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新しい価値観の提示なしに解散風が吹く

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今回の話は当初「麻生副総理ご乱心」という内容になるはずだった。だが調べているうちにそうでもないということがわかってきた。だが「解散があっても新しい風が吹く」予感が全くしない。もちろん責任の大半は自民党にあると思うが野党の役割も大きいように思える。とにかくまとまりが悪い上にビジョンを示す(またビジョンがあるように見せる)能力もなさそうである。

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麻生副総理・財務大臣が公明党に対して秋選挙を提案していたことがわかった。なぜか産経新聞が伝えている。だが、公明党幹部は公の席でも否定的な見解を述べているようである。準備が整っていないのだそうだ。

これが今回の文章のリードになるはずだった。

このニュースを聞いて麻生総理はまだ2008年のトラウマが念頭にあるんだろうなと思った。最初の安倍政権が選挙に負けてから自民党は選挙ができなくなった。そのあとどんどん状況が悪くなり足の引っ張り合いを続けた末に政権交代に至ったのだった。今回も同じことが起きかねない。

思えば2020年の最初のころは安倍一強といわれていた。ほんの短い間に状況が急激に変化したことがわかる。安倍総理と麻生副総理は頻繁に会合を重たそうなので「自民党が負けないうちに総選挙をして衆議院をリセットする方法」について討議を重ねてきたのだろう。岸田禅譲の芽は消えた。では誰にいつどうやって引き継ぐかということだ。失敗すれば福田・麻生政権の二の舞になりかねない。

だがそれを公明党は拒否したという。公明党が選挙をやりにくくなっているのだという観測もあるので「当然だ」と感じた。集会が開けないと信者同士の結束が保てないというところに公明党の弱点がある。ネット選挙では若い信徒ほど組織選挙から離脱してしまうだろう。

だが、調べてみると全く別の書き方をしているところがあった。これがニュース観察の面白いところである。共同通信は「ウォーミングアップと言いながら準備を始めた」と書いている。つまりNHKは額面上のことをしか伝えていないのだが「実は野党を油断させているのだ」と考えることもできる。予断からニュースの隙間を埋めるのは危険である。

この「早期解散論」はいつ頃から出ていたのだろうかと考えた。もしかしたら4月にはもうあったのかもしれないなと思う。もともと30万円給付として始まった10万円給付は二階幹事長・山口代表の「どなりこみ」で一律給付になったとされている。だが、よく考えてみると「新型コロナの自粛の時期」には全く間に合わなかった。最初から有権者買収資金だったのかもしれない。汚い手口だが「それくらい政権にしがみつきたい」という熱意の現れとも言える。

人口が多い自治体でもおそらく7月には配り終えることができるだろう。そうなると有権者には一通り10万円が行き届いていることになる。

野党はどうか。立憲民主・社民・国民民主で政策協定を始めたようだ。まず共産党が除外されていて器の小ささを感じさせる。どうせ選挙になると泣きつくに決まっているのだ。さらに消費税減税をめぐっては意見が対立しているという。相手陣営は国家予算から10万円ずつばらまいているのに何をうかうかしているのだろうと思えてしまう。特に社民党は「消滅する」のだから総括して「なんでも言うことを聞きますから入れてください」と謙虚に頭を下げたほうがいい。結局国民の支援は得られなかったわけだから野党勢力内で我が物顔に暴れてもらっては困るのだ。

以前小沢一郎について調べた。小選挙区制を導入するために「自民党を飛びだした」人の話だと思って書いたのだが、小沢ウォッチャーを自認する元新聞記者という人から「小沢・細川は宮澤もっとやれ!」と思っていたと思いますよという書き込みをもらった。もしそれが本当だとすると、小沢一郎はかなり場当たり的に「改革」をしてくれそうな人を担ぎ、彼らが失敗すると使い捨てていたということになる。定見があったわけではなくその場のノリで動いていたようである。その混乱はまだ続いている。場当たり的に選挙が行われ大した考えもなしに次の数年が決まる。

この永田町劇場だけを見ているとそれも仕方ないかなと思うのだが、実は国際情勢では大きな変化が起きている。オーストラリアはアメリカが地域から手を引き中国が伸びてくるのに対抗するために軍事費を増やすそうだ。オーストラリアは現状を直視している。朝鮮民主主義人民共和国は核ミサイルを持っている。ロシアは憲法改正で日本に北方領土を譲歩するつもりがないことを明確にしようとしている。東西冷戦構造が終わって30年経ったのだから具体的な動きが出るのは当然である。

特に野党は自民党に代わる新しいビジョンを作れないと今回の選挙を最後に消滅してしまうかもしれない。憲法改正を阻止したいなら外交力を徹底して鍛える必要があるし、防衛と外交の連携は急務だろう。今のように海上自衛隊と陸上自衛隊ですら意思疎通ができないのでは困る。具体的に提案できる統治機構改革はいくらでもあるし、前回の失敗を教訓にするなら官僚とは協力できるようなマニフェストにしたほうがいい。野党が没落すると次の国家ビジョンを作るのは自民党の中の主流派と非主流派ということになってしまうのだが、おそらく現状路線の継承にしかならないだろう。

消費税議論をとにかくひとまず集結させて次に進むべきだと思う。

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