第9中学校の副校長に私人逮捕されている。もしこの学生が小山台高校生でないとしたら小山台高校は単に話の種として利用されただけということになる。

平松さんが公開しているビデオを見るとこの副校長は当たり屋のようにぶつかってゆき「痛いよ痛いよ」と叫んでいる。昭和のテレビドラマを彷彿とさせるようなやり方だ。テレビ朝日のドラマ「相棒」で捜査一課トリオがやっているのを見たことがある。

この話を調べて行くとどうも妙なところに引っかかりがある。全体的につじつまが合わないことが多すぎる。

  • なぜ水泳実習の抗議が拘留20日につながるのか
  • どうして目黒第9中学という全く関係がない学校が出てくるのか
  • なぜ私人逮捕なのか
  • どうして警察は「何も状況を把握していない」というのか

まず平松けんじさんの経歴から調べて行きたい。平松さんの肩書きは「平松けんじ・日本自治委員会議長」である。なんだかいかめしい名前だがどうやらまだ若い方のようだ。彼らが目指しているのが「自治委員会」を学校に設置する活動だ。自治委員会というのは体制翼賛的な生徒会に代わる生徒の自治組織だということらしい。

配ったビラをみて、すぐさま駿河台で1990年代に配られていた左翼運動家のものと同じ感じがするなと思った。校民防衛隊東京方面隊という言い方もどうも「その筋」の感じがある。おそらく昭和風の左翼運動の影響を受けているのだろう。

本来ならばビラを配ったくらいで20日も勾留されるというのがおかしい。レイバーネット側は副校長は警察に入れ知恵されたのではないかと言っており「即時で地検送り」となり10日の勾留が決定したようだ。つまり、学校・警察・検察まで一連の流れができているように見える。

つまりこれは「公安マター」だったことになる。公安マターではあるが学生が表に立っているので警察が動くわけには行かない。だから私人逮捕なのではないかと思える。あくまでも体裁としては「教育現場が自分たちの裁量で処理し」て「あとは適切に処理をした」と見せたかったのだろう。

ただ学生側が目黒第9中学校前で抗議行動を行ったのかわからない。場所は目黒区で小山台高校のある品川区と別れている。中学校までは1.5kmほど離れていて歩いて20分近くかかるのである。近隣といえば近隣なのだがそうでないといえばそうではないという微妙な距離である。そもそも高校が利用されただけなのであればおそらく狙って目黒第9中学校に行ったことになる。

  • おそらくプール問題はきっかけにすぎず、本当にやりたいのは学生自治組織を作ることだろうが
  • それでもなぜ高校の前で抗議行動を展開せず中学校近くの公道に行き何も関係がない中学校の校長と副校長が出てきたのかがわからない。

これを解くヒントは別のところにあった「この副校長には人格上の問題があり」PTSDにかかったと指摘する人が出てきた。実名入りなのでいたずらには思えない。この副校長という人を刺激すれば「なんらかのリアクションが得られる」と目をつけられていた可能性があるのかなと思えてしまう。つまりそういう先生がいるところにわざわざ遠征に行ったのではないかと思えるのだ。

なんとなく昭和時代の学生闘争を思い起こさせるような背景である。1960年の安保闘争から東京都では学生運動が盛り上がりその一部が高校にも波及したようである。Web論座に記事があった。1969年の高校闘争を書いた小説もあるそうである。

生徒有志が校則を見直す検討委員会を立ち上げ、ついには「政治活動の自由」や「服装の自由」を高らかに謳(うた)う「生徒憲章」が制定され、授業では現代哲学や公害研究などの自主講座が始まった。

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ところが現在は生徒の方が「正解を提示してほしい」という気持ちが強く都立高校でも再制服化の動きが出てきているそうだ。AERAによると「表現の自由の抑圧」ということになるのだろうが、おそらくこれで安心ができるという生徒も多いに違いない。このため制服ではなく標準服と言っているところもある。強制ではないから表現の自由には抵触していませんよというわけだ。

だからこの種の抗議活動を学校でやっていても「一部の変わった人たちの運動」くらいにしか思われなかっただろう。これはバブル期に東京の大学でもあった雰囲気に似ている。多くの学生は左翼運動にシンパシーは持たなかった。日常生活がただ楽しかったからだ。

いずれにせよ20日拘留というのはいかにもやりすぎである。考えて行くと「公安の人たちはおそらく今までもこの程度のことは日常茶飯事でやっているんだろうなあ」と思えるし「普通の高校生を20日拘留する」などあってはならないことである。早くも識者から「憲法議論」が出ている。日本に漂う右傾化を証明したい人が世の中にはたくさんいる。

左翼運動は今もビラ止まりなんだなあと思ったのだが実はTwitterは大きな役割を果たしていることになる。テイストは昭和なのだが令和的なSNSも活用しているという点が趣深い。

こうして平松さん側は問題に火をつけることに成功したように思える。つまり過剰な大人の反応が闘士を生み出してしまったようだ。この問題はついに国会でも取り上げられることになった。立憲民主党が問題を捕捉したようである。

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