ざっくり解説 時々深掘り

アベノマスク疑惑 自分の国の政府を盗人と疑わなければならない不幸

アベノマスク騒ぎが拡大している。騒ぎの中身は主に三つある。一つは予算のちょろまかし疑惑だ。二つ目は安倍昭恵さんの関与疑惑である。そして最後は品質管理の問題だ。過去の官邸発の騒動と同じような複合汚染を構成している。にあまりにも運用と説明がずさんなのですぐにこうなってしまうのである。コロナでストレスが溜まる中、こうした疑惑にもお付き合いしなければならないというのは不幸としか言いようがない。

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もともと233億円計上されていたマスク配布費用だったが菅官房長官が二倍の466億円かかると言いだした。だが国民は国家予算には興味がなくこの話はスルーされた。問題に再び火がついたのは毎日新聞が「カビノマスク」の写真を掲載したからだろう。自分のところにカビノマスクが配布されたとあっては大変だ。

カビノマスク騒動をきっかけにあのマスクはどこで作ったのかと話題になった。もともと妊婦用に配っていたマスクの製造メーカーは4社あったようだ。だが一般配布用のマスクの製造業社は3社のみが公表され一社は公表されなかった。

さらに当初予算は466億円超とされていたのだが結局90億円で済むという。政府は「単価がわかるとまずいから内訳は公表できない」といつもながらの理屈にならない理屈で逃げようとしている。マスク配布予算すら把握できない政府が国家予算など計画できるはずはない。

この問題の本質はどこにあるんだろうかと考えた。

まず思いついたのは「政府が国民の目を盗んでお金を懐に入れようとしている」という疑惑である。よくはわからないがドタバタに紛れて対策予算をポケットに入れようとした人がいるようだ。実際に執行されなかったところからこれを罪に問うことはできないだろう。だが、政府が盗みを働くのではないかと常に疑いながら同時に政府の新型コロナウイルス対策を信じて政策には従わなければならない。これが疲れる。

多くの人が政府を信頼して外出や営業を自粛することでしか我々の安心は確保できない。強力な外出自粛が行われればそれだけ早く経済が回復することになるだろう。一方で、多くの人が政府を信頼しなければそれだけ回復が遅れて経済は大きなダメージを受ける。

この件に関して巻き添えを食った形となった興和・伊藤忠は形の上では全数回収してきちんと検査しますとやった。彼らが配布したマスクなのかということはわからない。国民の側も興和や伊藤忠に非難が殺到するようなことはなかった。おそらくそれが誰の責任かということがわかっているからだろう。興和と伊藤忠も「こういう経緯で不良品が入った」とは説明していない。「急に言われたので検品せずに出した」のかもしれないし「廃棄在庫を放出した」のかもしれない。あるいは本当は検品をきちんとやっていたのかもしれない。

ところがここで新しい疑惑が出てきた。安倍昭恵さんが関与していたのではないかというのだ。IWJなので単に「安倍昭恵さんがミャンマーと関係が深いから怪しい」というだけの話なのだが、過去の行状から「ああ、あの人ならやりかねないよね」となってしまう。岩上安身さんに突撃取材された興和の担当者がかわいそうだなあと思えてしまう。

IWJという独立系ネットメディアだから話を面白おかしく膨らませてページビューを稼ごうとしていると思いたいのだが、既存のメディアはこの話を真剣に捉えていない。

梶山経済産業大臣は「しっかりとよいものを届ける。届けるのであればしっかりした品質のものを届けるのは当たり前のことだ」と大見得を切って見せたそうだ。誰も、問題の原因がどこにあるのかを追求することはなかった。日本政府はマスクすら配れないうえに予算さえ把握できない。マスク予算が管理できない官邸が国債の発行について決めたり国家予算全体を管理できるはずはないという視点がなぜ持てないのだろう。おそらく日本のマスコミは大手も独立系もチェック機能を失ってしまっているのだろう。

野党はおそらく安倍総理がこのお金をポケットに入れたのではという線で捜査するのだろうが、この事件は未遂でありまたしても疑惑の解明には至らないだろう。おそらく日本国政府は医療機関に配る防護服などの装備品も調達できなくなっているものと思われる。

憲法改正という目的を失った安倍総理、ラインから外されて説明する気を失っている菅官房長官。全く指導力のない岸田政調会長。態度は偉そうだが全く当事者意識のない麻生財務大臣などなど、あとどれくらい安倍政権に付き合わなければならないのか考えるだけでうんざりする。

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